Bombadil/Fences

Bombadil/Fences
2017年 アメリカ
『キャット・スティーヴンスのような陽光メロディー』

 ノースカロライナ州で活動するフォーク・トリオ、ボンバディルの6枚目。前作もレビューしています。またメンバーが加わったようで今回はトリオでの制作です。今回のアルバムを聴いてみて、アメリカの東海岸に位置するノースカロライナならではの爽やかで抜けの良い音楽性を感じ取ることが出来ました。また、ノースカロライナは、フォーク、トラッドが古くから根付いている土地柄でもあり、ボンバディルのような音楽が生まれるのも必然なのでしょう。
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 三人による穏やかな歌声とコーラス、アコギ、キーボードなど多重録音を駆使した、カラフルなフォーク。前作はほのぼのとしたのどかさが印象的でしたが、こちらはよりわいわいがやがやとした楽しさが強調されているような気がします。(まぁ一人増えましたからね)英米折衷のメロディーの魅力は相変わらずで、英フォーク・ファンにも楽しめる内容。全ての曲が3分台に抑えられており、テンポの良さもポイントです。
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I Could Make You So Happy
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Alasdair Roberts/Pangs

Alasdair Roberts/Pangs
2017年 イギリス
『蘇える中世イギリスの幻想風景』

 正統派のフォーク・ロック。オルガン、ピアノ、フィドル、エレキギター、フルート等が奏でるトラッドに根差した荒涼としたメロディーは、まるでフェアポート・コンヴェンション(男所帯)を彷彿とさせます。
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 スコットランド出身のシンガー・ソングライター、アラスディア・ロバーツ。カランダーという町で育ち、現在はグラスゴーを拠点として音楽活動をしています。2001年からCDのリリースを開始しており、ラフ・トレードやドラッグ・シティといったレーベルより9枚の作品を発表。本作は10枚目のアルバムとなります。ヴァセリンズやジェフリー・ルイスの作品を手掛けている若手のエンジニア、ジュリー・マクラーノンが録音を担当。
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 2017年ならではのクリアな音質ですが、やっていることは70年代英フォークの回顧。程よく枯れたヴォーカルと土臭い楽曲群は相性抜群。新しさは全く見いだせないものの、フェアポート・コンヴェンションやトゥリーズが奏でていた中世イギリスの幻想風景を蘇らせており、魅力十分。既にベテランの域に達するミュージシャンですが、全く知りませんでした。

An Altar in the Glade
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FARAWAY FOLK/TIME AND TIDE

FARAWAY FOLK/TIME AND TIDE
1972年 イギリス
『カップル二組による男女4人のグループ』

 ファラウェイ・フォークと言えば、1975年にリリースされた『Seasonal Man』がアシッド・フォークの佳作として知られているグループです。僕も長らく、その1枚きりしか聴いたことが無かったのですが、Big Pinkが初期作品をCD化してくれました。貴重な1972年産の英フォーク作品、ありがたく聴かせていただきます。
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 1969年にデヴォン州ブリクサムで結成されたファラウェイ・フォーク。カップル二組による男女4人のグループです。70年『Live At The Bolton』でデビュー。こちらはトラッドのみのライブ盤とのこと。CD化はされているのですが、恐らく渋くディープな内容だろうと思い、手が出せませんでした。セカンドである本作ではトラッド曲は3曲に抑えられており、残りはメンバーそれぞれが持ち寄ったオリジナル曲となっています。

 オリジナル曲とは言え、トラッド色は濃厚。しかしながら弾んだヴォーカルと男女混成ハーモニーによって、ほのぼのとした味わいが醸し出されています。収録曲ではグループ名を冠した「Faraway」の爽やかさは素晴らしい。

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THERAPY/ONE NIGHT STAND

THERAPY/ONE NIGHT STAND
1973年 イギリス
『英フォークをコレクションしているマニア向けのアルバム』

 本日は1970年より活動を開始したフォーク・グループ、セラピーのセカンド・アルバムをご紹介。前作のレビューはこちら。前回のアルバムではプロデューサーにコリン・コールドウェルが付いていたり、12の星座をテーマとしたコンセプト・アルバムだったり、と話題満載でした。しかし本作はメンバーが一人抜けデュオ体制となり、加えてレーベルもドロップ。自主制作盤です。そしてA面がカバー曲、B面がトラッド曲というオリジナル曲無しという構成。地味すぎる・・・・・・更に自分に対して小西勝氏の解説文の一節「オリジナル曲を切り捨てたのはちょっと残念」の文字が精神ダメージを与えてきます。
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 デュオとなった彼らですが、ゲストでリズム隊が参加しています。A面はジョニ・ミッチェル「Carey」「Big Yellow Taxi」、メラニー「Brand New Key」、ジャズ・スタンダード「Twelfth Street Rag」、ダンカン・ブラウン「Journey」、ビートルズ「Honey Pie」、イアン&シルヴィア「Someday Soon」というラインナップ。自主盤とは言え、適度な緊張感のある演奏で、音質も申し分ありません。女性ヴォーカルの凛々しい歌声も細やかなピッキングを披露するギターも素晴らしい。トラッド・サイドでの優しい演奏も心地よいです。素朴なフォーク・グループ作品という趣。英フォークをコレクションしているマニア向けのアルバムです。

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森田童子/ A BOY ボーイ

森田童子/ A BOY ボーイ
1977年 日本
『オーケストラでセンチメンタルを盛り上げろ』

 森田童子の3枚目です。てっきり最高傑作はファーストだと思っていたのですが、再発時の紹介文によるとサードが最高傑作とされているようです。編曲家は複数人起用。ジャックス、五つの赤い風船、吐痙唾舐汰伽藍沙箱、六文銭などで知られる木田高介が4曲、演歌も手掛ける若草恵が3曲担当している他、男はつらいよシリーズの音楽も担当したクラシック畑の青山勇と、元六文銭のギタリストでもある石川鷹彦が1曲ずつで編曲しています。森田童子が注目を集めていたからこその勝負を掛けた豪華メンバーなのでしょう。オーケストラ・アレンジが多く採用されていますが、セッション・メンバーのクレジットは一切ありません。
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 フォーク畑の木田高介担当の楽曲は消え入りそうな歌唱とアコギこそが森田童子の作品の肝である、というシンプルな方針が貫かれています。オーケストラ・アレンジはギターと歌を邪魔していません。また石川鷹彦担当の「君と淋しい風になる」も同傾向ですが、終盤に情熱的なエレキギターのソロが入っています。

 もう一方の若草恵担当曲は、オーケストラ・アレンジの主張が激しく、ドラマティックな仕上がり。打楽器が轟く様は圧巻です。その為、「セルロイドの少女」の中盤から終盤に掛けての部分など、一部で森田童子が置いてきぼりになっている部分もあり。また、ヴォーカルの発声が不明瞭な箇所も少々あります。ただし森田童子の感傷を最大限に表現する方法としてバッチリ噛み合っていることも確か。グイグイ引き込まれます。

 青山勇が担当した「終曲のために 第3番 「友への手紙」」は、オーケストラをバックに従えての朗読でした。

 オーケストラ・アレンジで森田童子のセンチメンタルを最大限引き出そうとしたアルバムだと思います。最高傑作と言われるのも納得の濃密さがあります。しかしながら重いです。

君と淋しい風になる
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