Entrance/Book Of Changes

Entrance/Book Of Changes
2017年 アメリカ
『土着的であり宇宙的』

 ピアノ、シンセ、ギターが溶け合うソフトなサイケデリック・サウンドに掠れた裏声が乗る。幻想的なストリングスもあり。爽快感十分。

 エントランスはガイ・ブレイクスリーによるソロ・ユニット。ガイはバルティモアを拠点とするグループ、The Convocation Of…のメンバーとして音楽活動をスタートしています。サイケデリックなハード・ロックを演奏していたバンドでしたが、2枚のアルバムを発表後、解散。その後、シカゴへ移り、エントランス名義を名乗ってソロ活動を開始。2003年のデビュー作以来、5枚のアルバムを発表しています。アメリカのカントリー、フォークをサイケデリックと掛け合わせる手法で、アシッド・フォークやネオアコのような作品を指向しているシンガーソングライターです。本作は6枚目のアルバム。
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 掠れた裏声は時に朗々と響き、トラッド的。ギターのつま弾かれる様も素朴。アメリカン・ルーツは濃厚です。一方でシンセ、ストリングスが幻想的なサイケ要素を担っているわけですが、こちらはとても立体的。カントリー、トラッドの持つ田舎臭さをセンチメンタルな装飾で消しているのがポイントです。

 土着的でありながら宇宙も感じさせる音楽。アルコールでもトリップ出来そうです。

ENTRANCE - Always The Right Time (Official Audio)

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森田童子/ラスト・ワルツ

森田童子/ラスト・ワルツ
1980年 日本
『洗練されつつも彼女自身のやりたいことを突き詰めたアルバム』

 4枚目のアルバム。千代正行編曲。不勉強で知りませんでしたが、石川さゆりや中森明菜、竹内まりやなど女性歌手を中心としたセッション・ギタリストとして活躍している凄い方です。アコースティック・ギターを得意としていますが、編曲はストリングスがフューチャーされたドラマティックなものとなっています。前作のライブ盤からの流れとして「讃美歌」のような楽曲もいくつか収録されているのもポイント。
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 震えて不安定なヴォーカルが魅力だった森田童子ですが、このアルバムから少しずつ歌声が安定していきます。寂しさは相変わらず纏っています。また前述した「讃美歌」のような楽曲、例えば「グリーン大佐答えて下さい」では、学校の唱歌のようなソプラノ・ボイスを披露。Ipodなどを使って、シャッフルでこの曲が流れてきたら最初は森田童子の曲と分からないかも、というくらい、これまでと異なる歌い方をしています。

 『ラスト・ワルツ』というタイトルからは、彼女の生きた世界への区切りとして制作されたことが伺えます。これまでの集大成を感じさせる楽曲が多く、それぞれの楽曲にある物語をストリングスが盛り立てています。洗練されつつも彼女自身のやりたいことを突き詰めたアルバムだと思います。

みんな夢でありました
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Snowapple/ Tracks

Snowapple/ Tracks
2017年 オランダ
『涼が取れる女性3人による古楽系フォーク』

 トリオによる重層的なコーラスと透き通った水音のようなキーボードがとても涼やか。

 オランダのアムステルダムを拠点に活動するフォーク・グループ、スノー・アップル。異なる音楽の趣味を持つ女性3人によって2013年に結成されており、本作はセカンド・アルバムとなります。
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 女性3人による清廉な歌声とコーラスを軸に、バンジョー、ギター、マンドリン、ウクレレ、バイオリン、グロッケンシュピール、アコーディオンなど様々な生楽器を用いてフォークを演奏しています。そこかしこから雅な雰囲気が漂い、古楽からの影響を感じさせる一方で、あくまでもポップで親しみやすい作風が特徴。古楽への憧れを持ちつつも音楽趣味が雑多な女性3人が集まった楽しさを優先していることが伺えます。古楽風のフォークは暗さがどうしても目立ちがちですが、彼女たちの音楽はとても鮮やか。地味ながら、一服の涼が楽しめます。森林浴をしながら聴くと良さそう。
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Any Way (Made in Japan)
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Rachel Newton/ Here's My Heart Come Take It

Rachel Newton/ Here's My Heart Come Take It
2017年
『ハープ弾き語りによるスコットランド民謡継承SSW』

 BBCラジオのフォーク・アワード2017やスコッツ・トラッド・ミュージック・アワード2016などに参加。スコティッシュ・トラッドを受け継いだ本格SSWをご紹介します。
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 グラスゴー出身のSSW、レイチェル・ニュートン。スコットランド民謡を現代的に解釈、受け継ぐことをコンセプトとして活動しており、英語の他、スコットランドの言語であるゲール語でも歌詞を書いています。自身はヴォーカルの他、ハープ、ヴィオラ、フィドルを担当しており、バンド・メンバーとしてフィドルのローレン、パーカッションのマティ、トロンボーンのマイケル、キーボードのサラの4人が演奏に参加。2012年にデビュー作を発表し、本作はサード・アルバムとなります。
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 一口にスコットランド民謡の現代化といっても色々塩梅があります。レイチェルの場合は、ハープの調べによる室内楽のような優雅さを強調しつつも、かなり原初的な解釈でトラッドをやっており、寒々しさが印象的。熱を帯びて跳ねるリズム隊、絹を重ねるような幻想的なキーボードが素晴らしい。スコットランド民謡における踊りの要素も強調されています。また、厳しさを秘めた清々しい歌声も魅力的。

「Here's My Heart Come Take It」

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Rachael Kilgour/Rabbit in the Road

Rachael Kilgour/Rabbit in the Road
2017年 アメリカ
『情緒でもたれ気味』

 ミネソタ州ミネアポリス出身のSSW、レイチェル・キルガー。2009年にセルフタイトルのデビュー作を発表。これまでにアルバム2枚とミニアルバムを1枚リリースしています。2013年に結婚した後、一度音楽活動から離れましたが、2015年に再び活動を開始。その年に、ニューソング・ミュージックが主催するコンテストを二つ受賞しています。本作は3枚目のアルバムです。
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 情緒豊かなフォーク・ミュージックが並んでいます。アコギ弾き語りを主軸に、ピアノ、シンセ、フィドル、リズム隊という編成。情緒をたっぷり込めたヴォーカルとそれに寄り添うストリングス・アレンジが聴きどころで、トラッド由来のメロディにもメロウな雰囲気がたっぷり加えられています。

 1枚通して聴くと少しもたれる感じはあり。ただ、睡眠前に聴いていると心地よく眠りに付けるので、リラックス効果は大です。

Rabbit in the Road (Live from Studio A)

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