Chastity Brown/Silhouette of Sirens

Chastity Brown/Silhouette of Sirens
2017年 アメリカ
『ゴスペル、アイルランド、ブルースが同居』

 アフロヘアの女性ミュージシャンが登場すると、ついついチェックしてしまう。やはり華やかで目立ちますから。そしてチャスティティー・ブラウンを見つけました。
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 1982年、アイルランド人の母とアフリカ系アメリカ人ブルース・シンガーの父の間に生まれたチャスティティー。ニューハンプシャー州北部で生まれ、テネシー州ユニオンシティで育ち、現在はミネソタ州ミネアポリスを拠点に活動しています。幼い頃からアイルランド民謡やブリティッシュ・トラッド、フォークを聴きながら、同時に父の影響でブルースにも親しんだ彼女。礼拝堂でのゴスペル・コーラス隊の中でドラムとサックスを演奏して育ったそうです。多様な音楽経験と何度かの移住を経て、豊かなバックボーンが形成されているようです。彼女は影響を受けたものとして、ジェイムス・ボールドウィン、カーソン・マッカラーズという二人のアメリカ人作家を挙げています。2007年にアルバム・デビュー、本作で5枚目になります。現在はマイケル・キワンカ、ダー・ウィリアムズ、ラウル・ミドン、レオン・ラッセル等のライブ・ツアーをサポートするなど、知名度を獲得。ミネアポリスにてベスト・フォーク賞を受賞したことを始め、いくつかの音楽賞も受賞。名前が売れてきています。
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 壮大で力強いゴスペル要素、図太いブルース・ロック、枯れたカントリー・ギターといった要素が同居。またシャッフル、ビート・ナンバーもいくつか収録されており、ブリティッシュ・ロックからの影響も感じさせるのがポイントです。哀愁を帯びたメロディー、パワフルな歌唱共に申し分なく伸び伸びとしたアメリカン・ロック作として楽しめました。

Carried Away
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Vintage #18/Grit

Vintage #18/Grit
2017年 アメリカ
『パブでの演奏を聴いているかのような親しみやすいヴィンテージ・ソウル』

 ジャンルがソウルであり、グループ名にヴィンテージが付くとなれば、そういうこと。ヴィンテージ・ソウル・グループが再び誕生しております。

 恰幅の良いおばさまはティナ・ターナー風白いワンピース(セクシーかどうかと言われればセクシーと答えざるを得ない。)でバッチリ決めています。なるほど、ココ・テイラーやティナ・ターナー、エタ・ジェイムス、三大キングなどに影響を受けているとのこと。中にエイミー・ワインハウスの名前もあり、黒人音楽が継承されている様が想像出来てうれしいです。
ヴィンテージ#18は、2013年に結成された4人組ソウル・グループ。ノーザン・ヴァージニアを拠点に活動しています。今回のアルバムがデビュー作。
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 一般的なヴィンテージ・ソウルではグルーヴを大切にしている傾向がありますが、彼女達の場合、ブルースへの比重も大きいのが特徴。またギタリスト、ビル・フォルターはジミ・ヘンドリクス・フォロワーであり、絡みつくような情熱的なギターソロでサイケデリック感を醸し出しています。ロビン・カプサリス嬢によるヴォーカルは声域こそ狭いものの、重厚でふくよかな味わいがあり。他のヴィンテージ・ソウルにある熱狂こそ控えめなものの、パブでの演奏を聴いているかのような気安さが魅力と言えます。
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Vintage#18 - "Poor Me" (Official Music Video)

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PJ Morton/Gumbo

PJ Morton/Gumbo
2017年 アメリカ
『ナイス!スティーヴィー・ワンダー・フォロワー』

 スティーヴィー・ワンダーのフォロワーにして、正統派のニューソウル。絹の歌声と華麗なストリングスによる柔和なメロディーが、トロトロにしてくれます。

 PJモートンという方は新人SSW、だとばかり思っていましたが無知でした。マルーン5の鍵盤奏者だったのですね。2013年、ニューオリンズの地にマルーン5のツアーで初めて訪れたPJモートンは、音楽の坩堝である熱気に圧倒されソロ活動を決意。フェイスブックの影響を受けたミュージシャンの欄にはシンプルに「スティーヴィー・ワンダー」としか書いておらず、色濃く影響されたことが伺えます。2013年にはそのスティーヴィー・ワンダーとの共演を果たした「Only One」を発表しグラミー賞のベスト・オブ・R&Bソングを獲得。以降、楽曲制作を続けた成果がこのデビュー作になりました。
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ジャケも正しく70年代ニューソウルを彷彿とさせます。

