THERAPY/ONE NIGHT STAND

THERAPY/ONE NIGHT STAND
1973年 イギリス
『英フォークをコレクションしているマニア向けのアルバム』

 本日は1970年より活動を開始したフォーク・グループ、セラピーのセカンド・アルバムをご紹介。前作のレビューはこちら。前回のアルバムではプロデューサーにコリン・コールドウェルが付いていたり、12の星座をテーマとしたコンセプト・アルバムだったり、と話題満載でした。しかし本作はメンバーが一人抜けデュオ体制となり、加えてレーベルもドロップ。自主制作盤です。そしてA面がカバー曲、B面がトラッド曲というオリジナル曲無しという構成。地味すぎる・・・・・・更に自分に対して小西勝氏の解説文の一節「オリジナル曲を切り捨てたのはちょっと残念」の文字が精神ダメージを与えてきます。
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 デュオとなった彼らですが、ゲストでリズム隊が参加しています。A面はジョニ・ミッチェル「Carey」「Big Yellow Taxi」、メラニー「Brand New Key」、ジャズ・スタンダード「Twelfth Street Rag」、ダンカン・ブラウン「Journey」、ビートルズ「Honey Pie」、イアン&シルヴィア「Someday Soon」というラインナップ。自主盤とは言え、適度な緊張感のある演奏で、音質も申し分ありません。女性ヴォーカルの凛々しい歌声も細やかなピッキングを披露するギターも素晴らしい。トラッド・サイドでの優しい演奏も心地よいです。素朴なフォーク・グループ作品という趣。英フォークをコレクションしているマニア向けのアルバムです。

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森田童子/ A BOY ボーイ

森田童子/ A BOY ボーイ
1977年 日本
『オーケストラでセンチメンタルを盛り上げろ』

 森田童子の3枚目です。てっきり最高傑作はファーストだと思っていたのですが、再発時の紹介文によるとサードが最高傑作とされているようです。編曲家は複数人起用。ジャックス、五つの赤い風船、吐痙唾舐汰伽藍沙箱、六文銭などで知られる木田高介が4曲、演歌も手掛ける若草恵が3曲担当している他、男はつらいよシリーズの音楽も担当したクラシック畑の青山勇と、元六文銭のギタリストでもある石川鷹彦が1曲ずつで編曲しています。森田童子が注目を集めていたからこその勝負を掛けた豪華メンバーなのでしょう。オーケストラ・アレンジが多く採用されていますが、セッション・メンバーのクレジットは一切ありません。
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 フォーク畑の木田高介担当の楽曲は消え入りそうな歌唱とアコギこそが森田童子の作品の肝である、というシンプルな方針が貫かれています。オーケストラ・アレンジはギターと歌を邪魔していません。また石川鷹彦担当の「君と淋しい風になる」も同傾向ですが、終盤に情熱的なエレキギターのソロが入っています。

 もう一方の若草恵担当曲は、オーケストラ・アレンジの主張が激しく、ドラマティックな仕上がり。打楽器が轟く様は圧巻です。その為、「セルロイドの少女」の中盤から終盤に掛けての部分など、一部で森田童子が置いてきぼりになっている部分もあり。また、ヴォーカルの発声が不明瞭な箇所も少々あります。ただし森田童子の感傷を最大限に表現する方法としてバッチリ噛み合っていることも確か。グイグイ引き込まれます。

 青山勇が担当した「終曲のために 第3番 「友への手紙」」は、オーケストラをバックに従えての朗読でした。

 オーケストラ・アレンジで森田童子のセンチメンタルを最大限引き出そうとしたアルバムだと思います。最高傑作と言われるのも納得の濃密さがあります。しかしながら重いです。

君と淋しい風になる
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THERAPY/ALMANAC

THERAPY/ALMANAC
1971年 イギリス
『優雅なブリティッシュ・フォーク』

 誰にでも、絶対いつか聴くぞ!と思っているレア盤が何枚かあると思います。僕にとってのそのうちの一枚だったセラピーのファースト・アルバムが遂にCD化されました。やっぱりBIG PINKは凄い!

