Speak Low If You Speak Love /Nearsighted

Speak Low If You Speak Love /Nearsighted
2018年 アメリカ
『風が強い雨の日におすすめ』

 ジャケットがスタイル・カウンシル風だったので聴いてみた1枚。実際はアメリカのミュージシャンでしたので、全く鼻は効いておりません。
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 Speak Low If You Speak Love はSTATE CHAMPSというグループでベースを担当しているライアン・グラハムのソロ・プロジェクトとのこと。全然分からないのでもう少し深掘りします。

 STATE CHAMPSはニューヨーク州アルバ二ーにて、2010年に結成された5人組グループ。少し聴いてみましたが、ノリの良いオーソドックスなポップ・パンク・バンドのようです。これまでフル・アルバムを2枚発表。ライアン・グラハムはこちらのグループに在籍しながら、並行してソロ・プロジェクトを2011年から開始しており、こちらではEP2枚とアルバム1枚を発表。本作はセカンド・アルバムとなります。

 センチメンタルなメロディーを奏でるシンセサイザーと様々な残響音、プログラミング、そしてファルセット・ヴォイスがサウンドの特徴。STATE CHAMPSでの弾けたポップさとは打って変わって、内省的な音楽性となっています。ただSTATE CHAMPSでもアコースティック録音のEPを発表しているので、繋がりはあり。いくつかの曲ではアコギ弾き語りを披露しているのもポイント。エレクトロ、ニューウェイヴの要素も内包しており、おしゃれなジャケットそのままの暗く落ち着いた聴き心地です。繊細に重ねられた高音が美しい。

Contrasting Colors
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AFTER THE FIRE/Signs Of Change

AFTER THE FIRE/Signs Of Change
1978年 イギリス
『ジェネシス・フォロワーの良作』

 このアルバムのことは、マーキーのブリティッシュ・ロック集成に載っていたことで知りました。ただ1977年制作ということもあり(リリースは翌年とのこと)後回しにしていたのですが、最近中古盤店で見かけて購入しました。

 80年代にはニューウェイヴ系のグループとして知られるアフター・ザ・ファイヤーのデビュー作。本作のみプログレッシヴ・ロックをやっているとのことです。
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 まずヴォーカルのピーター・ガブリエルになりきった歌唱パフォーマンスが印象的。加えてドラマティックな旋律を奏でるキーボードと、目まぐるしく変化するリズム(はっきり言ってフラフラ)が飛び込んできて、「これはジェネシス・フォロワーだな。」と開始数分で判断できました。ファースト・アルバムということで、オリジナリティーの確立よりは自分たちのやりたいことを優先している印象。展開にバタバタとした性急なところが感じられる点はあるものの、ポップでドラマティックな楽曲群は聴き応えがあります。70年代後半にして、ジメジメした70年代プログレを聴けるという意味では貴重。

Now That I've Found
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Starcrawler/ Starcrawler

Starcrawler/ Starcrawler
2018年 アメリカ
『手は洗おう』

 ハッタリ満点のパンク・ロック。宣材文には”ザ・クランプス、ヤー・ヤー・ヤーズ、アリス・クーパー、ニューヨーク・ドールズ、オジー・オズボーン、ザ・ランナウェイズを合わせたら何が生まれる?そう!その答えがスタークローラーだ。”という文句が載っているのですが、とても分かりやすく魅力を伝えていると思います。
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 ロサンゼルス出身。
Henri Cash- Guitar
Austin Smith - Drums
Arrow de Wilde - Vocals
Tim Franco – bass
の4人組。2015年に結成、2016年には初のEPを発表しています。この段階ではいくつかのミュージシャンの前座で演奏していたに過ぎなかった彼らですが、プロデューサーとして活動を支えているライアン・アダムスやエルトン・ジョン、マイ・ケミカル・ロマンスのジェラルド・ウェイ、デイヴ・グロールなど、多くのミュージシャンから支持を集めています。本作は満を持してのファースト・アルバムです。

 紅一点であるアロウ・デ・ワイルドの存在感が際立っており、ランナウェイズを引き合いに出されるのも彼女のヴォーカルあってのことでしょう。エコー越しとは言え、しゃくりあげるような高音の絞り出し方や、おきゃんで不敵なパフォーマンスはシェリー・カーリーを確かに彷彿とさせます。付け加えれば、楽曲にも「Cherry Bomb」っぽいものがあります。
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 バンド・アンサンブルは太く凶暴で引き締まっています。うねるグルーヴやオルタナティヴ調の倦怠感を含んだリフを繰り返すシンプルな演奏が中心ですが、疾走感とタイトさを兼ね備えていて好印象。アルバム発表前に売り出されたという日本公演もかなりの人気とのこと。勢いを感じる新人グループです。

Starcrawler - I Love LA
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Kyle Craft/Full Circle Nightmare

Kyle Craft/Full Circle Nightmare
2018年 アメリカ
『グラムロッカーが咆哮する夜』

 アメリカ、ポートランド州出身のSWW、カイル・クラフト。2016年に『Dolls Of Highland』というアルバムでデビュー。本作はセカンドとなります。

 デヴィッド・ボウイでロックに興味を持ったというカイル。これまでは学生時代に買い与えられたラップトップ・パソコンで作曲から録音までを行っていたとのことですが、本作からはスタジオ録音でアルバムが作られています。レーベルは前作と同様、サブポップ。
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 巻き舌でダーティな歌声と、ピアノ、ホーンの入ったロックンロール・アンサンブル。デヴィッド・ボウイからの影響と言われればそうかな、とも思うのですが、結果としてアリス・クーパー寄りのサウンドになっています。猥雑さ、派手でシアトリカルな曲展開といった要素が特にそう感じさせるところ。鬼気迫るヴォーカルの存在感も十分です。ねちっこい。ギター・リフを中心としたシンプルな骨格を持つ楽曲が多い反面、熱烈なヴォーカルに導かれて激しく変化するドラマティックな展開が多いのもポイント。またギターにはカントリーのルーツがたっぷり含まれており、素朴な哀愁を併せ持っているのも聴きどころです。

Kyle Craft - Heartbreak Junky [LYRIC VIDEO]

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JUSTIN HEATHCLIFF/ JUSTIN HEATHCLIFF

JUSTIN HEATHCLIFF/ JUSTIN HEATHCLIFF
1971年 日本
『執念を感じるべし』

 和楽器を用いた独自の和洋折衷音楽に取り組んだパイオニア、喜多嶋修と、日本のロック黎明期を支えたエンジニア、吉野金次がタッグを組んだプロジェクト、ジャスティン・ヒースクリフの唯一作。

 解説によると多重録音の拘りから「米国の一人マッカートニー」と呼ばれるエミット・ローズから触発されたのが切っ掛けで、「ビートルズのスタジオ・ワークを日本で再現する」というコンセプトにより制作されているアルバムです。
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 全編英詞による研究成果をまとめた録音というべきもので、後期ビートルズの手法を再現しています。当時は画期的だったことも頷けるところ。あまりオリジナリティーが感じられないのは事情が事情なだけに仕方ない部分です。本家よりもファズ・ギターが前面に出ているなど、微妙な質感の違いを楽しむのが吉でしょう。何よりも徹底した拘りには執念、妄執が感じられ、圧倒されます。
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