Eric Bibb/Migration Blues

Eric Bibb/Migration Blues
2017年 スウェーデン
『暗闇に寄り添うアコースティック・ブルース』

 1951年生まれの現在65歳となったエリック・ビブ。彼の新作が素晴らしい出来だったのでご紹介。

 エリック・ビブはニューヨークで生まれ育ち、後にスウェーデンへ移住。70年代からブルースマンとして活動を開始します。フォーク・シンガーの父を持っていたエリック・ビブは、様々な音楽の影響を受けており、その中でもタジ・マハールのことを最も敬愛しているとのこと。連名を含めると既に30枚以上ものアルバムをリリースしているベテラン・ブルース・シンガーです。90年代後半から活動をますます活発化させており、わたしはこの辺りから聴き始めました。前作2014年作『Blues People』以来、3年振りの新作です。カナダのブルース・シンガーのマイケル・ジェローム・ブラウンやフランスのハーモニカ奏者、JJミルトゥがゲストとして参加しています。
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 静謐なアコースティック・ブルースをやっています。戦前ブルースには無い後ろ暗さが宿っており、これはカントリーの根源であるアイリッシュのルーツから来るものだと感じました。ギターはもちろんのこと、優しく震える歌唱が素晴らしい。静かな深夜、寝る前に耳を傾けるのがおすすめ。

Eric Bibb interview and acoustic session - Migration Blues
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DAVE KELLY/DAVE KELLY

DAVE KELLY/DAVE KELLY
1971年 イギリス
『枯れたブルース・ギターと渋いヴォーカルが炸裂』

 ザ・ブルース・バンドのリーダーであり、ジョン・ダマー・ブルース・バンドのギタリストとして活躍していたデイヴ・ケリーがジョン・ダマー・ブルース・バンド脱退後に発表したセカンド・ソロ。前作のレビューはこちら
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 セッション・メンバーにはジョアン・ケリー、セッション集団ランプルスティルトスキン、そしてピーター・グリーンが変名で参加しているとのこと。その他、デイヴ・ケリーのブルース仲間と、ジャズ系プレイヤーも参加しています。

 相変わらず当時24歳とは思えない、枯れたブルース・ギターと渋いヴォーカルが炸裂しています。今回のソロ作はバンド録音がされており、前作よりも聴きやすい印象。ロックがカラフルで多様化していた1971年という時代を反映して、ブルース・ロックのみならずフォーク・ロック、ファンクにも挑戦しており、バラエティー豊かな楽曲群となっています。色々と手を出しているとは言え、どれも後追いで聴いてみると伝統的なものばかり。セッション・プレイヤー達の時にシリアス、時に熱狂的な演奏もあり、ジョン・ダマー・ブルース・バンドから続けて聴いても違和感なく楽しめるアルバムだと思います。「朝日のあたる家」のようなハードボイルドなブルース「The Fields Of Night」ではピアノが幻想的に舞っており印象的。このような細やかなアレンジも聴きどころ。

Green Winter
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Lal And The People/Bad Case Of Blues

Lal And The People/Bad Case Of Blues
2016年 インド
『インドからやってきたブルース・ギタリストはゲイリー・ムーアが大好き』

 溜めに溜めたブルース・ギターが渋いことこの上なし。声域は狭いが感情を露わにしたヴォーカルも渋い。ゲイリー・ムーア以来の泣きのブルース・ギタリストではないのか。

 素晴らしいギタリストの名前はローヒット・ラルワニ。インドのボーパル地方出身。幼少の頃より(以下フェイスブックより抜粋)Albert King, Gary Moore, Albert Collins, T- Bone Walker, Stevie Ray Vaughan, Soulmate, Eric Johnson and many more.といったギタリストの音楽を聴き漁っていました。2014年、自身のバンドを結成。オルガン入りの4人編成でラル&ザ・ピープルという名義でEPを制作。それが本作となります。
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 さすがに2番目にゲイリー・ムーアの名前が来るだけに、こってりしたブルース・ハード・ロックが展開されています。ここでは枯れる前の80年代ゲイリー・ムーアをイメージして頂きたいです。早くもスターの貫録十分。ラルばかりが目立っているのは確かですが、バンドの演奏も素晴らしい。隙間を多めにとってルーズなインプロヴィゼーションを展開しており、ジャジーな瞬間もあります。特にキーボードの弾き分け加減が絶妙。

 欠点はデビューEPということで4曲しかないこと。通常、このボリュームの作品はスルーしているのですが、今回は例外的に紹介しております。是非、私と一緒にフルアルバムを渇望してみませんか?