 黄昏時の岩壁に腰を掛けるメンバー3人、セラピーのバンド・ロゴ。12星座をテーマにしたオリジナル曲で構成された内容。ゲスト
にはペンタングルのリズム隊が参加。これがCD化されていなかったのですから、聴いてみたくもなります。
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 セラピーはあまり知られていないフォーク・グループ。ジャケ写の通り、女性一人、男性二人のトリオ。デイヴ・シャノンとサム・ブラッケンによるラグタイム・バンドへ、女性シンガー、フィオナ・シンプソンが加入した経緯で結成されたそうです。楽曲は全てフィオナ・シンプソンによるオリジナル。

 解説ではジョニ・ミッチェルからの影響が強い、と触れられていますが、確かにサード辺りまでの穏やかでフォーキーなジョニ・ミッチェルを彷彿とさせる曲を書いています。弦楽四重奏を加えた、優雅なブリティッシュ・フォークが全編で楽しめる好盤。期待通りです。

今回はYOUTUBE動画がありませんでした。
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Charity Children/Fabel

Charity Children/Fabel
2016年 ドイツ
『寒い冬にぴったりのフォーク・デュオ』

 寒い冬にぴったりのフォーク・デュオ。という書き出しも最早通じない暖かさですね。更新しそびれていました。

 フィドルとピアノが絡み合う様は荘厳にして寒々しく、力強いヴォーカルとの対比が鮮やかです。リズムにプログラミングを取り入れており、躍動感があるのがポイント。
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 ニュージーランドで生まれ育ち、2011年にドイツのベルリンへ移住してきたクロエ・ロワーとエリオット・マーキーによるデュオ・グループ、チャリティ・チルドレン。移住後すぐに路上ライブで音楽活動を開始。数年で多くの支持を獲得しました。2013年にはデビュー作を発表して各地のフェスにも出場。本作はセカンド・アルバムとなります。尚、グループにはサポート・メンバーとして以下の4人が参加しています。Dave Sills: Cello, Keys Nick Morrison: Guitar, Keys Martin Rose: Bass Wouter Rentema: Drums
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 ニュージーランドへの愛国心を前面に出しているグループで、トラッド色が濃厚です。一方でエレクトロ(いわゆるフォークトロニカ)やテクノの要素を取り入れており、ファンタスティックで心地よい揺らぎをもたらす音楽に仕上げています。

You Want Me
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Clare Sands/Join Me At The Table

Clare Sands/Join Me At The Table
2016年 イギリス
『英フォークの新星再び』

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 クレア・サンズはアイルランド、マンスター州コルク出身。父親より4歳からギターとヴァイオリン(フィドル)の手ほどきを受けた彼女。家族と共にアイルランド民謡に親しんでいたとのこと。10代前半にはブルース、カントリー、フォークといった音楽にのめり込み、特にボブ・ディラン、ジャンゴ・ラインハルト、エヴァ・キャシディといったミュージシャンに夢中でした。この頃にはバンドを組んで学校の帰り道で演奏を開始していたとのことです。2013年、大学の一時期をニューヨークで過ごしたのちコルクに戻った彼女はハープ奏者のアリス・アウィン(Aisling Urwin)と出会い、デュオを結成。ポール・ブレイディ、ストーンズ、ジェフ・バックリィといった面々のカバーと共に自作曲も披露。そしてデビューEPを経て、初のアルバムをリリースすることになりました。
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 アルバム1曲目はフィドル、ホーンも入るポップな曲。アイルランドらしい荒涼とした冷たさはメロディーや彼女自身の塩っ辛いヴォーカルから感じることが出来ます。オルガン、チャイム、エレキギター、アコギ、ドラム、と分厚いバンド編成で、華やかなサウンドなのですが、シリアスな語り口のヴォーカルが作用しているのかアイリッシュ然とした峻厳なイメージでおおわれています。次の曲以降は弾き語りにフィドル、ドラムが絡む程度の渋い曲が続きます。抑揚がついた歌い口が素晴らしい。また楽しみな英フォーク・シンガーが登場しました。

Clare Sands-Let You Go-Official Music Video
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