JUSTIN HEATHCLIFF/ JUSTIN HEATHCLIFF

JUSTIN HEATHCLIFF/ JUSTIN HEATHCLIFF
1971年 日本
『執念を感じるべし』

 和楽器を用いた独自の和洋折衷音楽に取り組んだパイオニア、喜多嶋修と、日本のロック黎明期を支えたエンジニア、吉野金次がタッグを組んだプロジェクト、ジャスティン・ヒースクリフの唯一作。

 解説によると多重録音の拘りから「米国の一人マッカートニー」と呼ばれるエミット・ローズから触発されたのが切っ掛けで、「ビートルズのスタジオ・ワークを日本で再現する」というコンセプトにより制作されているアルバムです。
hqdefault.jpg

 全編英詞による研究成果をまとめた録音というべきもので、後期ビートルズの手法を再現しています。当時は画期的だったことも頷けるところ。あまりオリジナリティーが感じられないのは事情が事情なだけに仕方ない部分です。本家よりもファズ・ギターが前面に出ているなど、微妙な質感の違いを楽しむのが吉でしょう。何よりも徹底した拘りには執念、妄執が感じられ、圧倒されます。
関連するタグ 日本ロックポップス

カーネーション/SUBURBAN BAROQUE

カーネーション/SUBURBAN BAROQUE
2017年 日本
『ライブを体験したくなる』

 思いついたことを詰め込んだのが前作(ジャケットのイメージ通り)だったなら、バンドの躍動感を強調させたのが今回の新作だという印象。

 結成からの年月が経って、改めてバンド・サウンドのかっこよさを追求しており、厚みのあるアンサンブルは聴き応え抜群。脱退している矢部浩志が11曲中7曲でドラムを叩いている他、松江潤がギター、佐藤優介と藤井学が鍵盤で参加。
SB_web-thumb-350x347-735.jpg

 序盤3曲はメンバーがほぼ固定されているので、セッションの臨場感も伝わりワクワクさせてくれます。中盤でもトロッグスを彷彿とさせる迫力のビート、ツェッペリンのようなエキゾチックな旋律とグルーヴをビリビリと感じる充実の内容。音楽を浴びることの楽しさをシンプルに提供してくれているのが最高です。
  
 ブックレットには湯浅学氏のライナーがあり。THE ENDのアルバム以来、久しぶりの遭遇がカーネーションでうれしい。聴けば聴くほど音楽に対して謙虚になる、というお言葉、心しておきます。

Peanut Butter & Jelly
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ 日本ロック

羅生門/インディアン、死よりも赤を選ぶ

羅生門/インディアン、死よりも赤を選ぶ
1972年 日本
『クニ河内、ミッキー・カーチス参加』

 クニ河内が作曲で参加しているという理由で購入しました。羅生門は元々、ハプニングス・フォーの前身であるサンライズというグループを母体としたグループだったらしいのですが、本作をリリースしていた頃にはバンドとしての実体のないプロジェクトのような状態だったようです。中心にいたのは作曲として関わったクニ河内、ミッキー・カーチスとヴォーカル、ギターを担当したフロントマン、ポール湯川の3人。
61eh8THqnqL__SL500_SX355_.jpg

 タイトルにインディアンとあるようにアメリカの先住民族をコンセプトとした歌詞が印象的です。クニ河内、ミッキー・カーチス共にブリティッシュ・ロックからの影響を強く受けた作曲家であり、1972年という時代を反映してかユーライア・ヒープなどを彷彿とさせる英ハード・ロックっぽい曲も多く収録。一方で3曲収録されたヴォーカルのポール湯川による楽曲はゴールデン・ポップス調ながら、調和が取れています。

 哀愁を称えた男くさいヴォーカルは魅力十分。ストリングスやホーンを交えたアレンジはややロマンティック過剰で時代を感じさせますが味と言えなくもないです。クニ河内、ミッキー・カーチス参加という部分に、期待をして聴いたとして、それを裏切らない充実の内容。

動画はありません。
関連するタグ 日本ロック

徳永憲/信じるに値しない男

徳永憲/信じるに値しない男
2017年 日本
『滋賀が寒いところだということが良く分かる』

 10作目。前作発表後、東京から故郷の滋賀へと転居しており、再出発の1枚となります。
51vuZoV7xoL__SY355_.jpg

 ギター弾き語りをベースに宅録機器を駆使して制作するというスタイル。ここ数枚はポップになったり、ロック度を増したりしながら、どんどん耳馴染みが良くなっていったという印象でした。ゲストの参加による音もカラフルになっていました。
しかし新作はかなり硬派。特に前半の曲ではサビがサッパリとしており、いつものドラマティックな曲展開は控えめです。代わりにトラッド由来の寒々しさが強調されていて、冬の厳しさが伝わってくるような聴き心地。録音機材も前述のようにシンプルなので、音も概ね白と黒の世界の如し。帯にもありますが、初期の作風へと回帰しようという意図を感じます。内省的な徳永憲の本質を改めて確認出来ました。

序盤の3曲は、沈み込むような打ち込みのドラムとフルートがダークでオリエンタルな雰囲気を醸し出しており、レッド・ツェッペリンの「III」を思い出しました。

 アルバムタイトル「信じるに値しない男」はインパクト十分の言葉。長らく彼の音楽を楽しんできたので「そんなことない」と反駁したい所ですが、ご本人がそういっているのだからそうなのでしょう。故郷に帰って最初のアルバムタイトルで、信じるに値しない男だと表明している。田舎から上京して帰郷、と言う流れから来る悲哀を連想する言葉。僕は彼が信じるに値しない男だと受け入れつつ。今後、滋賀から登場する新作を、待っていようと思います。

雪の結晶
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ 日本SSWポップス

実川俊晴/ポップ・ソングス 1979-2016

実川俊晴/ポップ・ソングス 1979-2016
2017年(1979~2016) 日本
『幻にしておくのがもったいない』

 マギー・メイのアンソロジーに続く、実川俊晴アーカイヴ・コレクション第2弾。前作のレビューで『「はじめてのチュウ」の作者』というタタキで興味を持ったと書きましたが、その意味からするとGS時代の前作よりも今回のアルバムが本命でした。
CRCD5137-38.jpg

 幻のポップ・クリエーターと帯で称されているので、てっきり作曲家一本槍だと思っていたのですが、きちんとソロ・アルバムもリリースしておりました。今回のアンソロジーでは、唯一のソロ作及びシングルをまとめたディスク1と、未発表を中心とした80年代以降の音源をまとめたディスク2という構成になっています。

 解説を読むとビージーズ、パイロットから影響を強く受けたとありますが、その通りの甘く爽やかなポップ・ミュージックが堪能できます。ドラマティックな英米折衷のメロディーと曲展開、そして若干声量は足りないけれども、とろけるようなファルセット・ヴォーカルが素晴らしい。ディスク1はアルバム音源を中心にした統一感があります。ディスク2はそれに比べると音質を含めてバラバラですが、70分オーバーでレア音源を収録してくれており大満足です。

 詳細な解説もありがたい。

実川俊晴 ポップ・ソングス 1979-2016 TOSHIHARU JITSUKAWA POP SONGS 1979-2016
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ 日本SSWポップス