 スティーヴィー・ワンダー(三部作時代)が乗り移っているかのような、そのまま過ぎる音楽性が潔い。実際の所、ラップを披露していたり、アフロっぽいリズムを取り入れたり、一部でのボイス・エフェクトなど、異なる部分もあるのですが、それでもアルバムを聴きとおしてみると「スティーヴィー・ワンダー」という単語だけで十分だと感じます。これは褒め言葉です。「この曲のオリジナルってスティーヴィー・ワンダーだよね、なんて曲だっけ?」という人が現れても驚かない完成度。ラストに入っているのがビージーズのカバー「How Deep Is Your Love」(愛はきらめきの中に)も「らしい」仕上がりになっています。

CLAUSTROPHOBIC feat. Pell
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Stone Foundation/ Street Rituals

Stone Foundation/ Street Rituals
2017年 イギリス
『洗練されたブリティッシュ・ソウル』

  ストーン・ファンデーションという名前と、ストリート・リチュアルというタイトル。色々混じっています。更にポール・ウェラーがプロデュースを担当(2曲で作曲を担当している他、全曲のセッションに参加)しているイギリスのソウル・グループということで、聴いてみたくなりました。私は今回初めて聴きましたが、日本では既に認知されており、何度か来日も果たしているようです。
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 ウォーリックシャー出身の8人編成グループ。ヴォーカル&ギターを務めるニール・ジョーンズを中心に結成されたのち(結成年度は調べきれませんでした)、2011年にデビュー作を発表。これまで3枚のアルバムを発表しており、本作は4枚目です。ニール・ジョーンズは80年代モッズ・リバイバルを通じて、ノーザン・ソウルに傾倒したルーツを持っており、そのままストーン・ファンデーションの音楽性と繋がっています。尚、本作にはゲストとして、ウィリアム・ベルやベティ・ラヴェットが参加していることもポイント。
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 前作までのアルバムを未聴の為、比較は出来ませんが、ポール・ウェラー・プロデュースらしい、洗練されたブリティッシュ・ソウルを楽しむことが出来ます。うるさ過ぎずに主張するストリングス、爽やかな鍵盤、所々のんびりしたパーカッション、差し込まれるフルートなどからイギリスらしさがプンプン漂ってきます。キャッチーさは控えめながら、十分にポップで聴きやすい。声量控えめながらスマートなヴォーカルもナイス。熱は抑えられており、柔和なソウル・ミュージックとして魅力抜群です。

Back In The Game ft. Paul Weller
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San2 & His Soul Patrol/Hold On

San2 & His Soul Patrol/Hold On
2017年ドイツ
『ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースを思わせるロックンロール回帰グループ』

 ファスト・チューンでの躍動感、バラードでの艶っぽさ、共に見事に歌い上げるリード・ヴォーカルのサンツー(san2)をフロントに据えた、ソウル&ロックンロール・グループをご紹介。
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 ドイツ、ミュンヘンを拠点に活動しており、2011年頃にリーダーのサンツーを中心として結成されています。ブラス、鍵盤入りの5人編成。サンツーはサンフランシスコ、アムステルダム、ロンドンへの音楽留学を経験。フェイスブックの「影響を受けたミュージシャン欄」には以下の記載がありました。Junior Wells, Buddy Guy, Billy Preston, James Cotton, Michael Jackson, Aretha Franklin, Sam Cooke, James Brown, Little Richard, Jamie Cullum ブルースやロックンロールも抑えた王道ソウル・ファンと言えるでしょう。2枚目となる本作のプロデューサーにはジェフ・ガスコインを迎えています。ジェイミー・カラム、ジョージィ・フェイム、ヴァン・モリソンとの共演で知られるベーシストですが、アレンジャーとしても活動しているようです。プロデューサーとしての仕事は知られていませんが、ジェイミー・カラムをリスペクトしているサンツーが依頼したのでしょう。
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 ブラスが入っていますが厚みよりも軽快さを重視したアンサンブル。ギターは渋いブルージーなプレイを聴かせてくれます。リズム隊はアタックが強烈。他にジャジーなオルガン、ハーモニカ(サンツーはハーモニカ奏者として国際的な賞を受賞しています)という構成。サンツーのヴォーカルのおかげか、かなり熱のこもった演奏にも関わらず、爽やかな聴き心地です。曲はブルース、ソウル、ロックンロールを下地にしつつもかなりポップな出来栄え。音楽留学経験があるためか、ドイツらしい暗さ、重苦しさは皆無。ルーツがしっかりしたオーソドックスなナンバーが多いです。

Julie
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