Steffie Beltt/ Luna De Octubre

Steffie Beltt/ Luna De Octubre
2017年 メキシコ
『ブリティッシュ・ブルースにメキシコの熱狂を』

 うめくハーモニカと渋いブルース・ギターが引っ張るクールな演奏陣。対照的にヴォーカルは奔放で愛嬌たっぷり。生命力あふれる音楽。陽気なメキシカン・ブルース・ロックです。

 首都、メキシコ・シティを拠点として活動するブルース・ロック・シンガー、ステフィー・ベレット。彼女は1994年、キューバの母とメキシコの父との間で生まれました。メキシコのオペラ歌手、ルチアーノ・ベルトランを父に持った彼女は、わずか5歳から子供番組「セサミ・ストリート」に参加しており、それをテレビ局での仕事の足掛かりとしています。15歳よりレストランやバーで歌い始めることに。これを機に様々な合唱団や作曲家、グループと交流、存在感を高めるとともに音楽を学んでいきます。2013年、ブルース・ハープ・プレイヤー、ビクター・ギャリーと出会い意気投合、遂に自身のグループを立ち上げることを決意します。本作は彼女が作ったグループ(彼女を含めて5人編成)を従えてのセカンド・アルバムとなります。
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 ブリティッシュ・ブルースにメキシコの熱狂を加えたような作風はインパクト抜群。女性のブルース・ロック・シンガーは少なからずジャニスに影響を受けてしまうものですが、彼女の場合にはそれは控えめ。絡みつくような低音でのシャウトはパワフルで粘っこいです。エキゾチックな魅力は彼女のヴォーカルが担っている印象。一方でバック・バンドの演奏はブリティッシュ・ブルース然としたクールなもの。特にギターとハーモニカは素晴らしいです。

Luna de Octubre (Videoclip Oficial)

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Lucas Hamming/Luck Is For Suckers

Lucas Hamming/Luck Is For Suckers
2017年 オランダ
『ソリッドで現代的なダンス・ロック』

 エネルギッシュにしてダンサフル。アークティック・モンキーズ等に影響を受けたと思しき、ソリッドで現代的なダンス・ロックをやっています。完全にロック・バンドの装いでありながら、名義はソロのシンガーソングライターという不思議さ。

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印象的なジャケです。色使いがオランダっぽいですね。

 1993年11月生まれ。ストックホルムを拠点に活動するSSW、ルーカス・ハミング。ジェフ・バックレイ、レディオヘッド、ポール・ウェラー、アークティック・モンキーズ、ティム・クリステン等の音楽に夢中になり、2009年ごろより音楽活動を開始。テレビでの作曲家オーディション番組にてディレクターを務めていた経験もあり。その後、楽曲を発表するとラジオ局3FMのバックアップを受ける形で、支持を拡大。現在まで3枚のアルバムを発表しており、本作が4枚目となります。名義はソロですが、固定のバンドを率いており、編成は以下の通りです。

Lucas Hamming (Vocals/Guitar)
Kas Lambers (Guitar/Vocals)
Stijn van Rijsbergen (Drums/Vocals)
Thomas Veenstra (Bass/Vocals)
Jelte de Vries (Keys/Guitar/Vocals)
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 躍動感があり、キラキラとしたキーボード、ギター・サウンドが特徴です。彼が影響を受けた00年代のロック・サウンドの雰囲気があり。力強く発声のはっきりしたヴォーカルはロック・バンドにふさわしい存在感を示しており、フロントマンとして最高のものです。うねりを持って、時にクールダウンさせる曲展開も素晴らしい。作曲家としても一級です。

Be Good Or Be Gone
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Darling/Darling

Darling/Darling 
2017年 イギリス
『アイルランドの新鋭ロック・デュオ』

 荒涼とした冷たさと迸る情緒が同居するロック・サウンドは、彼らの先達であるU2やコールドプレイを彷彿とさせます。デュオにしてスタジアム・ロック級の音楽を表現しているのが凄い。

 アイルランド、ダブリン出身。ダーリンはギター、プログラム担当のゲイリー・ハーディングとヴォーカル担当のジェイムズ・マクガイアの二人によって2012年に結成されました。デモ音源をネット等で公開していたところを、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド、グレース・ジョーンズ、ウルトラヴォックス、ペットショップ・ボーイズなどを手掛けたことで知られるプロデューサー、スティーブン・リプソンの目に留まり、彼の後押しを受ける形で本作が完成。これがデビュー作となります。
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 デュオとは言え、録音は鍵盤入りのフル・バンド形態で行われています。80年代~90年代に掛けてのロックからの影響が強く、低音がズンズン響くダイナミックなロック・サウンドでありながら、前述したようないかにもアイルランドのグループらしい個性を持っているのが特徴。キラキラとしたギター、爽やかなコーラスが浮き上がるアレンジが施されており、アコースティックで幻想的な味わいがあります。U2、コールドプレイからの影響は固まりのまま、曲に収まっている状態。それを加味しても素晴らしいロック作品であると言えます。

