森田童子/ラスト・ワルツ

森田童子/ラスト・ワルツ
1980年 日本
『洗練されつつも彼女自身のやりたいことを突き詰めたアルバム』

 4枚目のアルバム。千代正行編曲。不勉強で知りませんでしたが、石川さゆりや中森明菜、竹内まりやなど女性歌手を中心としたセッション・ギタリストとして活躍している凄い方です。アコースティック・ギターを得意としていますが、編曲はストリングスがフューチャーされたドラマティックなものとなっています。前作のライブ盤からの流れとして「讃美歌」のような楽曲もいくつか収録されているのもポイント。
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 震えて不安定なヴォーカルが魅力だった森田童子ですが、このアルバムから少しずつ歌声が安定していきます。寂しさは相変わらず纏っています。また前述した「讃美歌」のような楽曲、例えば「グリーン大佐答えて下さい」では、学校の唱歌のようなソプラノ・ボイスを披露。Ipodなどを使って、シャッフルでこの曲が流れてきたら最初は森田童子の曲と分からないかも、というくらい、これまでと異なる歌い方をしています。

 『ラスト・ワルツ』というタイトルからは、彼女の生きた世界への区切りとして制作されたことが伺えます。これまでの集大成を感じさせる楽曲が多く、それぞれの楽曲にある物語をストリングスが盛り立てています。洗練されつつも彼女自身のやりたいことを突き詰めたアルバムだと思います。

みんな夢でありました
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Snowapple/ Tracks

Snowapple/ Tracks
2017年 オランダ
『涼が取れる女性3人による古楽系フォーク』

 トリオによる重層的なコーラスと透き通った水音のようなキーボードがとても涼やか。

 オランダのアムステルダムを拠点に活動するフォーク・グループ、スノー・アップル。異なる音楽の趣味を持つ女性3人によって2013年に結成されており、本作はセカンド・アルバムとなります。
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 女性3人による清廉な歌声とコーラスを軸に、バンジョー、ギター、マンドリン、ウクレレ、バイオリン、グロッケンシュピール、アコーディオンなど様々な生楽器を用いてフォークを演奏しています。そこかしこから雅な雰囲気が漂い、古楽からの影響を感じさせる一方で、あくまでもポップで親しみやすい作風が特徴。古楽への憧れを持ちつつも音楽趣味が雑多な女性3人が集まった楽しさを優先していることが伺えます。古楽風のフォークは暗さがどうしても目立ちがちですが、彼女たちの音楽はとても鮮やか。地味ながら、一服の涼が楽しめます。森林浴をしながら聴くと良さそう。
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Any Way (Made in Japan)
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Rachel Newton/ Here's My Heart Come Take It

Rachel Newton/ Here's My Heart Come Take It
2017年
『ハープ弾き語りによるスコットランド民謡継承SSW』

 BBCラジオのフォーク・アワード2017やスコッツ・トラッド・ミュージック・アワード2016などに参加。スコティッシュ・トラッドを受け継いだ本格SSWをご紹介します。
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 グラスゴー出身のSSW、レイチェル・ニュートン。スコットランド民謡を現代的に解釈、受け継ぐことをコンセプトとして活動しており、英語の他、スコットランドの言語であるゲール語でも歌詞を書いています。自身はヴォーカルの他、ハープ、ヴィオラ、フィドルを担当しており、バンド・メンバーとしてフィドルのローレン、パーカッションのマティ、トロンボーンのマイケル、キーボードのサラの4人が演奏に参加。2012年にデビュー作を発表し、本作はサード・アルバムとなります。
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 一口にスコットランド民謡の現代化といっても色々塩梅があります。レイチェルの場合は、ハープの調べによる室内楽のような優雅さを強調しつつも、かなり原初的な解釈でトラッドをやっており、寒々しさが印象的。熱を帯びて跳ねるリズム隊、絹を重ねるような幻想的なキーボードが素晴らしい。スコットランド民謡における踊りの要素も強調されています。また、厳しさを秘めた清々しい歌声も魅力的。

「Here's My Heart Come Take It」

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Rachael Kilgour/Rabbit in the Road

Rachael Kilgour/Rabbit in the Road
2017年 アメリカ
『情緒でもたれ気味』

 ミネソタ州ミネアポリス出身のSSW、レイチェル・キルガー。2009年にセルフタイトルのデビュー作を発表。これまでにアルバム2枚とミニアルバムを1枚リリースしています。2013年に結婚した後、一度音楽活動から離れましたが、2015年に再び活動を開始。その年に、ニューソング・ミュージックが主催するコンテストを二つ受賞しています。本作は3枚目のアルバムです。
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 情緒豊かなフォーク・ミュージックが並んでいます。アコギ弾き語りを主軸に、ピアノ、シンセ、フィドル、リズム隊という編成。情緒をたっぷり込めたヴォーカルとそれに寄り添うストリングス・アレンジが聴きどころで、トラッド由来のメロディにもメロウな雰囲気がたっぷり加えられています。

 1枚通して聴くと少しもたれる感じはあり。ただ、睡眠前に聴いていると心地よく眠りに付けるので、リラックス効果は大です。

Rabbit in the Road (Live from Studio A)

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JANET JONES/ JANET JONES

JANET JONES/ JANET JONES
1974年 イギリス
『キーボードを伴う清々しく可憐な弾き語り』

 フィメール・フォークとしての極上の内容がキャサリン・ハウのファーストに匹敵する、という帯の殺し文句に誘われて、餌食になってみました。そもそもキャサリン・ハウのファーストという言葉のチョイスが謎です。どうしてそこと並べたのか、煽るにしてももっとキャッチーなところもあったのではないか、などと思いますが、まんまと釣られてしまった僕は完敗でございます。
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 ミダス・レーベルから2枚のアルバムを出しているシンガー、ジャネット・ジョーンズのセカンド・アルバム。ギター2本とベース、キーボードという4人編成で録音されています。カバー9曲、オリジナル3曲という構成。ミダス・レーベル自体に硬派なトラッド・レーベルというイメージがあったのですが、本作は1974年という時代でもあり、かなりポップで聴きやすい印象です。まっすぐで清々しい歌声が素晴らしい。選曲はバフィ・セント・マリーやドリー・プレヴィンなど、私自身には馴染みのないラインナップが多く揃っています。ディランやジョニ・ミッチェルのナンバーも含め、どの曲も柔らかい印象のフォーク・ソングとして調整。キャサリン・ハウを例に出したのは、キーボードを伴う清々しく可憐な雰囲気が似ているからだと思います。ジャネット・ジョーンズの音楽の方が素朴な為、一概に比較できませんが確かにキャサリン・ハウを思わせるところもあり。(伸びやかに歌うところなどで)

Waiting For You
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