Pokey LaFarge/Manic Revelations

Pokey LaFarge/Manic Revelations
2017年 アメリカ
『ウキウキ気分にさせてくれる』
 
  自らの音楽ジャンルについて、カントリー、ブルースとアーリー・ジャズを21世紀流で、と記しているポーキー・ラファージ。50年代のキャバレー音楽やパブロックのような市井の人々に囲まれて育まれたような、親しみやすさと軽快さがあります。
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 ポーキー・ラファージは1983年生まれの33歳、イリノイ州ブルーミントン出身。子供時代に祖父の影響から、バンジョーとギターを始めます。しかし彼の夢はアメリカ文学の作家になることで、スタインベックなどの名作を読みながらアメリカの歴史を学ぶ過程で、ブルース、カントリーに触れることになったそうです。その後、近所のピザ屋で演奏しているブルースマンからの影響で、いよいよアメリカのルーツ音楽への興味に目覚め、バンドを組むことになりました。2006年にバンドを率いてのソロ・キャリアをスタート。現在まで7枚のアルバムを発表。既にアメリカのみならず、世界の音楽ファンからtoe-tapping music(足でリズムを取りたくなっちゃう音楽)と呼ばれ、親しまれているとのこと。本作は8枚目となります。
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 今回のアルバムではトランペット、ユーフォニアム、チューバ、ピアノ、サックス、ベース、クラリネット、フルート、グロッケンシュピール、エレキギター、ドラム、パーカッション、洗濯板、アップライトベース、ハーモニカなどを使用する、7人編成のバンドを組んで制作しています。穏やかながら心地よい低音が素晴らしいヴォーカルは、古き良きアメリカを想起させるもの。冒頭に記したアメリカン・ルーツ・ミュージックの他に、所々でウエスタンも混じっています。既に8枚のアルバムを出しているだけに、この音楽が芯まで馴染んでいるのが良く分かります。まだ来日したことが無いみたいですが・・・・・・来ないかな。

Riot In The Streets
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Jonny Fritz/Sweet Creep

Jonny Fritz/Sweet Creep
2016年 アメリカ
『ポヤポヤとした歌い口』

 アメリカの心の歌、カントリー。心の歌だけに毎月リリースされる新譜の量は凄まじく、且つお約束が詰まった内容になりがちです。ただ、今回購入したジョニー・フリッツの新譜は一味違いました。ポヤポヤとした歌い口とキーボードの洪水が溶け合った1曲目「Are You Thirsty」から予感をビシバシと感じたのです。

 ジョニー・フリッツ(本名:ジョナサン・ラッセル)はモンタナ州出身、2008年から音楽活動をしているカントリー系SSWです。これまでジョニー・コーンダックとして2枚のアルバムをリリース、フリッツに改名して1枚アルバムをリリース。今回はフリッツ名義でのセカンド・アルバムとなります。
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おもしろそうな人だなぁ。

 濃厚なカントリーというよりはアメリカン・ルーツのSSWという風情の音楽性で、アコギ弾き語りに、オルガンやキーボードとドラムが絡むバンド編成での録音がされています。

 哀愁と寂寥感を感じさせるメロディーが素晴らしい。加えて、ジョニー・フリッツのしがらみを感じさせない、伸び伸びとしていて気負っていない(つまりやっぱりポヤポヤとした、だ)歌が素晴らしい。70年代のSSWのような味わい豊かな音楽です。残響をうまく使ったキーボードの使い方もナイス。

 2014年には来日をしているジョニー・フリッツ。こんな素晴らしい歌手のライブを見られたなんて羨ましい。今回のアルバムでも来てくれないかなぁ。

I Love Leaving
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Margo Price/Midwest Farmer's Daughter

Margo Price/Midwest Farmer's Daughter
2016年 アメリカ
『農場を失った父の娘、カントリー・シンガーとしてデビュー』

 エレピとストリングスに彩られた爽やかなメロディー、
それを歌い上げる優しく大らかなヴォーカル。
そんな中、アコギの枯れた音色はしっかりとカントリーを主張しています。
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 マーゴ・プライスはアメリカ、イリノイ州のアレドという小さな町で生まれ育ちました。
1983年生まれとのこと。
高校時代におじさんの影響でエミルー・ハリスやドリー・パートンなどを知った彼女。
カントリーにどっぷりと漬かったことで音楽活動への興味が芽生えます。
彼女は具体的な行動として学校を中退、
音楽に詳しいおじさんが居る(そしてもちろんカントリーの聖地である)テネシー州ナッシュビルへの移住を実行。
実は彼女のおじさんはカントリー界で有名なソングライター、
ボビー・フィッチャー(ジョージ・ジョーンズやエディ・アーノルドなどに楽曲を提供)だったのです。
ナッシュビルでは、作曲の作法を習いながら小学生のダンス教師をして日々を暮らすことに。
音楽活動を開始してまもなくの2000年代前半頃、
彼女が参加していたバッファロー・クローバーというバンドで夫となるベーシスト、
ジェレミー・アイヴィーと出会うことになります。
そのグループを母体として地道な音楽活動を続けていた彼女。
尚、デビューまでの間に
①父が代々続いていた農場を失う、②彼女自身が不倫を経験し、子供を失う
③アルバムを制作する為に結婚指輪と車を質に入れる、などのエピソードを挟んでいます。
その甲斐あって、サードマン・レコードとの契約を獲得。
御年34歳にして遂にデビューすることになりました。おめでとう!

