Marian Hill/ACT ONE

Marian Hill/ACT ONE
2016年 アメリカ
『細かく刻んで生み出された音楽』

 2017年1月にアップルのCMに抜擢されたとのことで、日本では彼女への注目が集まっているようです。CDの流通はまだされていませんが、スポティファイ等で聴くことは出来ます。エレクトロとソウル、ジャズを融合させたサイバーな音楽性、クールな歌声が魅力のデュオ。
c86aff1c458a537112a75c74b3764f24_1000x1000x1-320x320.jpg

 マリアン・ヒルという名前から、この女性ヴォーカリストのことだろうと思ってしまいましたが、実際はデュオでした。ジェレミー・ルロイドとサマンサ・ゴンゴルの二人組。出身地などの情報はありません。アメリカのミュージシャンです。高校時代の同級生が始めたデュオが、サウンドクラウド上で注目を集め、2014年に音源がCM曲として採用されます。それを切っ掛けとしてレーベルと契約、アルバム・デビューまでとんとん拍子で決まったようです。
marian-hill-press-2016-billboard-1548.jpg

 サマンサ・ゴンゴルのゴージャスなヴォーカルとそれを活かす90年代を彷彿とさせるディーバ的なスムースなソウル・ミュージック。それをヒップホップ的にザクザクと切り刻み、スクラッチして、ヴォーカルもお経の様に様変わり。新しい感覚を持っていないと、こんなもったいないことは出来そうにないです。これだけでなく、上にシンセサイザーや電子音を被せています。音のベースとなっているのは90年代ソウルなので、複雑で近未来の様に思えても本質は単純明快。とても聴きやすいです。ヴォーカリーズやサックスの導入などジャズの要素があるのもポイント。宅録作品の範疇だと思うのですが、そう感じさせないスケールの大きさが素晴らしい。

I Want You

続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ アメリカポップスソウル

Couch/Little dancer

Couch/Little dancer
2017年 日本
『おっおーーー、は覚えていた』

 レコ発ライブは残念ながら見逃してしまいましたが、ソウル系ロック・トリオ、カウチの4作目が届きました。メンバーは作曲担当、ギター、ヴォーカルの平泉光司、ベースの中條卓、ドラムの小島徹也というベテランの3人。今回は6年振りの新作となります。
HRBR004.jpg

 ゲストは一切なし、バンド・アンサンブルとコーラスのみという潔いスタイルで制作されています。6年振りの新作であるだけにこの配慮がありがたい。存分にカウチの強力なバンド・サウンドを楽しむことが出来ます。楽曲については、こちらが期待する通りのものが全て揃っており言うことなし。グルーヴィで洗練されているカウチの音です。密室で自分の為に演奏してくれているような親密な空間が心地よかったです。2016年にライブに行った折に演奏してくれた曲も何曲かあり、特に2曲目の「おっおーーー」はコール・アンド・レスポンスをした記憶が蘇りました。尚、カバーが2曲あり。既発である大貫妙子トリビュートからの「都会」と青山陽一の「最後はヌード」です。「最後はヌード」はパワフルに仕上げており、アルバムの良いアクセントになっています。

 COUCH「リトルダンサー」アルバムダイジェスト
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ 日本ソウルロックポップス

Bassel & the Supernaturals/ Elements

Bassel & the Supernaturals/ Elements
2017年 アメリカ
『逆境を歌で変える』

 シリア系アメリカ人(シリア育ちの第一世代)のフロントマン、バジル・アルマダニが率いるファンク・ロック・バンド、バジル&ザ・スーパーナチュラルズ。戦争で傷ついたシリアでの人道的努力を働きかけるために活動しているとのこと。ここまで確固たる思想を持ち、それに沿った音楽活動をするミュージシャンは今日では珍しいと思います。しかし且つては黒人解放運動と音楽は連動していました。直接、その運動を知らなくとも熱意が伝わる音楽。バジル&ザ・スーパーナチュラルズにも、いにしえのマーヴィン・ゲイやダニー・ハサウェイなどと同様に、現状を訴えて世界を変えたいと願っているのだと思います。
gc5hntqblxgavskzwbog.jpg

 バジル&ザ・スーパーナチュラルズはシカゴを拠点に活動しているグループ。ブラス・セクション、鍵盤を含む9人編成です。バンドの結成時期は不明ですが、2013年にデビューEPがリリースされているので、その数年前だと推察されます。本作はファースト・アルバムとなります。
BasselMusicVideo_BandWarehousePortrait-058_(lo-res).jpg

