Steelism/ism

Steelism/ism
2017年 アメリカ
『ペダル・スティール愛』

 スティーリズムのスティールはペダル・スティールのスティール。美しい伸びやかな高音とギター、オーケストレーション、シンセサ
イザーが交歓するインストゥルメンタル・ミュージックです。

 ナッシュビルのインストゥルメンタル・デュオ、スティーリズム。イギリスのエセックス出身のスペンサー・カラム・ジュニア(ペダル・スティール担当)と、オハイオ州カントン出身のジェレミー・フェッツァー(ギター担当)が出会い、2013年に結成されました。フェイスブックの影響を受けた音楽には「Area Code 615, Booker T. & The MGs, Dick Dale, Pete Drake, Lloyd Green, Ennio Morricone, Lalo Schifrin, Goblin」と記載されており、カントリー、ソウル、映画音楽からの影響を受けていることが分かります。個人的にはゴブリンが入っているのがワクワクします。本作は2014年のデビュー作に続くセカンド・アルバム。
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 デュオ名義ですがバンド録音+ストリングスで録音されています。上記のリスト通り、ホラー、西部劇のサントラ、カントリー、ソウルと様々な音楽要素をごった煮したインストゥルメンタル・ミュージック。ペダル・スティールとギターが肝ながら、それぞれがソロを取ることはなく、合奏のみで展開。またアルバム全体のスパイスとしてか、女性のゲスト・ヴォーカルを数曲で起用しており、それらでは、よりドラマティックな魅力を強調しています。全編でスティール・ギターがふぃーーーんと唸っているのはどうなのだろう、と思いきや、清々しい聴後感。

Cup of Wasser
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Eric Stewart/Frooty Rooties

Eric Stewart/Frooty Rooties
1982年 イギリス
『聴き漏らしがちな10cc関連作』

 10ccのメンバー、エリック・スチュワートのソロ2枚目。10ccの状況としては、ゴドレイ&クレームの二人が1976年に脱退。グレアム・グールドマンとエリックを中心とした6人組グループとして生まれ変わった10cc。しかしながら数年でデュオ編成に戻ることに。そんな中、81年に『Ten Out of 10』をリリース。その翌年に本作は発表されています。

 参加メンバーには6人編成時代の10ccメンバーが揃い踏み。ゲストも加わっていないことから、ほぼ10ccのアルバムといっていい
状況で制作されています。
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Aメロが「Come Together」にそっくりなポップなロックンロール「Never Say 'I Told You So'」。このようなポール・マッカートニーからの影響(パロディかな)も伺えるナンバーがいくつか収録されています。高品質な英ポップが並んだアルバムで、エリックの優れた楽曲群を楽しむことが出来ます。

 初期10ccのようなスケールの大きさは望めないものの、小粒な佳作が目白押し。これも後期10ccらしい味わいと言えるので、本作が未CD化であることは残念なところです。

Doris The Florist
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小坂忠/Chu's Garden

小坂忠/Chu's Garden
2010年 日本
『ボックスを買っても、もやもや』

 以前から欲しかった小坂忠のボックスを購入。本当は各アルバムを廉価で再発して欲しかったのですが、いくら待っても報せは届かず。
今回のBOXの仕様について、少しばかり書きたいと思います。

 それぞれ紙ジャケで10タイトルが収録されたBOX。特に初期の3タイトルはオムニバスという形でしかCDで購入出来なかったのでうれしい。DVDや発掘音源など、BOXならではのお楽しみにも大満足です。
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 ただ「どろんこまつり」という曲が『ありがとう』『もっともっと』の2枚のアルバムからカットされている点は残念。差別用語(ここでは触れません)が含まれている為、収録を見送ったとのこと。またこのパターンか、とがっくり来ます。

 「完全復刻」と謳っておきながら、購入後の歌詞カードで「~の為、割愛しております。あらかじめご了承ください。」という告知はちょっと・・・・・・違う気がする。あらかじめご了承していたのは完全復刻された、ということだけですよ、と。

 ただ、こればっかりは、作者の了解を得ているのであれば、我々聴き手は何もできない状況。差別用語の基準も日々、厳しくなっていくみたいです。今日、生まれた曲の中にも、もしかしたら将来の差別用語が含まれているかもしれません。 

 次の機会には収録して欲しい、と思うべきか。いや待て。BOXを買ってコンプリートだったはずなのに、もう一度買うのか。
こんな思いをさせたくないとすれば、なるほど、ずっと再発に踏み切れなかったわけだ。

どろんこまつり/小坂忠
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Vulfpeck/Mr Finish Line

Vulfpeck/Mr Finish Line
2017年 アメリカ
『楽しさ更にアップ』

 卓越したテクニックに裏打ちされたグルーヴ感と、サービス精神溢れるポップなメロディーを併せ持つ、一級のファンク・グループ、ヴルフペック。当ブログでは前作、前々作でヴァルフペックと表記しておりましたが、どうやら今作では日本語ページでヴルフペックと紹介されている模様。サクッと日和りました。ヴァルフペックでもヴルフペックでも、どっちでもいいのですが、毎回メディアに取り上げられている割には、ガツンと人気が上がっているようにも感じられないのがもどかしい。
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 今回のアルバムはサード・アルバム。ファーストセカンドのレビューもしているので宜しければ読んでください。ここまで年1枚のハイペースなリリース・ペースを保っています。

 今回のアルバムでは全曲でフューチャリング表記が付いているのが特徴。様々なミュージシャンとセッションすることで、バラエティの豊かさを演出しています。ファンクとミニマル・サウンドの融合ということで、ミニマル・ファンクを標榜していた彼らですが、かなりファンク度が後退している印象。緻密なアレンジと多幸感溢れるポップネスに磨きをかけており、ポップスのアルバムとして大変楽しく聴けるアルバムとなっています。多彩なゲストについては、あまり知らないミュージシャンが多くコメントが出来ないのが残念であります。そんな中去年レビューしたテオ・カッツマンの名前にはほっこりしました。その他、デヴィッド・T・ウォーカーも参加しています。シンセサイザーのキラキラ度は最高潮。そろそろブレイクするぞ、とここからのアルバムでずっと言い続ける!

Mr. Finish Line (feat. Christine Hucal & Theo Katzman)

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racoustik/ざわめく木々の音楽

racoustik/ざわめく木々の音楽
2012年 日本
『内省的なブラジル音楽風』

 2004年から2005年くらいに掛けて活動していたTwellveというポップ・グループ。男女二人の作曲者を擁して、カラフルでジャジーなシティ・ポップが魅力的でした。ピアノやギターなど演奏も洗練されており「これはいいグループが出て来たな。」とワクワクしていたのですが、ファースト・アルバムのリリース後は音信不通に。本作はTwellveの作曲担当であった阿部仁のプロジェクト、racoustikのセカンドとなります。
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 名前から察せられる通り、弾き語りをベースとしたアコースティックな音楽集。レコーディング・メンバーにはシーナアキコ(key)やTwellveのメンバーであった石井清貫(g)が名を連ねています。スティールパンが参加する曲もあり。前グループからの連続性を感じさせつつ、よりプライベートな肩の力を抜いた感じが伝わります。キーボードによる隙間の埋め方、コーラスの付け方が洗練されていて素晴らしい。ブラジル音楽への傾倒が印象的でグルーヴィ。そんな中、エレキギターが入ると突然埃っぽくなるのが面白い。ヴォーカルは少し煮え切らない感じがあるのですが、相変わらずいい曲を書いてくれています。Twellveの時の期待を上回るような、素敵な音楽を期待。

racoustik/音階と雨@青山CAY120730

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