 サードマン・レコードは、ホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトが主宰するレーベル。
ジャック・ホワイトはカントリーの伝説的なシンガー、
ロレッタ・リンを復活させた立役者として知られる、カントリー・マニア。
それだけに、マーゴ・プライスにとっては願ってもないレーベルと言えましょう。
ちなみにタイトルの『Midwest Farmer's Daughter』も
ロレッタ・リンのアルバム『Coal Miner's Daughter』にあやかったもの。

 音楽性は初めにも書いた通り、渋さはほどほどにカントリー要素の強いポップス。
エミルー・ハリスからの影響も十分感じられる、上品で親しみやすいメロディーと、
可憐さと力強さを兼ね備えた歌声が魅力的です。
カントリー系のみならず、
ビートルズの「I Saw Her Standing There」を彷彿とさせるロックンロール曲もあり。
飽きさせません。

「Hurtin'」
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Chatham County Line/Tightrope

Chatham County Line/Tightrope
2014年5月 アメリカ
『キーボードが隠し味、ロック要素強めの
新世代(おっさん)ブルーグラス・ミュージック』


 アメリカ南部にてスコットランド移民が広めた伝承歌が発展して生まれた音楽、ブルーグラス。
フィドル、マンドリン、ギターなどによって紡がれる、その音楽は、
フォーク、カントリーと同様に温かみのあるものです。
本日はそんな伝統音楽をやっている若手グループ
(といいつつ、完全におっさんですが)の新作をご紹介。

 チャタム・カントリー・ラインは、4人組グループ。
前身グループ、スティルハウスのメンバーが中心になって1999年に誕生しました。
出身はノースカロライナ州ローリー。今まで6枚のアルバムを発表しており本作は7枚目。
カントリー・チャートで最高3位を記録したそうです。そろそろベテラン・グループですね。
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※注:アメリカのグループです。

 メンバー構成はヴォーカル&ギター、バンジョー、
ベース兼ペダル・スティール兼キーボード担当、フィドル兼マンドリン担当という布陣。
特に哀愁味を加えるペダル・スティールと、
時にジャジーなフレーズで楽曲に鮮やかさを加えるキーボードがサウンドの要となっています。

 彼らの楽曲はブルーグラスの伝統を受け継ぎつつもロックに接近した、
親しみやすさを持っています。
和気あいあいとした雰囲気や哀愁味はそのままに、
ポップな味付けがされており、渋みは控えめ。
ブルーグラス初心者にもおすすめできるグループです。
それもこれも、ほとんどの曲を単独で書き上げている、リーダー(でありギター&
ヴォーカルを担当している)デイヴ・ウィルソンの作曲能力の高さがあればこそ。
例えるなら、ビートルズの「I Saw Her Standing There
を海沿いのバンドらしく大らかにやっている感じ。(これはタイトル曲でそう感じました。)

 髭面メンバー二人を含む、おっさんグループなので
ビジュアル的に日本で受ける要素はゼロ。
せめてアコースティック音楽の新譜を多めに紹介している
当ブログの常連の皆さんには一度聴いてもらいたい、そんないい音楽です。

「Any Port in a Storm」
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RONNIE MILSAP/Summer Number Seventeen

RONNIE MILSAP/Summer Number Seventeen
2014年3月 アメリカ
『週末はR&Bスタンダードでまったりと』

 アメリカで今も絶大な人気を誇るカントリー・ミュージック。
洋楽新譜でも結構な割合を占めるのですが、
似たようなものも多く(そこがいいのですが!)

あまり琴線に触れるものがありませんでした。

 そんな中で耳に止まったのが本作。
盲目のカントリー・シンガー、ロニー・ミルサップによるポップス、R&Bのスタンダード・カヴァー集です。
ロニー・ミルサップは70年代から活躍するピアノ弾き語りのシンガーソングライター。
カントリーのみならず、ブルース、ポップスのシーンとも交流を図る懐の深さを持っています。
本作は彼が影響を受けたという有名曲を収録していますが、
自身のピアノを軸に、ブラス・セクションとコーラス隊、ストリングスによる
ジャジー且つゴージャスなアレンジを施しており、親しみやすい仕上がり。
太く包容力を感じさせる歌声は、エルトン・ジョンにも通じるジェントリーな味わいがあります。
貫禄を感じさせる豊かな声量はさすがです。
また、彼の軽妙なピアノが随所で効いており、パブ・ミュージックのような気安さがあるのもポイント。

 収録曲は前述の通り、アシュフォード-シンプソン、レイ・チャールズ、
スタイリックス、ルロイド・プライスなどによる有名曲を中心に構成。
そのほか、自身の代表曲「Lost In TheFifties Tonight」や新曲「Make Up」も収録。

 ゲストとして若手女性カントリー・シンガー、マンディ・バーネットが2曲でデュエットしています。
清廉とした歌声はロニーとの相性も抜群。

気取らずに、しかしながらしっかりと大人の渋みが堪能出来る一枚。
収録時間も46分とちょうどいい感じです。
2014年の最新音楽にも色々ある、と改めて思い知りました。

「I Can't Help It (If I'm Still in Love with You)」オリジナルはこちら
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