寺尾紗穂/たよりないもののために

寺尾紗穂/たよりないもののために
2017年 日本
『過渡期終了』

 8thアルバム。今回も1曲目から打ち込みを導入しており、度肝を抜かれました。凝ったアレンジだったけれども古風だった『わたしの好きなわらべうた』からの落差は大きい。2曲目はキャット・スティーヴンス「RubyLove」風リフレインが印象的な、ほのぼのとしたポップ・チューンでした。3曲目は新しい日本の童謡という趣のピアノ弾き語り・・・・・・と全曲紹介はやめておきます。
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 打ち込み、チェロやフルート、ヴァイオリンなどによる優雅な伴奏が特徴で、「青い夜のさよなら」からの音楽性を引き継いでいるアルバムです。ただし前2作よりはピアノの存在感を強めている印象。彼女独特の伸びやかな節回しを含め、清々しくきっぱりとした意志を感じる歌声はいつも通り素晴らしい。 

たよりないもののために
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浜田真理子/Town Girl Blue

浜田真理子/Town Girl Blue
2017年 日本
『隣に住んでるピアノの先生にも教えないと』

 ジャズ・ヴォーカル、歌謡曲の流れを汲んだ歌手、SSWである浜田真理子の新作。今回は久保田麻琴プロデュースということで、ますます期待が高まります。
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 英語詞、日本語詞の曲が交互に置かれた構成で、インスト1曲、カバー4曲を収録しています。

 前作『But Beautiful』にもあったバンド演奏は本作でもあり。それでもピアノ弾き語りを中心とした構成に戻しています。ピアノの残響の美しさ、清々しい歌声を芯に据えた音作りがプロデュースの方針でしょう。2曲目「You don't know me」でのたそがれたスライド・ギターは久保田麻琴らしいですし、クレジットを見るとアップライト・ベースやアコーディオンなども入っているのですが、さりげない加減のアレンジがされています。自分の音で仕上げるのではなく「自分はこの人のここが好きなのだ!」という所に誘導する手法が見事にハマっている。いいアルバムです。

カバー曲のうち「なにもない Love Song」だけは全く知らずに「なんていい曲を書くのだろう!凄い!」と思ってしまいました。実際は久保田麻琴プロデュースのギタリスト、濱口祐自の作品とのこと。こちらもチェックせねば。

Town Girl Blue (全曲試聴)
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ぶどう÷グレープ/おやつの隠し場所

ぶどう÷グレープ/おやつの隠し場所
2016年 日本
『集大成だから安定のいつも通り』

 日本のニューウェイヴ、テクノ・ポップ・バンド、ぶどう÷グレープの最新作。前作のレビューはこちら

 インフォによるとデビュー10周年とのこと。自分はサードからファンになりましたが、リリース間隔が短いのでまだ10年しか経っていなかったのか、という印象です。先行して発表されていたシングル曲10曲をリマスタリングして収録しているとのこと。
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 インフォでは集大成のアルバムと呼ばれており、シングル曲を集めた甲斐のあるバラエティーに富んだ内容です。とは言え、ピコピコ・シンセと個性的なくみんこのヴォーカルの強力な記名性があるので、ぶれは全くありません。大きな驚きこそ無いものの、いつも通り、アヴァンギャルドでポップなぶどう÷グレープが楽しめます。集大成が終わった次のアルバムも楽しみです。

 イギリスでのライブ映像がyoutubeで公開されていたので、チェックしたのですが自然に受け入れられていてすごかったです。
すってんころりん、すってんころりん、の熱唱にほのぼのとしました。

運命のバス
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砂場/軌跡

砂場/軌跡
2017年 日本
『東京のワンマンに行けなくてごめんなさい』

 3年振りの新作。今回も自主盤ということで一部インディーズ取扱店と通販のみでの販売でした。6月には東京でワンマンが開催されており、その告知も頂いたのですが・・・・・・行けなかったのですよね。申し訳ない気持ちであります。

 砂場は長野出身の3人組ロック・バンド。2000年代前半に結成されており、これまで全国流通で1枚のアルバムを発表した他、自主のミニアルバムを3枚リリースしています。フォークや演歌に通じる泣き、叙情、コブシを取り入れている和の部分と、オルタナティヴ・ロック経由のダイナミックなメロディー展開という洋の部分を混ぜ合わせた情熱的なロックをやっているのが特徴。またバラードではアコースティックな音作りがされており、こちらではセンチメンタルなフォーク・ロックとしての魅力があります。
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 今回もミニアルバムです。自主制作で頑張っている期間が長く、ファンとしては寂しいところ。前半と最後に激しいロック・ナンバーを置き、間の3曲がバラードという構成です。バンドとしての特徴、魅力を上に書き出してみましたが、それは健在。メンバー各人が名古屋、東京と離れている状況が続いている中、まだまだ砂場というグループが元気に活動しているということが分かって安心する1枚でした。ハードルは高いのかもしれませんが、これまで自主制作で作って来た音源を集めて、1枚のアルバムにして全国流通すれば・・・・・・などと考えてしまいました。取り敢えずライブ情報はチェックします。

今回、音源はありません。
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阿佐ヶ谷ロマンティクス/街の色

阿佐ヶ谷ロマンティクス/街の色
2017年 日本
『凝ったアレンジが光るシティポップ・レゲエ』

 レゲエ、ダブの要素をシティポップと融合させたからシティポップ・レゲエと呼ばれている、そうです。

 2014年に結成された女性ヴォーカルを擁する6人組グループ、阿佐ヶ谷ロマンティクス。作りためて来た楽曲をまとめたファースト・アルバムです。
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 幽玄なシンセサイザーのエフェクト、特有のビート辺りがレゲエの雰囲気をプンプン醸し出しています。メロディーはアメリカのAORや西海岸SSW、そしてそこから影響を受けた日本のシティポップ・ミュージシャンなどを連想させる爽やかさが特徴。おかずの入れ方がうまく、アレンジが凝っているのもポイント。
ヴォーカルはアルバム音源とは言え、声域の狭さ、不安定さが分かってしまうのですが、声を伸ばす時のしゃがれた余韻などにみられる憂いの表情にハッとさせられます。透き通ったキーボード、トロピアルな雰囲気を盛り上げる流麗なギターなど、演奏も素晴らしい。レゲエのアルバムとしては、バラエティーに富んでおり、執念も感じる力作です。

所縁

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