森田童子/東京カテドラル聖マリア大聖堂録音盤

森田童子/東京カテドラル聖マリア大聖堂録音盤
1978年 日本
『まさか手拍子が起こるとは』

 唯一のライブ盤です。彼女のスタジオ盤には編曲家の様々な仕掛けが施されています。その上での作品なのですが、実際彼女がどのような演奏をしていたのかを知る上ではライブ盤は欠かせません。CD化の際に2曲が追加されて全10曲となっています。
東京カテドラル聖マリア大聖堂という教会でのパフォーマンスを収録。ここへは行ったことが無いのですが、震えるような残響が印象的です。
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コーラス隊、ピアノ、オルガン、ヴァイオリンなどを擁した豪華編成のライブ。あくまでも彼女の歌とギターを主役として、演奏陣はサポートに徹しています。ライブでの歌唱は少し非力に感じるところもありますが、儚い味わいは唯一無二。慣れているからかテンポが速くなっている曲がいくつかあり、「ぼくと観光バスに乗ってみませんか」では手拍子も起こります。昭和の雰囲気を感じました。コーラス隊と拍手が混ざり合うざわざわとした感じが良かったです。
何曲かで語りの時間もあるのですが、少し籠っている上、声が小さいのであまり聞き取れません。何度か聴き返してみようと思います。

ぼくと観光バスに乗ってみませんか(LIVE)
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135/moment

135/moment
1993年 日本
『高橋幸宏、斎藤ネコが編曲で参加』

 135には本作の後も5枚ほどのアルバムがあるようですが、オーダーメイド・ファクトリーでCD化されているのはここまでです。5thアルバム。
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 彼らの特徴である東洋風メロディーに、フュージョン、サンバなどのアレンジを施しています。90年代らしいキーボードを強調した透明感、大陸を感じさせるおおらかさも本作ならではの味わい。

 編曲はいつもの林有三だけでなく、岩本正樹、高橋幸宏、斎藤ネコの三人が加わっています。高橋幸宏の楽曲はこちらの期待通り、キラキラポコポコしていてテクノ・ポップ度が高いです。

 今回の再発にはボーナス・トラックとしてシングル曲2曲が追加。みんなのうたに採用された「Catch~次の夏が来るように~」はゴダイゴとジャーニーを合わせたようなドラマティックさを持った曲で、こんな引き出しもあるのか、と感心しました。

愛から
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135/IV-fortune-

135/IV-fortune-
1991年 日本
『90年代サウンドにグループの個性を順応させたアルバム』

 135の再発盤レビューも4枚目となりました。そろそろ書くことも無くなってくるのでは、という心配もありつつ続けます。

 クレジットには大きな変化がありません。メンバーの3人と林有三の編曲により制作されています。
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 ドラムがかなり軽い叩き方をしており、サウンドは軽快なものへと変化しています。現在の耳で聴くとペラペラだなと思うところもありつつ、それでも鍵盤楽器の煌びやかさが強調されているので、これはこれで新鮮な音楽となっています。尚、一発録りと思しき「Callin’」だけが厳粛な雰囲気を持っていて浮いているのもポイント。アジア音階は健在。今回のアルバムでも琴やヴァイオリン、サックスが入っています。しかし音の隙間を十分とっており、キーボードの透明感を損なわないように配慮されているように感じました。

 90年代サウンドにグループの個性を順応させたアルバムです。トリッキーな歌詞が無くなっており、そのことに寂しさを感じつつも
洗練された魅力が楽しめます。

 尚、再発盤にはミニアルバム『Pentangle』がカップリングで収録されています。鍵盤奏者やパーカッション奏者がセッションに参加しており、『IV-fortune-』と同傾向ながら強めのバンド・サウンドが特徴。二胡が入っているため、民族色は残っていますが歌謡ロック度の高いキャッチーな楽曲が揃っています。

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佐藤奈々子/Sweet Swingin'

佐藤奈々子/Sweet Swingin'
1977年 日本
『ジャケ通りの甘さ』

 女性SSW、佐藤奈々子。作曲パートナーとして佐野元春、アレンジにジャズ・ギタリストの横内章次を迎えて制作されたセカンド・アルバム。
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 気怠いヴォーカルと優雅なジャズ・アレンジの組み合わせは相性がいいです。ゴールデン・ポップス風のノスタルジックなファーストと比べるとセクシーな大人っぽさが強調されています。上品でおしゃれなアレンジのたまものでしょう。

 実は10代の頃にこのアルバムを持っていたのですが、ファーストに比べて地味に感じて一度手放しています。今回、久しぶりに聴いてみると、なるほど、このだるーい感じではメタル大好きな当時の自分は受け付けなかっただろうな、と感じました。休日の掃除中にこれを掛けていたら、「チープ・ダンス」のところでいつもの部屋が素敵に見えて来ました。

ミューズの恋人

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森田童子/ A BOY ボーイ

森田童子/ A BOY ボーイ
1977年 日本
『オーケストラでセンチメンタルを盛り上げろ』

 森田童子の3枚目です。てっきり最高傑作はファーストだと思っていたのですが、再発時の紹介文によるとサードが最高傑作とされているようです。編曲家は複数人起用。ジャックス、五つの赤い風船、吐痙唾舐汰伽藍沙箱、六文銭などで知られる木田高介が4曲、演歌も手掛ける若草恵が3曲担当している他、男はつらいよシリーズの音楽も担当したクラシック畑の青山勇と、元六文銭のギタリストでもある石川鷹彦が1曲ずつで編曲しています。森田童子が注目を集めていたからこその勝負を掛けた豪華メンバーなのでしょう。オーケストラ・アレンジが多く採用されていますが、セッション・メンバーのクレジットは一切ありません。
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 フォーク畑の木田高介担当の楽曲は消え入りそうな歌唱とアコギこそが森田童子の作品の肝である、というシンプルな方針が貫かれています。オーケストラ・アレンジはギターと歌を邪魔していません。また石川鷹彦担当の「君と淋しい風になる」も同傾向ですが、終盤に情熱的なエレキギターのソロが入っています。

 もう一方の若草恵担当曲は、オーケストラ・アレンジの主張が激しく、ドラマティックな仕上がり。打楽器が轟く様は圧巻です。その為、「セルロイドの少女」の中盤から終盤に掛けての部分など、一部で森田童子が置いてきぼりになっている部分もあり。また、ヴォーカルの発声が不明瞭な箇所も少々あります。ただし森田童子の感傷を最大限に表現する方法としてバッチリ噛み合っていることも確か。グイグイ引き込まれます。

 青山勇が担当した「終曲のために 第3番 「友への手紙」」は、オーケストラをバックに従えての朗読でした。

 オーケストラ・アレンジで森田童子のセンチメンタルを最大限引き出そうとしたアルバムだと思います。最高傑作と言われるのも納得の濃密さがあります。しかしながら重いです。

君と淋しい風になる
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