The Pure Conjecture/ No Ghosts

The Pure Conjecture/ No Ghosts
2017年 
『イギリスらしい暗い幻影を楽しめるグループ』

 根暗で欝々。それでいて洗練されていて華麗なビートとコーラス。甘くソウルフルなヴォーカル、ぐるぐる回るシンセサイザー。みんな、どんよりしています。ちょっとポリスっぽいかもしれません。

 ウェールズのカーディフ出身。ポリスっぽいと言っておいて何ですが、10人編成の大所帯グループです。マシュー・イートンとダレン・ムーンという二人の作曲コンビを中心に結成されており、クレジットは以下。

Matthew Eaton (vocals/guitar), Darren Moon (vocals/guitar), Matthew Twaites (synths), Rose Elinor Dougall (vocals/piano), Johny Lamb (horns), Marc Geatty (bass), and Joel Gibson (drums). Additional contributors are Andrew Michell (lead vocals and co-writing credit on "Knock Four Times"), Ashley Mcavoy (backing vocals on "Not A Cloud In The Sky"), and Joe Harling (lead guitar on "No Ghosts").
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誰が誰か、それは次回作までの宿題ということで!

メンバーはウェールズのみならず、イングランド、スコットランドの様々な場所から集結しているそうです。結成時期は不明ながら、本作はサード・アルバムになるとのこと。
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ジャケ良し!

 ニューウェイヴ系のシンセ・ロックを土台としていながら、ホール&オーツがやりそうな陽光メロディーが入っていたりして、ノーザン・ソウルやAORのルーツも取り込んでいるのがポイント。無機質にリフを弾いていたかと思えば突如エモーショナルでノイジーなソロを弾き倒すギター、そして前述のソウルフルなヴォーカルが魅力的です。

 作曲デュオを中心に結成されただけに、楽曲の出来が抜群に素晴らしい。どんよりとした暗い幻影を楽しめる30分です。非常にイギリスらしいグループ!

The Pure Conjecture // No Ghosts [Trailer]

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Styx/ The Mission

Styx/ The Mission
2017年 アメリカ
『思ったよりもちゃんとスティクス』

 アメリカン・プログレ・ハードを代表するグループ。そして80年代のアメリカに於いてジャーニーやサバイバーなど産業ロックのムーヴメントへ続く流れを生んだグループでもあります。そんなスティクスが新作を出したとのこと。14年振りだそうです。
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 僕自身はリアルタイム世代ではなく、後追いでデビュー作から『Kilroy Was Here』(ミスター・ロボット)までチェックした程度です。一
般的には1976年の『Crystal Ball』から1983年の『Kilroy Was Here』までが黄金時代だと思います。プログレッシヴ・ロックをルーツとした、キーボードとギターが主役のドラマティックなハード・ロックが特徴。デニス・デ・ヤングのハイトーン・ヴォーカル、トミー・ショウの書く哀愁味のあるメロディアスな楽曲が魅力でした。中心人物二人の不仲が原因で活動休止となった以降は失速。1999年にはトミー・ショウが復帰しての復活作『Brave New World』を発表するもののデニス・デ・ヤングが健康上の理由で降板することに。以降、新しいヴォーカル、ローレンス・ガーワンを据えて活動を続行。本作はそんなトミー・ショウがリーダーを務めるスティクスの新作ということになります。
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 キャッチーなハード・ロック作が聴けるかな、という控えめな期待を上回り、シンセサイザー、キーボードが飛び回り、コーラスも盛りだくさん。スティクスらしいアルバムに仕上がっています。パワフルなスタジアム・ロック調になったサウンドは、往年のスティクスとは異なりますが、マインドは受け継がれている印象です。「2033年に行われる火星への人類初の有人探査」という設定の物語をコンセプトとしており、その題材からも想像できる大仰な世界観がそのまま作風に反映。トミー・ショウのメロディー・メイカー振りは健在で、質の高いアメリカン・ロックが楽しめます。

Styx - Gone Gone Gone
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Cheap Trick/We're All Alright!

