JUSTIN HEATHCLIFF/ JUSTIN HEATHCLIFF

JUSTIN HEATHCLIFF/ JUSTIN HEATHCLIFF
1971年 日本
『執念を感じるべし』

 和楽器を用いた独自の和洋折衷音楽に取り組んだパイオニア、喜多嶋修と、日本のロック黎明期を支えたエンジニア、吉野金次がタッグを組んだプロジェクト、ジャスティン・ヒースクリフの唯一作。

 解説によると多重録音の拘りから「米国の一人マッカートニー」と呼ばれるエミット・ローズから触発されたのが切っ掛けで、「ビートルズのスタジオ・ワークを日本で再現する」というコンセプトにより制作されているアルバムです。
hqdefault.jpg

 全編英詞による研究成果をまとめた録音というべきもので、後期ビートルズの手法を再現しています。当時は画期的だったことも頷けるところ。あまりオリジナリティーが感じられないのは事情が事情なだけに仕方ない部分です。本家よりもファズ・ギターが前面に出ているなど、微妙な質感の違いを楽しむのが吉でしょう。何よりも徹底した拘りには執念、妄執が感じられ、圧倒されます。
関連するタグ 日本ロックポップス

Spencer the Rover/The Late Album

Spencer the Rover/The Late Album
2017年 ベルギー
『英国のポップ職人へのリスペクトが詰まったアルバム』

 大学が密集しているというベルギーの都市、ルーベンを拠点に活動しているポップ・グループ、スペンサー・ザ・ローバー。2001年にデビューしており、本作は3枚目のアルバムとなります。
og.jpg

 影響を受けたミュージシャンではRon Sexsmith, Wilco, Rufus Wainwright, Joni Mitchell, Steely Dan, Paul McCartney, Neil Young, XTC, Beach Boys, Richard Thompson, Bob Dylan, Hayden、という具合に英米、カナダのメロディー・メイカーが並んでいます。

 編成は基本的な4人組でキーボードやシンセサイザー、フルートなどを各メンバーで分け合っているとのこと。ヴァイオリンなどの
ストリングスはセッション・プレイヤーが参加しているようです。音楽性はフェアポート・コンヴェンションや中期ビートルズからの影響を感じさせる、ほのぼのとした優雅なポップス。所々で荘厳且つスペーシーなアレンジが挿入されておりクリムゾンやピンク・フロイドの影響も垣間見えるのが印象的です。

 英国ポップスをよく研究されたのであろう、と推察されるほどに耳馴染みが良く落ち着いて聴ける良曲が揃っています。加えて細かいところにヴァイオリンや笛の音を入れているなど、凝ったアレンジも聴きどころ。再生する度に新しい音に気付かされる楽しさがあります。

 英国らしい仕掛け時計を題材にしたジャケからも分かる通り、英国のポップ職人へのリスペクトが詰まったアルバムでした。
Spencer the Rover/Late March
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ ベルギーフォークポップス

Amy O/Elastic

Amy O/Elastic
2017年 アメリカ
『ジャケとは裏腹にパンキッシュ』

 ジャケから受ける印象ではフォーキーな女性SSWかな(レスリー・ダンカンっぽい)、と思っていたのですが、ギターリフが小気味よく刻まれる、パンキッシュなロック・サウンドが展開されています。
Elastic.jpg

 インディアナ州ブルーミントンを拠点として活動する二人組の女性デュオBrenda's Friendに所属しているエイミー・エルスナーによるプロジェクトとのこと。ソロ・プロジェクトながら鍵盤を含む5人編成のバンドとなっています。

 チープで可愛らしさを演出するシンセ、物憂げな女性コーラス、ギターリフが丁寧に折り重なっているところが聴きどころ。演奏は総じてラフであり、シンプル。疾走感のみを大事にしています。その分、メロディーの展開は凝っており、気まぐれな鼻歌のような楽曲群は無邪気な魅力があり。

Sunday Meal
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ アメリカポップスロック

徳永憲/信じるに値しない男

徳永憲/信じるに値しない男
2017年 日本
『滋賀が寒いところだということが良く分かる』

 10作目。前作発表後、東京から故郷の滋賀へと転居しており、再出発の1枚となります。
51vuZoV7xoL__SY355_.jpg

 ギター弾き語りをベースに宅録機器を駆使して制作するというスタイル。ここ数枚はポップになったり、ロック度を増したりしながら、どんどん耳馴染みが良くなっていったという印象でした。ゲストの参加による音もカラフルになっていました。
しかし新作はかなり硬派。特に前半の曲ではサビがサッパリとしており、いつものドラマティックな曲展開は控えめです。代わりにトラッド由来の寒々しさが強調されていて、冬の厳しさが伝わってくるような聴き心地。録音機材も前述のようにシンプルなので、音も概ね白と黒の世界の如し。帯にもありますが、初期の作風へと回帰しようという意図を感じます。内省的な徳永憲の本質を改めて確認出来ました。

序盤の3曲は、沈み込むような打ち込みのドラムとフルートがダークでオリエンタルな雰囲気を醸し出しており、レッド・ツェッペリンの「III」を思い出しました。

 アルバムタイトル「信じるに値しない男」はインパクト十分の言葉。長らく彼の音楽を楽しんできたので「そんなことない」と反駁したい所ですが、ご本人がそういっているのだからそうなのでしょう。故郷に帰って最初のアルバムタイトルで、信じるに値しない男だと表明している。田舎から上京して帰郷、と言う流れから来る悲哀を連想する言葉。僕は彼が信じるに値しない男だと受け入れつつ。今後、滋賀から登場する新作を、待っていようと思います。

雪の結晶
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ 日本SSWポップス

実川俊晴/ポップ・ソングス 1979-2016

実川俊晴/ポップ・ソングス 1979-2016
2017年(1979~2016) 日本
『幻にしておくのがもったいない』

 マギー・メイのアンソロジーに続く、実川俊晴アーカイヴ・コレクション第2弾。前作のレビューで『「はじめてのチュウ」の作者』というタタキで興味を持ったと書きましたが、その意味からするとGS時代の前作よりも今回のアルバムが本命でした。
CRCD5137-38.jpg

 幻のポップ・クリエーターと帯で称されているので、てっきり作曲家一本槍だと思っていたのですが、きちんとソロ・アルバムもリリースしておりました。今回のアンソロジーでは、唯一のソロ作及びシングルをまとめたディスク1と、未発表を中心とした80年代以降の音源をまとめたディスク2という構成になっています。

 解説を読むとビージーズ、パイロットから影響を強く受けたとありますが、その通りの甘く爽やかなポップ・ミュージックが堪能できます。ドラマティックな英米折衷のメロディーと曲展開、そして若干声量は足りないけれども、とろけるようなファルセット・ヴォーカルが素晴らしい。ディスク1はアルバム音源を中心にした統一感があります。ディスク2はそれに比べると音質を含めてバラバラですが、70分オーバーでレア音源を収録してくれており大満足です。

 詳細な解説もありがたい。

実川俊晴 ポップ・ソングス 1979-2016 TOSHIHARU JITSUKAWA POP SONGS 1979-2016
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ 日本SSWポップス