カランツバターサブレ/べいくあっぷ

カランツバターサブレ/べいくあっぷ
2018年 日本
『イライラも収まる、ほっこりフォーク・ロック』

 シンガーソングライター、吉井功による新グループ、カランツバターサブレ。正直、ヨシンバのことはすっかり忘れてしまっていて、ごめんなさい。

 ジャケからしてカントリーな雰囲気がプンプンしてくる訳ですが、実際はそこまでアメリカンでも無く、米国憧憬の英フォーク・ロックに更に憧れて、という音楽をやっている印象。それはそうと、紹介文にはフォーク・リバイバルなる文字があり、そんなムーヴメント来ていたのか???と混乱しました。本当だったらうれしいな。
00050800_1516072744_502orig.jpg

 ピアノ(藤原マヒト)入り、アコギ、エレキの2弦体制による5人組です。それにしても藤原マヒト氏が凄いのは承知しているのですが、彼が入ると(ご活躍が多岐に渡るため)パーソナルなバンドというより、ちょっとプロジェクトっぽい感じに思えてしまうのが正直な所。

 作曲者が同じなため、ヨシンバとの連続性を感じる音楽。枯れた歌声、ピンク・フロイドや中期ビートルズ(時にギターはジョージ・ハリスンのように)を彷彿とさせるブリティッシュ志向のメロディーは、こちらでも健在。一方で、ピアノ、ヴァイオリン、管楽器を入れたサウンドは、アコースティックな雰囲気で室内楽っぽい感触があり。こちらはこちらで素晴らしいグループだと思います。ライブもチェックしよう。

百年
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ 日本フォークロック

伴よしかず/青春彷徨

伴よしかず/青春彷徨
1976年 日本
『純朴な人柄が窺い知れる』

 名古屋で人気だったという八事裏山フォーク・オーケストラの後期メンバーであった、伴よしかずがリリースした唯一作。「URC最後の蔵出し」シリーズから再発されたものです。

 オーケストラやバンドによるアレンジが豪華で洗練されているのが特徴。URCのイメージとは異なりますが、時代は1976年なのですから当たり前のことなのかもしれません。オーケストラにより、日々の暮らしに根付いた歌詞の情緒が強調されており、歌謡曲に近い印象を受けました。
41v5lig6MgL.jpg

 優しく柔和な歌声は素晴らしい。歌詞世界も優しい目線が基本であり、寂しい雰囲気をまとっています。同じURCで例えるなら、西岡恭蔵に近い味わいがあり。

 今回CD化に伴い、発掘されたボーナス・トラック「北勢線」は地方のローカル路線をテーマとした曲。50年代のアメリカ、ゴールデンポップスを下敷きにしており、アルバムとは違った和気あいあいとした楽しい曲でした。

※音源は無し。
関連するタグ 日本フォーク

ビンジョウバカネ/ビンジョウバカネ

ビンジョウバカネ/ビンジョウバカネ
2003年 日本
『素人くささも味わい』

 変拍子が大好きなポップ・グループ、ビンジョウバカネが残したファースト・アルバムをご紹介。グループについてはセカンドでのレビューもご参照ください。
81aJo8heIIL__SX355_.jpg

8曲目にドアーズ「Light My Fire」のカバーがあり、それ以外はオリジナルで構成されています。永野亮、中川久史、森ゆに、の3人全員でヴォーカル、ギター、パーカッション、コーラスを分け合っているアットホームなフォーク・アンサンブルが楽しめる編成。

 彼らは3人で楽曲を持ち寄っているという認識でしたが、このファーストでは永野亮と中川久史の楽曲だけで構成されています。後にAPOGEEやソロでも活躍する永野亮はともかく、ビンジョウバカネ解散後、音楽界から消息を絶ってしまった中川久史という方の印象は薄かったです。ただファーストでの楽曲を聴く限り、ビートルズからの影響が強い、ファンタジックなポップ・ナンバーを書いており、これは永野亮へのソロ作の作風とも重なっています。恐らく影響を与えたのでしょう。これだけの素晴らしい曲を書くことが出来るのですから、いつか復活して頂きたいものです。