Cheap Trick/We're All Alright!
2017年 アメリカ
『ノスタルジーたっぷり』

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プ・トリップの新作がリリースされました。何だかレトロなジャケだな、と思ったら70年のグループ・ショットを使っていたりして、どういうことだろう。どうやら今回のアルバムには昔に制作中だったデモ段階のボツ曲を蘇らせたものがいくつか(いや、ジャケがこういうテイストだから相当量だと思います)含まれているみたいです。長い活動歴があるからこそ、出来る企画ですね。

 聴いてみると納得。70年代のチープ・トリックがやっていた、ギターリフを主軸としたポップなロックンロール調の曲が充実しています。とは言え、当時のチープ・トリックのような隙間を空けた音作りや、甘さは控えめで、『Lap of Luxury』(1988年)期のようなエッジの鋭いパワフルなロック・サウンドになっているのがポイント。

 楽曲は単純明快なロックンロール、MTV時代を彷彿とさせるパワーバラードとこれまでのキャリアに於いてのハイライトをいいとこどりしています。ヴォーカルは力強いシャウトをする部分がありつつも、ちょっとパワー不足。エフェクトに頼りがちです。ロビン・ザンダーもかなりのベテランですから、これは仕方ありません。むしろ今出来る精いっぱいで若い頃の作風に挑戦している様を見届けるのが楽しみというべきでしょう。ノスタルジーたっぷり。昔からのファンにもおすすめのアルバムです。

Long Time Coming (Static Version)
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ぶどう÷グレープ/おやつの隠し場所

ぶどう÷グレープ/おやつの隠し場所
2016年 日本
『集大成だから安定のいつも通り』

 日本のニューウェイヴ、テクノ・ポップ・バンド、ぶどう÷グレープの最新作。前作のレビューはこちら

 インフォによるとデビュー10周年とのこと。自分はサードからファンになりましたが、リリース間隔が短いのでまだ10年しか経っていなかったのか、という印象です。先行して発表されていたシングル曲10曲をリマスタリングして収録しているとのこと。
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 インフォでは集大成のアルバムと呼ばれており、シングル曲を集めた甲斐のあるバラエティーに富んだ内容です。とは言え、ピコピコ・シンセと個性的なくみんこのヴォーカルの強力な記名性があるので、ぶれは全くありません。大きな驚きこそ無いものの、いつも通り、アヴァンギャルドでポップなぶどう÷グレープが楽しめます。集大成が終わった次のアルバムも楽しみです。

 イギリスでのライブ映像がyoutubeで公開されていたので、チェックしたのですが自然に受け入れられていてすごかったです。
すってんころりん、すってんころりん、の熱唱にほのぼのとしました。

運命のバス
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The Buttertones/Gravedigging

The Buttertones/Gravedigging
2017年 アメリカ
『無邪気なサーフ・ロック懐古』

 サーフ・ロックをベースにビート、ガレージ、サイケデリックの要素を詰め込んだ音楽は、猥雑でサスペンスな魅力に溢れており、まるでスパイ映画か西部劇のサウンド・トラックのようです。
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 ロサンゼルスを拠点として、2012年に結成された5人組バンド、ジ・バタートーンズ。サーフ・ロック、ガレージ・パンクなど60年代の音楽からの影響を吸収して自身のスタイルを身に付けていったとのこと。本作は3枚目のアルバムとなります。
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 メンバーにはホーン奏者と鍵盤奏者が加わっており、分厚くドラマティックなサーフ・ロック・サウンドが楽しめます。サーフ・ロックのリバイバルではありますが、先達のサーフ・ロックの特徴をより増幅させているのが特徴。いわゆるペケペケ・ギターもより高速に、ヴォーカルのけれんみもたっぷり、など全てが大仰なアレンジで聴いていて微笑ましいです。その為、アルバムを通して聴いていると8曲目辺りでもたれてしまう側面もあり。

 それでも、サーフ・ロックへの拘りが伝わってくる筋の通ったアルバム。聴き応えは十分です。

Sadie's A Sadist
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