JANET JONES/ JANET JONES

JANET JONES/ JANET JONES
1974年 イギリス
『キーボードを伴う清々しく可憐な弾き語り』

 フィメール・フォークとしての極上の内容がキャサリン・ハウのファーストに匹敵する、という帯の殺し文句に誘われて、餌食になってみました。そもそもキャサリン・ハウのファーストという言葉のチョイスが謎です。どうしてそこと並べたのか、煽るにしてももっとキャッチーなところもあったのではないか、などと思いますが、まんまと釣られてしまった僕は完敗でございます。
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 ミダス・レーベルから2枚のアルバムを出しているシンガー、ジャネット・ジョーンズのセカンド・アルバム。ギター2本とベース、キーボードという4人編成で録音されています。カバー9曲、オリジナル3曲という構成。ミダス・レーベル自体に硬派なトラッド・レーベルというイメージがあったのですが、本作は1974年という時代でもあり、かなりポップで聴きやすい印象です。まっすぐで清々しい歌声が素晴らしい。選曲はバフィ・セント・マリーやドリー・プレヴィンなど、私自身には馴染みのないラインナップが多く揃っています。ディランやジョニ・ミッチェルのナンバーも含め、どの曲も柔らかい印象のフォーク・ソングとして調整。キャサリン・ハウを例に出したのは、キーボードを伴う清々しく可憐な雰囲気が似ているからだと思います。ジャネット・ジョーンズの音楽の方が素朴な為、一概に比較できませんが確かにキャサリン・ハウを思わせるところもあり。(伸びやかに歌うところなどで)

Waiting For You
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Laura Marling/Semper Femina

Laura Marling/Semper Femina
2017年 イギリス
『ジョニ・ミッチェル風で優しいアルバムに』

 前作ではロック色を強めつつも、内省的でダークな作風が印象的でした。しかし本作ではフェミニズムを指すであろうタイトル通り、柔和で包容力を感じさせるゆったりしたムードが特徴です。

 2006年にデビューした、イギリス、ハンプシャー州出身の女性SSW。当時、盛り上がっていたニュー・フォーク・ムーヴメントの中で、17歳だったローラは若さからは想像もできない渋い歌声と流麗なアコースティック・ギター、そして妖精のようなルックスで注目を集めました。これまで5枚のアルバムをリリースしており、その度にマーキュリー賞やBリット・アワードなどの賞レースにノミネートされる一流ミュージシャンです。尚、2011年にはブリット・アワードを受賞しています。
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 今回のアルバムではプロデューサーにアメリカ人であるギタリスト、ブレイク・ミルズを起用。ジョン・レジェンドなど、アコースティック系のミュージシャンを担当している人物です。またストリングス・アレンジとしてロブ・ムースを起用していることもポイント。前作をセルフ・プロデュースで籠って仕上げたのと対照的に開け放った制作過程と言えます。
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 アメリカ人プロデューサーということで、のどかなフォーク・・・というよりもジョニ・ミッチェルのような、ほのぼのとしたフェミニンなフォークが楽しめます。「Circle Game」や「Chelsea Morning」辺りの雰囲気を思い浮かべて頂ければ間違いないところ。ストリングスがいい仕事をしています。かつて、ジョニ・ミッチェルの音楽はイギリスの70年代女性SSWに大きな影響を与えました。例えば、シェラ・マクドナルドやクレア・ハミルのような、そんな慎ましやかだけれども心地よい英米折衷のフォーク・サウンドが蘇っています。これまでの彼女のアルバムの中でもダントツに親しみやすい出来。この機会に是非。

Wild Fire
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森田童子/東京カテドラル聖マリア大聖堂録音盤

森田童子/東京カテドラル聖マリア大聖堂録音盤
1978年 日本
『まさか手拍子が起こるとは』

 唯一のライブ盤です。彼女のスタジオ盤には編曲家の様々な仕掛けが施されています。その上での作品なのですが、実際彼女がどのような演奏をしていたのかを知る上ではライブ盤は欠かせません。CD化の際に2曲が追加されて全10曲となっています。
東京カテドラル聖マリア大聖堂という教会でのパフォーマンスを収録。ここへは行ったことが無いのですが、震えるような残響が印象的です。
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コーラス隊、ピアノ、オルガン、ヴァイオリンなどを擁した豪華編成のライブ。あくまでも彼女の歌とギターを主役として、演奏陣はサポートに徹しています。ライブでの歌唱は少し非力に感じるところもありますが、儚い味わいは唯一無二。慣れているからかテンポが速くなっている曲がいくつかあり、「ぼくと観光バスに乗ってみませんか」では手拍子も起こります。昭和の雰囲気を感じました。コーラス隊と拍手が混ざり合うざわざわとした感じが良かったです。
何曲かで語りの時間もあるのですが、少し籠っている上、声が小さいのであまり聞き取れません。何度か聴き返してみようと思います。

ぼくと観光バスに乗ってみませんか(LIVE)
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Bombadil/Fences

Bombadil/Fences
2017年 アメリカ
『キャット・スティーヴンスのような陽光メロディー』

 ノースカロライナ州で活動するフォーク・トリオ、ボンバディルの6枚目。前作もレビューしています。またメンバーが加わったようで今回はトリオでの制作です。今回のアルバムを聴いてみて、アメリカの東海岸に位置するノースカロライナならではの爽やかで抜けの良い音楽性を感じ取ることが出来ました。また、ノースカロライナは、フォーク、トラッドが古くから根付いている土地柄でもあり、ボンバディルのような音楽が生まれるのも必然なのでしょう。
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 三人による穏やかな歌声とコーラス、アコギ、キーボードなど多重録音を駆使した、カラフルなフォーク。前作はほのぼのとしたのどかさが印象的でしたが、こちらはよりわいわいがやがやとした楽しさが強調されているような気がします。(まぁ一人増えましたからね)英米折衷のメロディーの魅力は相変わらずで、英フォーク・ファンにも楽しめる内容。全ての曲が3分台に抑えられており、テンポの良さもポイントです。
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I Could Make You So Happy
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Alasdair Roberts/Pangs

Alasdair Roberts/Pangs
2017年 イギリス
『蘇える中世イギリスの幻想風景』

 正統派のフォーク・ロック。オルガン、ピアノ、フィドル、エレキギター、フルート等が奏でるトラッドに根差した荒涼としたメロディーは、まるでフェアポート・コンヴェンション(男所帯)を彷彿とさせます。
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 スコットランド出身のシンガー・ソングライター、アラスディア・ロバーツ。カランダーという町で育ち、現在はグラスゴーを拠点として音楽活動をしています。2001年からCDのリリースを開始しており、ラフ・トレードやドラッグ・シティといったレーベルより9枚の作品を発表。本作は10枚目のアルバムとなります。ヴァセリンズやジェフリー・ルイスの作品を手掛けている若手のエンジニア、ジュリー・マクラーノンが録音を担当。
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 2017年ならではのクリアな音質ですが、やっていることは70年代英フォークの回顧。程よく枯れたヴォーカルと土臭い楽曲群は相性抜群。新しさは全く見いだせないものの、フェアポート・コンヴェンションやトゥリーズが奏でていた中世イギリスの幻想風景を蘇らせており、魅力十分。既にベテランの域に達するミュージシャンですが、全く知りませんでした。

An Altar in the Glade
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