Out Of The Blue
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Randy McQuay/My Kind of Blues

Randy McQuay/My Kind of Blues
2017年 アメリカ
『ピードモント・ブルースの復活』
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 アメリカの若手ブルース・マンによる2枚目のアルバム。渋く深みのあるヴォーカル、ハンマー・クロウやトラヴィス・ピッキングといった伝統の奏法を駆使した流麗なアコースティック・ギターを、ホンキートンク・ピアノやハーモニカが盛り立てて、奏でられる演奏には酒場音楽のような軽妙さがあります。

 ブラインド・ブレイクやブラインド・ウィリー・マクテルを始めとする多くのブルース・マンを生み出したノース・キャロライナ州。その
地で育ち、ブルースに親しんだランディ・マッケイ。彼は16歳でアメリカ南東部へギターを片手に放浪の旅を敢行した後、ノースカロライナへ戻りバンドを結成。音楽活動を本格的に開始します。コンテストにも積極的に出場し、2012年のリー・オスカー・ハーモニカ賞、2015年のインターナショナル・ブルース・チャレンジといった賞を獲得。一方で2015年にファースト・アルバムである『Solo』を発表しています。
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 タイトルは「私なりのブルース」という意味でしょう。その言葉通り、かつてノース・キャロライナで栄えたピードモント・ブルースの特徴である軽やかなフィンガー・ピッキングは継承しつつも、よりファンキーな味わいがあり現代へと更新がされたブルースという感じがします。一人で盛り上がらず聴き手に寄り添うような優しい歌い方、演奏が素晴らしい。熱が籠っていながら落ち着きも感じられます。オールドスタイルのブルースで聴かれるフレーズが、そこかしこで受け継がれているのも好印象。
ファーストで気が付くことが出来ず申し訳ない、という気持ちになりました。素晴らしいブルース・マン。是非聴いていただきたい。

Randy McQuay Right Here
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DAVE KELLY/KEEPS IT IN THE FAMILY

DAVE KELLY/KEEPS IT IN THE FAMILY
1969年 イギリス
『デルタ・ブルース研究作、粘度が足らずとも熱意でカバー』

 最近、コツコツと買い漏らしていたビッグピンク(韓国の再発レーベル、日本ではヴィヴィッドが解説付きで流通)のタイトルを集めています。これもそんな一枚。
Dave Kelly - Keeps it in the Family (1969)

 ジョアン・ケリーの弟にしてジョン・ダマー・ブルース・バンドのギタリスト(当時)でもある、デイヴ・ケリーのソロ・デビュー作。女性ブルース・シンガーとして名を広めていたジョアン・ケリーが数曲で参加しています。

 60年代後半、デルタ・ブルースを探究していたデイヴが自然体で好きなことをやったのが、このファースト・アルバムです。5曲がデイヴのオリジナルで、他はブルース、トラッドのカバーという構成。正直、オリジナルもカバーも、その区別に意味はあまり無く、等しく本場のブルースへの憧れが詰まっています。全編ほぼ弾き語りのみ。

 ジョン・ダマー・ブルース・バンドなどでデイヴ・ケリーに興味を持って本作に触れたならば、ルーツへ真剣に取り組む彼の姿勢にロマンを見出すことが出来ることでしょう。ピリピリとした緊張感が伝わってくる録音から、初々しさも伝わってきます。本場のデルタ・ブルースと比較しても、ギター、歌唱共に聴き応え十分。

 イギリス人による、デルタ・ブルース憧憬。ここまで渋いと、ブルースを普段聴かない(ちなみに僕も違いがあんまり分かっていない)一般の音楽ファンにはおすすめし兼ねる内容です。ただ、英ブルース・ロック・ファンならば、デイヴ・ケリーの最初の一歩は気になるはず。その好奇心を満足させる質はあり。

When the levee breaks
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