森田童子/ラスト・ワルツ

森田童子/ラスト・ワルツ
1980年 日本
『洗練されつつも彼女自身のやりたいことを突き詰めたアルバム』

 4枚目のアルバム。千代正行編曲。不勉強で知りませんでしたが、石川さゆりや中森明菜、竹内まりやなど女性歌手を中心としたセッション・ギタリストとして活躍している凄い方です。アコースティック・ギターを得意としていますが、編曲はストリングスがフューチャーされたドラマティックなものとなっています。前作のライブ盤からの流れとして「讃美歌」のような楽曲もいくつか収録されているのもポイント。
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 震えて不安定なヴォーカルが魅力だった森田童子ですが、このアルバムから少しずつ歌声が安定していきます。寂しさは相変わらず纏っています。また前述した「讃美歌」のような楽曲、例えば「グリーン大佐答えて下さい」では、学校の唱歌のようなソプラノ・ボイスを披露。Ipodなどを使って、シャッフルでこの曲が流れてきたら最初は森田童子の曲と分からないかも、というくらい、これまでと異なる歌い方をしています。

 『ラスト・ワルツ』というタイトルからは、彼女の生きた世界への区切りとして制作されたことが伺えます。これまでの集大成を感じさせる楽曲が多く、それぞれの楽曲にある物語をストリングスが盛り立てています。洗練されつつも彼女自身のやりたいことを突き詰めたアルバムだと思います。

みんな夢でありました
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土岐麻子/PINK

土岐麻子/PINK
2017年 日本
『21世紀シティポップにも慣れてきた』

 帯には21世紀シティポップの決定盤の文字があり、今回のアルバムも安心して聴けそうだと分かります。今年、上半期に繰り返して聴いていた3枚のうちの1枚です。日本の女性SSW、土岐麻子の新作。過去作レビューはこちら
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 プロデュースと楽曲提供者としてトオミヨウを起用。自分は勉強不足で今回、初めて知った方です。ピアノを切っ掛けとして作曲を始め、現在はアレンジやツアーサポート、映画音楽、舞台音楽の制作で活躍されているとのこと。全10曲で2曲はG.RINAが作曲しています。作詞は本人が担当。

 ストリングスやギターは入っているものの、今回のアルバムも打ち込み重視のサウンドです。ただ、これまでのアルバムでは「これが全部生音だったらなぁ。」とか頭を掠めていたのですが、今回は全く動じませんでした。ピアニストのプロデューサーということで、キラキラした鍵盤を活かした、爽やかで透き通ったサウンドが印象的。そして何より曲が素晴らしい。各曲それぞれ、性格付けがハッキリしていてバラエティに富んでいます。また、歌詞に関しては、存分にフェミニズムを発揮されているものの、前作で免疫が出来たのか、すんなり聴き通せました。

土岐麻子 / PINK
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森田童子/東京カテドラル聖マリア大聖堂録音盤

森田童子/東京カテドラル聖マリア大聖堂録音盤
1978年 日本
『まさか手拍子が起こるとは』

 唯一のライブ盤です。彼女のスタジオ盤には編曲家の様々な仕掛けが施されています。その上での作品なのですが、実際彼女がどのような演奏をしていたのかを知る上ではライブ盤は欠かせません。CD化の際に2曲が追加されて全10曲となっています。
東京カテドラル聖マリア大聖堂という教会でのパフォーマンスを収録。ここへは行ったことが無いのですが、震えるような残響が印象的です。
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コーラス隊、ピアノ、オルガン、ヴァイオリンなどを擁した豪華編成のライブ。あくまでも彼女の歌とギターを主役として、演奏陣はサポートに徹しています。ライブでの歌唱は少し非力に感じるところもありますが、儚い味わいは唯一無二。慣れているからかテンポが速くなっている曲がいくつかあり、「ぼくと観光バスに乗ってみませんか」では手拍子も起こります。昭和の雰囲気を感じました。コーラス隊と拍手が混ざり合うざわざわとした感じが良かったです。
何曲かで語りの時間もあるのですが、少し籠っている上、声が小さいのであまり聞き取れません。何度か聴き返してみようと思います。

ぼくと観光バスに乗ってみませんか(LIVE)
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135/moment

135/moment
1993年 日本
『高橋幸宏、斎藤ネコが編曲で参加』

 135には本作の後も5枚ほどのアルバムがあるようですが、オーダーメイド・ファクトリーでCD化されているのはここまでです。5thアルバム。
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 彼らの特徴である東洋風メロディーに、フュージョン、サンバなどのアレンジを施しています。90年代らしいキーボードを強調した透明感、大陸を感じさせるおおらかさも本作ならではの味わい。

 編曲はいつもの林有三だけでなく、岩本正樹、高橋幸宏、斎藤ネコの三人が加わっています。高橋幸宏の楽曲はこちらの期待通り、キラキラポコポコしていてテクノ・ポップ度が高いです。

 今回の再発にはボーナス・トラックとしてシングル曲2曲が追加。みんなのうたに採用された「Catch~次の夏が来るように~」はゴダイゴとジャーニーを合わせたようなドラマティックさを持った曲で、こんな引き出しもあるのか、と感心しました。

愛から
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135/IV-fortune-

135/IV-fortune-
1991年 日本
『90年代サウンドにグループの個性を順応させたアルバム』

 135の再発盤レビューも4枚目となりました。そろそろ書くことも無くなってくるのでは、という心配もありつつ続けます。

 クレジットには大きな変化がありません。メンバーの3人と林有三の編曲により制作されています。
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 ドラムがかなり軽い叩き方をしており、サウンドは軽快なものへと変化しています。現在の耳で聴くとペラペラだなと思うところもありつつ、それでも鍵盤楽器の煌びやかさが強調されているので、これはこれで新鮮な音楽となっています。尚、一発録りと思しき「Callin’」だけが厳粛な雰囲気を持っていて浮いているのもポイント。アジア音階は健在。今回のアルバムでも琴やヴァイオリン、サックスが入っています。しかし音の隙間を十分とっており、キーボードの透明感を損なわないように配慮されているように感じました。

 90年代サウンドにグループの個性を順応させたアルバムです。トリッキーな歌詞が無くなっており、そのことに寂しさを感じつつも
洗練された魅力が楽しめます。

 尚、再発盤にはミニアルバム『Pentangle』がカップリングで収録されています。鍵盤奏者やパーカッション奏者がセッションに参加しており、『IV-fortune-』と同傾向ながら強めのバンド・サウンドが特徴。二胡が入っているため、民族色は残っていますが歌謡ロック度の高いキャッチーな楽曲が揃っています。

動画がありませんでした。
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