 ハーモニーが飛び交い、変拍子を多用するポップス、フォーク・ナンバーが並んでおり、のどかな山間の田舎町のような風情のアルバム。素人くささをビシバシと感じさせてくれるのも味わい。
関連するタグ 日本ポップスフォーク

平井正也BAND/届く光

平井正也BAND/届く光
2017年 日本
『ソロで落とし物を拾う』

 マーガレット・ズロースのヴォーカル、ギター担当である、平井正也による自身の名義を冠したバンド作。実質、ソロ・アルバムだと思います。彼はバンドとは別にソロとして長く活動しており、自主盤でいくつかアルバムもリリースしていますが、流通に乗せたのは本作が初めて。
51RCHC-3IBL__SX425_.jpg

 メンバー、編成は以下の通り。
平井正也(vo.g.マーガレットズロース)
船戸博史(wb.ふちがみとふなと)
鈴木亜沙美(d.僕のレテパシーズ、ミチノヒ)
鈴村まどか(key.PLUTATA)
うーむ、船戸博史しか知らない。僕のレテパシーズは好きなのですが、ドラムの方の名前を憶えておりませんでした。PLUTATAは聴いたことがありませんので、この後、調べてみます。

 初期のマーガレット・ズロースにあったフォーク要素がたっぷり詰まっているのが特徴。マーガレット・ズロースの最新作がロックンロールに特化したものだったことも影響しているのでしょう。棲み分けの意識が感じられます。フォークとは言え、若い頃にあった焦燥感や不安が歌われることはなく、ほのぼのとした日常が題材です。

 ヴォーカルはバンドよりもしっとりとした歌い口。震える歌声が穏やかな曲に合っています。隙間を多く作った心地よいリズムの波に、キーボードの清々しい音色が踊る、といった感じのバンド・アンサンブルも歌を活かしていて、とてもいい。
また、適度にラフなレコーディングがされており、これは平井正也のソロ作ならではの特徴。
このアルバムとマーガレット・ズロースの最新作。両方の魅力が合わさったとしたら最高なのだけれども、それが出来ない状況(多分時間と距離)があるということなのでしょう。

届く光、灯る光
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ 日本フォークSSW

りりィ/りりシズム

りりィ/りりシズム
1977年 日本
『りりィが日向に出て来た』

 昨年亡くなられた、りりィ。何枚かアルバムを集めていたのですが、これは見かけたことがありませんでした。中古CDにて発見して購入しました。
 317ECEREK1L.jpg

女性SSW黎明期から活躍していた彼女。1976年には資生堂のイメージソング「オレンジ村から春へ」がヒット。本作はその翌年にリリースされています。

 1974年から数年間、関わっていた資生堂のイメージソング制作に於いては、従来の暗いフォーク・ソングとは異なる明るいポップスを指向しており、本作もその流れを汲んだアルバムとなっています。ポップでファンキーな面が強調されている印象。アレンジには佐藤博、演奏陣には鈴木茂、上原裕、小原礼などが参加しています。
アメリカ西海岸憧憬が顕著な、ティン・パン・アレー周辺のセッション・プレイヤーが集結することで、どっしりとしたグルーヴが強調されることになりました。かすれ声によるうらぶれた感情を露わにした歌唱は健在ながら、洗練されたトロピカルな演奏で中和されている印象。これは功罪入り混じっていると感じましたが、本作ならではの特徴と捉えれば新鮮に楽しむことが出来ます。明らかに「オレンジ村から春へ」を発展させたと感じられる「春子」を筆頭に、明るいポップ・ナンバーが素晴らしい出来。
関連するタグ 日本SSWフォークポップス