※お知らせ
現在、記事の書き溜め期間に入っており、少しばかり更新が遅くなります。
二日に1日更新くらいを目安に頑張りますのでよろしくお願い致します。
読んで頂きありがとうございます。

Bright Light Switch
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Lauren Ivy & The Engine/ Soul Kit EP

Lauren Ivy & The Engine/ Soul Kit EP
2017年 イギリス
『ブリティッシュ・ブルース・ロックの新星』

 「朝日のあたる家」をオルガン・ギンギンで、たそがれカバー。ヴォーカルは女性で感情たっぷり。当ブログではフルアルバム重視で普段あまりチェックしないEPだけれども、これは聴くしかないでしょう。
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 チャンネル諸島にあるジャージー島で結成された4人組、ローレン・アイヴィー&ジ・エンジン。2015年から活動を開始、当初からこれまで、クラブなどでブルースやソウルのカバー曲を演奏して過ごしているとのこと。左腕にド派手なタトゥー(ブリティッシュな柄です)を施した華やかなローレンと、もさいおじさんという対比を成すルックスが受けて地元では人気を博しているそうです。今回は彼女達の曲が映画『アナモルフォシス(Anamorphosis)』で使用されることになり、それに合わせてEPを制作。上記の「朝日のあたる家」はカバーですが、他4曲は(「Frankie And Johnnie」なんて曲もありますが)オリジナルです。
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 ローレンのタトゥーを含むルックスはもちろん素晴らしいのですが、嗄れ声での情熱的な歌唱も劣らずに素晴らしい。加えてモッズを彷彿とさせるブイブイに揺れるオルガン、クリーンなソロを披露するブルース・ギター、腹にドスドス来るリズム隊とバックの演奏も文句なし。オリジナル曲は総じて60年代ルーツを感じさせるもので、シャッフル、退廃的なミドル・ナンバー、ピアノ・バラードと多彩です。挨拶代わりの一枚ということでしょう。彼らはエレクトリック・ブルースをやっているとFACEBOOKで表明していますが、この曲数ではまだそこまで明確に見えて来ません。確かに英ブルース特有の熱と粘り気は感じられますが。。。真の個性が明らかとなるフル・アルバムを待ちたいと思います。

Soul Kit - Lauren Ivy and the Engine
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Balto/Strangers

Balto/Strangers
2017年 アメリカ
『よそものとして自身のルーツを探求する』

 引退してしまいましたが、把瑠都というお相撲さんがいました。あの方の名前は自身の故郷である旧エストニアが面していたバルト海から取られたものだそうです。そして本日、ご紹介するバルトというグループ。そのリーダーであるダニエル・シャロンはシベリア(ロシアの南東部)にある、バイカル湖のほとりで生まれ育ったとのことで、やはりバルト海からグループ名を取っています。(バイカルでも良かったのでは、と思わなくもない)

 幼少期をシベリアで過ごしたダニエルは、オレゴン州ポートランドへ移住。そこで2010年に結成された4人組のグループがバルトです。アメリカーナのルーツを探求しているダニエルが音楽性をリードする形でファースト・アルバムを完成させました。オレゴン州にある農業島(田んぼとかしかないのかな)のスタジオを発見した彼らはそこに数多くの楽器を持ち込み、9日間籠って作り上げたとのこと。アルバムでの音楽を「Mercurial(気まぐれな)」アメリカン・ロックンロールと命名しています。
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うーん、このジャケだと中古新入荷でエサ箱漁っててもスルーしちゃいそう。

 メンバークレジットにはありませんが、鍵盤が大活躍しています。ギター、鍵盤ともに残響のある高音が印象的な、抜けのいいアメリカン・ロックをやっており、この辺りは看板通りのサウンド。ただダニエルの出自が影響しているのか、メロディーには哀愁が漂っており、とにかく湿っぽい。アメリカ特有のカラッとしてサウンドとは一線を画しています。隙間が多く、土着的な雰囲気を醸し出しているのも特徴です。これがシベリアの風土なのかは分かりかねますが、異邦を感じるのは確か。感傷的にコブシを回すヴォーカルが素晴らしい。
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 ダニエルはシベリアで孤独な幼少期を送っていたそうです。その後、アメリカに渡ってからはアメリカーナを探求するほどアメリカの音楽を愛しつつも、いざ表現するときには自身のルーツであったシベリアの音が混ざってしまうことに気が付いたのでしょう。そして吹っ切れたタイトル『Strangers』。だからこその個性が発揮されています。次回作が楽しみ。

Balto - Shots In The Dark
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