 前述した通り、ファンク、ソウルを基盤とした音楽性ですが、おおらかなアメリカン・ハード・ロック、ジャズ、プログレッシヴ・ロックといった様々な要素を内包したごった煮サウンドが特徴です。手数が多くパワフルなドラム、フュージョンのように高音で鳴くシンセサイザー、オーセンティックなヴォーカル、重厚なブラス・セクションなどが飛び交うバンド・アンサンブルは、とてもエネルギッシュ。英語は分からないので、彼らのメッセージを歌から聴きとることは出来ませんが情熱は伝わります。

Lost
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ アメリカソウルロック

Vulfpeck///The Beautiful Game

Vulfpeck///The Beautiful Game
2016年 アメリカ
『ジャケが捻挫しそうで気になる』

 ミシガン州出身、洗練されたファンクサウンドを愛嬌たっぷりのグルーヴィなバンド・アンサンブルで聴かせるグループ、ヴァルフペック。モータウンやニューソウルなどのルーツを持つ、本格派のソウル・グループです。気づかないうちに年末にリリースされていたセカンド・アルバムを紹介いたします。
61vs6wEvnVL__SS500.jpg
ビューティフル・ゲームというタイトルでこのジャケ・・・・・・うーむ、捻挫しそうとしか思えない。

 笛の音(オーボエorクラリネット)のソロから始まり、意表を突く1曲目。これはイントロダクション的な室内楽インストでした。2曲目からは通常のトラックがスタート。ジャクソン5風の手拍子、ピアノ、ファルセットによるコーラスが合わさったポップ・ソングですね。3曲目「Dean Town」はブレイクビーツにキーボードが乗る都会的なインスト。4曲目は明るいオペラチックなソウルで、ヴォーカル・エフェクトを駆使したチャカチャカ・ソング。5曲目はナムコのファミコンBGM(ディグダグかマッピーかな)をファンク・アレンジしたような、お茶目インストです。・・・と、全曲紹介しそうな勢いですが、ここまでにしておいて。
vulfpeck2-800x445.jpg

ヴォーカル・ナンバー、インストが交互に並ぶ構成になっていて、インストはテクノの要素があり愛嬌たっぷり、ヴォーカル・ナンバーはクラシック・ソウルの流れを汲んでおりポップな仕上がり。次にどんな曲が来るのかとワクワクさせられる混沌としたアルバム構成からは、ライブの楽しさが伝わってくるようです。日本でもかなり浸透して来た気もします。

1 for 1, DiMaggio
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ アメリカソウルポップス

LP/Lost on You

LP/Lost on You
2017年 アメリカ
『オーバープロデュース気味でも生々しさは失わず』

 アメリカのSSW、LPの4枚目のアルバム。以前『Death Valley』というタイトルのEPを取り上げたのですが、やはりアルバムがリリースされていたことを後になって知りました。前回も絶対に書いたと思うのですが、LPという名前は検索しづらい!情報を探すこともままなりません。そうは言いつつももう一度、プロフィールを整理しておきます。
blog_lp.jpg
かっこいい!

LPは1978年生まれの38歳、ニューヨーク出身のシンガーソングライター。高校を卒業した1996年に音楽活動を開始。2001年にアルバム・デビュー。2009年には楽曲提供へ活動の軸足を移し、リアーナ、クリスティーナ・アギレラ、バックストリート・ボーイズといったミュージシャンに曲を提供。知名度を獲得します。2014年のサード・アルバム(ワーナーからのリリース)『Forever for Now』では全米134位と初めてチャートに登場。本作は自身のレーベル、ヴァグラント・レーベルからの4THアルバムとなります。先行リリースとなったヨーロッパ各国ではスペイン2位を始めとして好評価を得ています。アルバムは前作からの4年の間に発表されたシングル曲、EP収録曲をまとめた内容。曲の粒は揃っています。
LP - Lost On You

 女性とは思えないドスの効いた歌声は民族音楽の詠唱のような力強さがあり、存在感抜群。彼女の情報には影響を受けた音楽の記述は一切ありませんが、シャーデーやプリンスなど80年代のソウル系ポップスからの影響を感じます。爽やかさはあまりなく、肉感的でドロドロした音楽。他人への楽曲提供を経て、より普遍的な音楽が作れているということが実感出来るのですが、プロデュースが若干厚すぎる部分があり。それを差し引いても迫力は伝わります。

Lost On You
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ アメリカロックソウル