Charity Children/Fabel

Charity Children/Fabel
2016年 ドイツ
『寒い冬にぴったりのフォーク・デュオ』

 寒い冬にぴったりのフォーク・デュオ。という書き出しも最早通じない暖かさですね。更新しそびれていました。

 フィドルとピアノが絡み合う様は荘厳にして寒々しく、力強いヴォーカルとの対比が鮮やかです。リズムにプログラミングを取り入れており、躍動感があるのがポイント。
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 ニュージーランドで生まれ育ち、2011年にドイツのベルリンへ移住してきたクロエ・ロワーとエリオット・マーキーによるデュオ・グループ、チャリティ・チルドレン。移住後すぐに路上ライブで音楽活動を開始。数年で多くの支持を獲得しました。2013年にはデビュー作を発表して各地のフェスにも出場。本作はセカンド・アルバムとなります。尚、グループにはサポート・メンバーとして以下の4人が参加しています。Dave Sills: Cello, Keys Nick Morrison: Guitar, Keys Martin Rose: Bass Wouter Rentema: Drums
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 ニュージーランドへの愛国心を前面に出しているグループで、トラッド色が濃厚です。一方でエレクトロ(いわゆるフォークトロニカ)やテクノの要素を取り入れており、ファンタスティックで心地よい揺らぎをもたらす音楽に仕上げています。

You Want Me
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Vivie Ann/Flowers & Tigers

Vivie Ann/Flowers & Tigers
2016年 ドイツ
『オペラをルーツに持つ、パワフル・シンガー』

 ドイツ出身のポップ・シンガー。軽やかなメロディーとは裏腹に、バンドの演奏はダイナミック。そして重厚なストリングスもポイント。極めつけに、ヴィヴィー・アン自身のヴォーカルがパワフル。ドイツ特有の巻き舌でドスが効いた姉御ヴォーカルを堪能できます。

 ハンブルグを拠点に活動しています。ジャズ・ピアニストとシャンソン歌手の子供として生まれた彼女は、幼いころから楽屋裏をアジトとして暮らしていたとのこと。公式HPにある記述では、マジシャンのヘビと戯れたり、ブラジルのストリップ・ダンサーを間近で観察したり、スパンコールのドレスを着てステージで踊ったり、とやりたい放題です。

 幼いころから歌手志望だった彼女は、両親から60年代を中心とした様々なスタンダード曲を教えてもらっていました。12歳の頃より、それらスタンダード曲をカバーしながら自作曲を書き始めることに。ロック、ポップス、オペラ、フォーク、そしてダブなどの要素を混ぜ合わせた独自のスタイルを確立。今回のデビュー・アルバムへと結実した次第です。

 最初に指摘したパワフルな歌声はオペラ由来だったということがプロフィールを読んだ後に判明しました。楽曲にもオペラならではの芝居がかったダイナミズムが備わっています。映画やアニメで使われそうな、劇画調の作風は普段あまり馴染みが無い分、新鮮に接することが出来ました。
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 さてアルバムの感想は以上にして動画を1曲どうぞ。

VIVIE ANN - PICTURES (BalconyTV)
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TOMMOROW’S GIFT/ TOMMOROW’S GIFT

TOMMOROW’S GIFT/ TOMMOROW’S GIFT
1970年 ドイツ
『ジャーマン・ハードの知られざる名作』

 今から15年くらい前のこと。私は70年代ブリティッシュ・ロックの名作は全て聴き終えてしまった、と嘆いていた。実際はまだ聴いたことのないアルバムが沢山あったのだけれども。次はどうしよう、という時にMSIがリリースしてくれたのがジャーマン・ハード・ロックの名作群。その頃、ドイツのセカンド・バトルというレーベルが70年代のドイツ産ハード・ロックを大量に再発してくれており、それをMSIが解説を付けて発売していたのだ。暗くドロドロとしたサイケデリック且つブルージーなジャーマン・ハードの魅力にハマり、それらMSIのカタログは制覇。「もっとだ、もっとジャーマン・ハードをくれ!」という欲求により、今度はMSIがチョイスしなかったセカンド・バトルのカタログにも目を付けることに。当然、残念なアルバムも多かったもののその中でお宝もあった訳です。それがトゥモローズ・ギフト。今日、ご紹介するアルバムです。
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 トゥモローズ・ギフトはオルガン&メロトロン、フルート、女性ヴォーカルを含むドイツのハード・ロック・グループ。2管登場(一部楽曲のみ)して絡み合うフルート、リフを延々と紡いでいく70年代ハードの流れを踏襲したソリッドなギター、ドタバタと暴れるドラム、煙たいオルガン、シリアスな女性ヴォーカルによる白熱のバンド・アンサンブルがかっこいい。3分以下の短い曲と8分以上の長い曲が混在しており、目玉はやはり長尺曲。楽曲というよりも、各パートがせめぎ合うインプロヴィゼーション中心の内容ながら、高いテンションで一気に聴かせます。

 長らく入手困難だった本作ですが、2016年に遂に再度のCD化が実現。ロング・ヘアーよりボートラ追加でリリースされています。おすすめ。ちなみにセカンドもあるのですが、どんな内容だったか覚えていないので・・・お察しください。

