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Saint Chameleon/ Mockingbird

Saint Chameleon/ Mockingbird
2018年 オーストラリア
『さびれた味わいがくせになるオリエンタル・ロック』

 トリオ編成のロック・バンド、セイント・カメレオンのデビュー作をご紹介。
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 今回は公式hp及びフェイスブックでしか、情報収集が出来ませんでした。

 2000年代後半、後に中心人物となるルーカス・クストスがストリート・ライブを開始。2010年、もう一人の中心人物であるルカ・スルゼールとルーカスがオーストラリア、グラッツの街で出会う。ジャズ、ブルース、ロック等多岐にわたる音楽を好んでいた両者は意気投合して、音楽活動を二人で開始することになる。音楽都市であるグラッツにはたくさんの音楽家が集まって来る。エミリアーノ・サンパイオ(トロンボーン)、カエタン・カメンジャセビッチ(ベース)、フランチェスコ・ドニネッリ(バイオリン)、ティロー・シヴァーズ(ピアノ)、デイビッド・ドレスラー(ドラム)といった面々を加え、5か国の国籍を持つメンバー達による7人組グループとなった。これが2015年のこと。

 というプロフィールが載っているのですが、肝心のルカとルーカスの二人の担当楽器が掛かれておらず。恐らくギター&ヴォーカルと鍵盤奏者だとは思うのですが。5か国の国籍の内訳なども欲しかったところですが記載は無し。ディスコグラフィーも不明ですが、過去音源が見つかることからセカンド・アルバムだと思います。

 トム・ウェイツ、マディ・ウォーターズ、ベイルート(ワールド要素のある米ロック・バンド)をフェイバリットに挙げています。

 リラックスしたブルース、フォーク要素はトム・ウェイツ、オリエンタルな雰囲気の跳ねるパーカッション、ゆったりしたリズムなどワールド要素はベイルートという感じ。多国籍グループらしいごった煮サウンドです。落ち着いた低音のヴォーカル、ジャジー且つオリエンタルな演奏がとてもカラフルなアンサンブル共に魅力的。トム・ウェイツからの影響を感じさせる、場末のバー的な、気安い雰囲気もグッド。

Mockingbird - Saint Chameleon
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Lamp/彼女の時計

Lamp/彼女の時計
2018年 日本
『作曲担当が二人いる豪華さを実感』

 Lampの8枚目。『八月の詩情』を含めると9枚目。ネットで公開されている紹介文によると「小さなバラード集」をテーマとして作り始めたアルバムとのことです。
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 バラード集だからこそ、なのか、ブラジル音楽をルーツとして、儚さを極めた染谷氏担当曲、英米の黄金期のポップス、ロックをルーツとして、美しいメロディーで分かりやすく山場を作る永井氏担当曲、それぞれの個性、味わいが異なっていることが分かり、楽しく聴くことが出来ました。

 繊細に折り重なるコーラス・ワークから「こういう感じがサヴタージなのだろう」と感じさせる(サヴタージを知ったかぶりしない姿勢を大事にしたい)、幽玄とした染谷氏担当曲を後半に多めに配している構成もバッチリ。近年はプログレチックな楽曲にも取り組むなど、凝った楽曲も多く起伏が激しかった彼らの作風。本作でもアレンジ自体は凝っているのですが、穏やかな楽曲が並んでいる分、なだらかな聴き心地。またLampの看板でもある、儚さを湛えた女性ヴォーカルを務める榊原嬢の出番がいつもより少ないのも特徴で、女性に送るバラード集という性格も出ているように思えます。キーボードを幻想的に使うところは、相変わらずプログレチック(Camelなど)で、音楽性に奥行きを生んでいます。榊原嬢の控え目ぶりが再び目立ってきていて、ところどころ歌詞が聞き取れないのは残念。

 次のアルバムでは新しい路線に挑戦しそうな予感。

「Fantasy」
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Yukon Blonde/Critical Hit

