FC2ブログ

Vulfpeck/Hill Climber

Vulfpeck/Hill Climber
2018年 アメリカ
『もう熟れていますよ』

 ヴルフペックの4thアルバム。フォークやファンク、テクノ、8ビットチューンなど、ジャンルごった煮のR&Bグループとして活動しています。デビュー・アルバムとなった『Thrill of the Arts』以降、年1枚のハイ・ペースで新作を発表し続けているところもポイント。メンバーはJack Stratton、Theo Katzman、Woody Goss、Joe Dartの4人。それぞれマルチ・プレイヤーであり、ヴォーカルも分担しています。今までのレビューはこちら
a0869185133_5.jpg

 毎回、少しずつコンセプトを変えてくる彼らの作品。前半はAOR風という印象を受けます。彼らの初期作で、黒さ、ファンキーな魅力にやられていたので、この変化は少々残念。中心人物であるテオ・カッツマンの趣向が反映されたのでしょう。後半はインスト・パートとなっており『THE GAME』あたりのクィーンを彷彿とさせる、ポップなファンク・チューンあり、ファミコン風インストあり、ディスコ調インストあり、とバラエティー豊かな音楽性は相変わらず。ゲスト参加曲は4曲で主に女性ヴォーカルをフューチャーしたものとなっています。尚、フューチャリング名義でテオ・カッツマンの名前がありますが、これはヴォーカル曲で彼をフューチャーしました、という意味でしょう。ゲストではなく、彼はメンバーです。

 聴き終わってみれば、キラキラしたエレピが素晴らしく、AORな前半もお気に入り。いいアルバムです。

 自分としては初期のEP群、及びファーストからセカンドに掛けてが今の所、ピークという印象。それはそれとして。ライブは素晴らしいのでしょう。
 
 洋楽ファンにも十分、彼らの名前が知られてきた今。まだ来日していないという事実にも焦らされております。時間がもったいない。もう熟れていますよ。

Half of the Way (feat. Theo Katzman)
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ アメリカポップス

カンバス/アイランド

カンバス/アイランド
2018年 日本
『5年間練った鉄壁のセカンド』

 福岡出身、現在は東京を拠点に活動するポップ・デュオによるセカンド・アルバム。今回はハピネス・レコードからリリースされています。セルフ・プロデュースですが、先行でリリースされた2曲のみマイクロ・スターの佐藤清喜がプロデュースで参加。まだデュオの面影が残りアコースティックな雰囲気があった前作と変わって、完全なバンド・サウンドになっています。セッション・メンバーにはハピネス人脈である北山ゆう子(drum)の他、今井カズヤ(key)が参加。他、ブラスセクションが付いた楽曲「ラバー」があり。
island-jkt.jpg

 かっちりプロデュースされた印象で、まさしくシティ・ポップな聴き心地。5年という時間を掛けているのもあり、完成度の高い楽曲が揃っています。鍵盤、ドラムが入ることでアコースティックなイメージは無くなっているのが、少し寂しい。演奏部分が強化されており、「惰性」の後半部分で聴くことが出来るアメリカ西海岸ロック系爽やかギター・ソロを筆頭に、小川貴史のギターは強力です。一方の菱川浩太郎も太く小気味よいベースが素晴らしい。さっぱりとした乾いた音色で都会的な雰囲気を演出しているピアノ、ドラムの助っ人二人も申し分なし。最後になりましたが、小川貴史の澄んだ歌声は変わらず、更に安定感を増しています。どっしりしすぎて前作の掠れた感じが、少し名残惜しいくらい。

丑三つ時に君想う
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ 日本ポップス

HARCO/あらたな方角へ

HARCO/あらたな方角へ
2017年 日本
『かつてHARCOの音楽を楽しんでいた時代を思い出す』

 聴きそびれていたHARCOの新作。帯にラストアルバムとありましたが、次作よりHARCOではなく青木慶則名義で活動するとのこと。
61Sv-QdN9hL__SY355_.jpg

 ポップに振り切った前作『ゴマサバと夕顔と空心菜』と比べると、シンセサイザーやプログラミングによる冷たく無機質な音が前面に出ていて、夜の未来感があり。ミニアルバム3枚をリリースしていた時期、あるいはその前の辺りを彷彿とさせる実験精神が多く含まれています。豪華ゲスト多数参加(山崎ゆかり、山田稔明、田中潤など)が彩りを添える役割に抑えられており、あくまでHARCOの個性が際立っているのが素晴らしい。
 
 かつてHARCOの音楽を楽しんでいた時代を思い出すような、懐かしい気分になったのが、なるほどラスト・アルバムということなのでしょう。

HARCO - アルバム「あらたな方角へ」トレイラー
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ 日本SSWポップス

稲村一志と第一巻第百章/フリー・フライト

稲村一志と第一巻第百章/フリー・フライト
1977年 日本
『何度も再発してくれてありがたい!』

 解説には「ショーボート屈指の名盤」、帯には「北海道のシュガーベイブ」とストレートに絶賛のコメントが並んでいる本作。アルバム・ジャケットに見覚えはあったものの、いままで聴く機会がありませんでした。一度聴いてみると、絶賛するのも納得の素晴らしい内容でした。何度も再発してくれてありがたい!
CDSOL1817.jpg

 本作は稲村一志を中心とするグループの唯一作。北海道を拠点として活動していました。ブックレットには大瀧詠一のコメントも掲載されており、大きな影響元であり、且つ交流も持っていたとのこと。
ジャズ、ソウルの要素を内包したシティ・ポップをやっており、一部ではレゲエを取り入れるなど、バラエティ豊かで洗練された音楽が楽しめる内容。ブラス・セクション、管弦楽器、コーラス隊を加えた大所帯によるアンサンブルは、適度な隙間があり、ジャケット通り、夜を感じさせる穏やかさが特徴。また本作は4チャンネルで録音されたとのことで、現場の気怠さが伝わるようなザラザラとした粗さも、魅力を生んでいるポイントとなっています。

稲村一志と第一巻第百章GOKUU

続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ 日本SSWポップス

Laura Hill/Secrets

Laura Hill/Secrets
2018年 オーストラリア
『大らかで心地よいフォーク作』

 オーストラリアの南側に位置する、フルールー半島出身であるローラ・ヒル。彼女のシンガーソングライターとしてのサード・アルバムとなります。
laurahill.jpg

 詳細なバイオグラフィが無く、作品群から推測するしかないのですが、恐らく2000年代から活動を始めた若手のミュージシャン。自身の音楽をインディー・フォークと呼んでいます。

 地元オーストラリアのレビューでは「大衆性が増して、間口の広い音楽へと変化した。」という好意的な意見がありました。どうやら、初期は本格的なフォーク路線でやっており、徐々にポップス寄りの音楽性に変化してきているという状況の模様。

 落ち着いた歌声によるギター弾き語りを基調にしつつ、パーカッション、ヴァイオリンなどが入るバンド・サウンドです。ストリングス、多重録音によるコーラスなどによるアレンジはシンプルながら重厚。英米のフォーク系ミュージシャンとは異なり、ルーツを感じさせないメロディーは伸び伸びとしていて大らか。ジャケットのイメージとも重なる、ハワイアンや沖縄音楽など、島の音楽ならではの特徴を感じることが出来ます。個性は弱い。しかしながら、佳曲が揃ったアルバムでした。

'Secrets' Out Now
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ オーストラリアポップス