Riddle In A Swamp
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Lilié/Close Enough

Lilié/Close Enough
2016年 ドイツ
『ケイト・ブッシュがクリムゾンをバックに狂い咲くような・・・・・・と書いたら完全に言い過ぎ』

 「リリーは、レゲエの透過性とジャズのドラフトでビロードのような声で魂の感情的な深さを統一しました。」ドイツ語の情報しか見当たらず、自動翻訳したら、こんなのが出ました。本日はリリーというドイツの女性SSWをご紹介。

 そうですね、情報が無いんですね。↑のドイツ語自動翻訳によると・・・・・・ビロードのような歌声を持っているとのこと。ビロードというのはベルベットとも呼ばれる織物のことで、色彩豊かな織物の様に、伸びやかで奥深さのある歌声のことをこう表現します。僕はあまり使ったことがない表現だったので、今回調べてやっと納得した次第です。レゲエの透過性とジャズのドラフト辺りはどういう意味でしょうか。ここではレゲエやジャズの要素もある、というくらいで捉えておきます。無理、ドイツ語!先に述べたように女性ヴォーカリストはリリーと言いますが、実はバンド名もリリーだそうです。恐らくこれがデビュー作でしょう。

Lilié

 穏やかなヴォーカル曲が並んでいます。オルガンを含む煌びやかなキーボードを始め、タイトなドラムや穏やかなアコギ、ベースによる演奏は、スペーシー且つプログレッシヴな趣。さすがのビロード・ボイスも合わせて、かなりドラマティックな音楽となっています。ケイト・ブッシュがクリムゾンをバックに狂い咲くような・・・・・・と書いたら完全に言い過ぎ(近代的ですし、大分落ち着いています。この辺りがジャズなのかな)ですが、そういう方向性の音楽であることは間違いありません。 曲もファーストとは思えない練り具合。スペーシーな味わいは間違いなく、クラウトロック由来のものでしょう。掘り出し物だと思います。

Lilié/Conquer you
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Annett Louisan/Berlin, Kapstadt, Prag

Annett Louisan/Berlin, Kapstadt, Prag
2016年5月 ドイツ
『ジャーマン・スタイルのシャンソンで独ポップスを料理』

 時々、巻き舌を強調した、気怠い歌の後ろにはサイケデリックなキーボード。
なるほど、ドイツのシャンソンはこういう感じですか。

 アネット・ルイサンはドイツ出身の歌手。
1977年にエルベで生まれ育ち、現在はハンブルグを拠点に活動しているとのこと。
2004年にゲーム音楽のヴォーカリストとしてデビュー。
たちまち人気者となると、翌年の2005年からはフランスのシャンソンへ興味を持ち、
以降、ミュゼットワルツ、ボサノヴァ、タンゴなど様々な伝統音楽を研究。
自身のアルバムの音楽性に反映させてきました。
アルバムは今のところ、ドイツ語で歌われており、ドイツの他、スイス、オーストリアでリリースされています。
本作までに6枚のアルバムを発表しており、
そのすべてがドイツのチャート・トップ3以内に入るヒットを記録。
他の国でも最新作ではオーストリアで4位、スイスで8位と人気を盤石のものとしています。
最初はアイドル的な売り出し方をされながら、
すぐに自身のやりたかったシャンソンなどの伝統音楽への接近を開始。
それを大衆音楽と融合させて発表、支持を獲得してしまうのですから、
世界デビュー前とは言え、凄い才能を持った人物であることは伺えます。
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 本作は彼女の7枚目のアルバム。
内容はカバー・アルバムとなっており、クラフトワークやデヴィッド・ボウイなど10曲を選んでいます。
彼女はテレビ番組「"Sing meinen Song"」
(歌うわたしの歌)を持っており、本作はそちらで披露した楽曲をまとめたサウンドトラック盤とのこと。

1. Engel (Rammstein)
2. Das Modell (Kraftwerk)
3. OMG! (Marteria)
4. Bologna (Wanda)
5. Wie soll ein Mensch das ertragen (Philipp Poisel)
6. Stark (Ich & Ich)
7. Durch den Monsun (Tokio Hotel)
8. Solang’ man Träume noch leben kann (Münchener Freiheit)
9. Merci Chérie (Udo Jürgens)
10. Helden (David Bowie)

 ネットには有名な曲ばかりが選ばれている、というドイツ音楽誌の紹介文がありました。
ただ、日本の音楽ファンである自分から見ると聞いたことのない名前も多い印象。
一応、youtube動画を可能な限り貼っておきましたのでご確認ください。
ドイツの流行音楽を俯瞰しているようで楽しいですよ。

最初に述べた通り、彼女の魅力の肝はドイツならではの退廃的なムード(デカダンス)を感じさせる歌と、幻想的かつダークな世界観でしょう。それはベルリン時代のデヴィッド・ボウイにも繋がるものかもしれません。その特徴を存分に生かしたカバーの解釈がされており、原曲にしばられない彼女の個性優先のアレンジにより、統一感を感じさせるアルバムとなっています。
「Helden」
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