Yukon Blonde/Critical Hit
2018年 カナダ
『シンセポップの王道』

 シンセポップ・バンド、ユーコン・ブロンドの4枚目のアルバム。
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 カナダのバンクーバーを拠点にして活動しているグループですが、今回のアルバムではスペインのマドリードのアパートや、カナダのブリティッシュ・コロンビア地方にある、小さな島ガリアーノ・アイランドで、録音されたとのこと。
とてもリラックスした状況であったことが伝わる、のどかで晴れ晴れとしたシンセ・ポップ・ミュージックが全編で楽しめるアルバムです。シンセサイザーの浮遊感、エコーを掛けた甘い歌声、コーラスなど、古典的なシンセ・ポップの手法以上のものは無い。しかしながら、ドラマティック、メロウ、爽やかポップ、テクノとバラエティー豊かな楽曲群は質が高く、とても楽しめました。

Love The Way You Are
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Ashe/The Rabbit Hole

Ashe/The Rabbit Hole
2018年 アメリカ
『将来有望、新人シンガーソングライター』

 新人シンガーソングライター、アッシュのデビューEPをご紹介。
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 カリフォルニア州サンディエゴ出身。本名、アシュリン・ウィルソンという彼女によるプロジェクト名がアッシュとのこと。バークリー音楽院出身のジャズ・ヴォーカリストです。デビュー前にして、ルイス・ザ・チャイルドやショーン・フランク、チェーンスモーカーなどとツアーをしています。またエミリー・シャクルトン、カリ・ロディなど若手ミュージシャンとの共作にも取り組み、ソングライターとして注目を浴びています。正直申しまして、上記ミュージシャンのことは全く知りませんでしたが、とにかくフル稼働で働いているということは理解しました。他のミュージシャンとのセッション中に、アイデアを即興で出して楽曲を生み出していくというスタイルが彼女流とのことです。

 内容について。ジャズとエレクトロを融合させたカラフルなポップをやっており、不思議の国のアリスを連想させるタイトルとも符合するイメージ。オリエンタルな要素も濃く、中期ケイト・ブッシュを彷彿とさせます。またitunesで飛躍したフェイストにも近いイメージで、アッシュの場合はSpotifyのチャートでトップ10に入る程の人気を獲得しています。

 キャッチーなリズムとメロディーを持った楽曲群は、ルーツの骨太さが伝わってくる本格派。次作もチェックしなければ。

Ashe – Choirs
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土岐麻子/Safari

土岐麻子/Safari
2018年 日本
『どんよりポップスに衝撃』

 1年ほどの間隔を置いてリリースされた新作。カバーなどを挟まずに素早く発表してくれたことはうれしい驚きです。
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 前作『PINK』同様プロデュース、全ての作曲を担当したのはトオミヨウ。こう書くと前作の延長線上の作風を想像するところですが、さにあらず。最初、予備知識なしに聴いた直後は「随分変わったな、新作のプロデューサーは誰だろう。」とブックレットをめくって驚きました。

 打ち込み中心のサウンドは前作同様、むしろ個々の楽曲でのセッション・プレイヤーの参加は多くなっており、生音の比重も高くなっているはず。なのですが、デジタル・ビートはより強調されており、もはやデジタル・ポップと呼んで差し支えないという印象です。ビートが沈み込んでいる上、キーボードとヴォーカルが浮き上がって聴こえるようなアレンジの為、率直に言うと地味にも思えます。洗練された雰囲気、軽やかさは前作『PINK』を踏襲しているのですが、煌びやかではなく内省的でダークなイメージが支配している内容。先ほどはデジタル・ポップと呼んでも、と形容しましたが、それよりも、どんよりポップス。曇りの日に聴きたい感じです。

緻密なアレンジは相変わらずで、それぞれの楽曲も(ダウナー気味ながらも)表情豊かです。聴き込むほどに馴染んでいきそうな予感がします。

Black Savanna
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