原田茶飯事/いななき

原田茶飯事/いななき
2015年4月 日本
『このじゃーーん、っていう弾く楽器は何』

 原田茶飯事のレビューも3枚目。
当ブログでもっとも取り上げた日本人ミュージシャンだと思います。
プロフィールなどは既に述べているので割愛。過去タイトルは記事下部にあるタグからどうぞ。

 本作は渋谷系のプロデューサーとして知られる森達彦をエンジニアに起用してのバンド録音作。
管楽器、鍵盤入りの編成です。

 オープニング曲「どうかしてるぜ」は
持ち味であるボサノヴァ由来のメロディーが生かされている、
一風変わったロックンロール・ナンバー。
激しい曲はこれくらいで、以降は穏やかなミドル・チューン中心の内容。

 全体的に風通しが良く、開放的なサウンドになっているのは、
やはりバンド録音となった成果でしょう。
乾いたパーカッションや、涼しげなキーボードが印象的な隙間ゆったりのアンサンブル。
「いななき」の一要素であるサックスもピンポイントで活躍、穏やかさを強調しています。
諦観も交えた穏やかな歌声も相変わらず魅力的。
今回のアルバムではより感情的に歌っており、楽曲をよりドラマティックなものにしています。

 帯コメントの「野生が目覚めた」という言葉を受けて1曲目を聴いた期待感とは裏腹に、
全体的には落ち着いたトーン。
地味であることは否めません。
しかしながら、穏やかでおセンチな・・・・・・
つまりサヴタージな雰囲気(サヴタージは日本語に出来ないとはいいますが)
を纏った佳曲が揃っており、楽しめました。

「終末のドライブ」
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原田茶飯事/光るジュレのなかから

原田茶飯事/光るジュレのなかから
2013年8月 日本
『正月気分増幅』

 買いそびれていた原田茶飯事のアルバムを、最近やっと手に入れました。
経歴については過去のレビューを参考にしてください。
なんて書いていると、何だか記事が充実してきたと実感してきました。

 ソロとしては初めての全国流通盤。遅ればせながらおめでとうございます。
今回も自宅録音で制作されていますが、音質はかなり良好。
一味違います。
バラード・ナンバーでは
宅録ならではの密室的でアットホームな魅力を発揮。
ここでは掠れ気味の柔らかい歌声も素晴らしい。
一方でアップ・テンポでは
サックスやコンガ、フィドル、コーラスでゲスト・ミュージシャンが参加しており、
セッションらしい熱気を感じることが出来ます。
バラエティーに富んだアルバムです。

 音楽性は従来通り。ボサノヴァ、ソフトロックを通過した洗練されたポップスをやっています。
初の全国流通ということで、顔見せ的な性格も強いのでしょう。
総決算という感じ。
敢えて言えば彼自身によるピアノ、そしてゲストのサックスが活躍する曲では
かなりジャジーになっており、この辺りは新機軸でしょうか。
一度聴いてすぐ頭にこびりつくようなメロディーこそ無いものの、
のほほんとした旋律が心地よいです。

 タイトル曲「光るジュレのなかから」は朝帰りして
いつ起きるかも決めずに微睡の中に落ちていく歌。
日本の喧騒を生き急いでいるような人間には
こういう音楽はとても助かります。

「はだかのうたをください」
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原田茶飯事&Expresso CANSAI/mammoth happiness

原田茶飯事&Expresso CANSAI/mammoth happiness
2010年 日本
『自主盤を聴く 第2回』

 自宅に眠っている自主盤CDを掘り起こして紹介しよう、というコーナーの第2回です。
今回もご本人にわざわざ送っていただいたCDを、ビクビクしながらレビューしてみます。

 まず、自分が好きだった7人組トロピカルポップスバンド、クリームチーズオブサンが解散。
そのリーダーだった原田茶飯事のソロ活動(拠点を関西から都内に移しています)
をチェックする際、その作品群を自主盤として自身のHPなどで通販していたということ。
そして何枚か購入していたのですが、本作は2010年の作品になります。

 当時、覚えているのは「前のアルバムも買っています、
新作まだチェックしていませんでした、楽しみにしています。」
みたいな挨拶を書いて申し込んだところ、
おまけとして自分が持っていなかったシングル盤も付けてくれたこと。
音源はミュージシャンにとって大切なものなのに、
おまけでつけてくれるなんてありがたいことです。
そしてもう一つ。
アルバムが到着後数日が経った頃、阪神大震災が起きたこと。
当時、本作ともう一枚自主盤を購入していた(これもいつか書ければ)のですが、
両方ともしばらく聴かなかったのを覚えています。

 さて、そんな本作の話をする前に彼の音楽性について。
ソロ活動後は弾き語りでの楽曲制作をしています。
音楽性はボサノヴァを始めとするブラジル音楽の影響を感じさせる爽やかで内省的な
アコースティック音楽。

 そんな彼ですが、本作では前作「かなしみの茶飯事」と対になる
タイトル「mammoth happiness 」(ファンだったのかな?)が冠されており、
バンド・サウンドを導入しています。
そして録音を再び関西(京都)でしていることもポイント。
原点回帰、心機一転の意図が感じられます。

 幸福感をテーマにしているということで、確かに明るい雰囲気の曲が並んでいるのですが、
それ以上に渋く温かみのあるジャジーなアンサンブルが印象的。
クリームチーズオブサンほど弾けていないもののいい意味での緩さは共通しています。
それはラリーパパ&カーネギーママにも似た味わい。
かつてクリームチーズオブサンで顕著だったグネグネと捻ったメロディーも、
華やかなバンド・サウンドとなったことでより際立っています。
ボーナスの弾き語り音源も、アルバムとは趣を変えて楽しめるうれしいサービス。

 久しぶりに聴きましたが29分でサクッと聴けるいい音楽でした。
ぼやぼやしているときのBGMとして最高。

「懲りない2人」
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