The Preatures/ Girlhood

The Preatures/ Girlhood
2017年 オーストラリア
『初期ブロンディみたいなカッコよさ』

 オーストラリア、シドニーを拠点に活動するロック・バンドのセカンド・アルバム。女性ヴォーカルをフロントに、4人の野郎ロッカーがバックを固める布陣はまるでブロンディ。だったのですが、どうやら2017年に入ってメンバーが一人脱退してしまった模様。つまり現在はショッキング・ブルー的な4人編成です。サウンドはパンキッシュなロックンロールをやっており、やはりブロンディを彷彿とさせてくれるのがうれしいです。
the-preatures-girlhood.jpg

 タイトルとなっているガールフッドは少女時代という意味。前述した通り、パンキッシュなロックンロールがベースですが、女性ヴォーカルに少しエコーが掛かっており、少しノスタルジーな雰囲気を生み出しているのが特徴。結構なおじさんである自分が聴くと「80年代だな」という感想をついつい抱いてしまうアレンジです。緩急の付け方がうまい楽曲群、少し巻き舌の姉御ヴォーカル、タイトなバンド・サウンドが素晴らしい。英米と同じロックンロールながら素朴さを感じさせるのは、イージービーツやAC/DC、ビージーズ等を生んだオーストラリアならではの人懐っこさが出ていて素敵です。

難を言えば、2~3分台のビシッと締まったロック・ナンバーが魅力的な一方で、2曲目3曲目で5分台を続けてしまった構成は(コンセプトの趣旨は分かりやすいのですが)ちょっと失敗だったかもしれません。

1503627126579.jpg
かっこいいな。

The Preatures – Girlhood
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ オーストラリアロック

Python Lee Jackson/In A Broken Dream

Python Lee Jackson/In A Broken Dream
1972年 オーストラリア
『ロッド・スチュワートが3曲で参加』

 フェイセス加入前のロッド・スチュワートが3曲で参加、という文言がインパクトを放つ!高校生の頃、ラジオ番組パワー・ロック・トゥデイでこのアルバムを知り、大学生の頃、西新宿の中古レコード店で発見して購入。(プレミアは付いていませんでした)そして2016年、遂にCD化されました。
Python_Lee_Jackson_-_In_A_Broken_Dream.jpg

 以下、ヴィヴィッドの解説を参考にして簡単なプロフィールをどうぞ。1965年にオーストラリア、シドニーで結成された4人組グループ、パイソン・リー・ジャクソン。当初はオーストラリアで活動していましたが、メンバーの半分がイギリスだったこともあり、1968年にはイギリスへと活動拠点を移すことになります。ロッド参加の経緯は、ヴォーカルを務めるベントリー自身が、既にソウル系ヴォーカリストとして実力が知られていたロッドに3曲歌ってもらうように頼んだとのこと。そちらはシングルとしてリリースされたものの、バンドは程なく分裂状態へ移行。ヤング・ブラッド・レーベルのミキ・ダロンが中心となって、メンバーを集結させて録音した音源を合わせて発表したのが本ファースト・アルバムです。

 オーストラリア時代にはサム&デイヴやカーティス・メイフィールドのカバーをシングルとしてリリースしていたパイソン・リー・ジャクソン。本作での音楽性もソウル度が高いです。ベントリーの書く曲はソウルフルでブルージー。泥臭く暑苦しいナンバーが並んでいます。ロッドの他、ゲイリー・ボイルも参加しており、オーストラリアのグループですが、イギリス主導のアルバムと考えて問題ありません。ロッド参加曲は文句なしにカッコよく、ショットガン・エクスプレス(←これ、インスト曲でした)でのパフォーマンスを彷彿とさせます。一方でそれ以外、グループ主導の音源はどうしてもインパクトで数段落ちるのが正直な所。悪くはないソウル要素を含むブルース・ロックではあります。エクスペリエンスの「Hey Joe」みたいな曲もあったりするのはご愛嬌。アルバムとしてのまとまりに欠けるものの、ロッド・スチュワートが好きであれば、一度は聴いておくべき一枚です。

Doing Fine
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ オーストラリアロック

Sarah McKenzie/Paris In The Rain

 まだ2016年のアルバムで紹介できていないものもあるのですが(しかもすごくいいもの)、今日から2017年の新譜紹介を始めたいと思います。
尚、2016年の総括記事は2月末に更新予定です。

Sarah McKenzie/Paris In The Rain
2017年 オーストラリア 
『上品でゆったりとした時間が流れる雨の日のジャズ』

 軽やかなピアノとヴォーカル。上品でゆったりとした時間が流れる雨の日のジャズ。しとしと雨の中の室内楽といった趣です。ただ、最近の日本の雨は容赦が無い時が多いですね。

 オーストラリア、メルボルン育ちのジャズ・ヴォーカリスト、サラ・マッケンジー。アメリカにあるバークレー音楽大学を卒業後、ジャズ・フェスティバル等で経験を積み、2010年にデビュー。2015年には世界進出を果たしており、本作は4枚目のアルバムとなります。
100_UPC00602557282450.jpg

 本作はニューヨークで録音されています。プロデュースはノラ・ジョーンズの作品でも知られるブライアン・バッカスが担当。主なセッション・メンバーは以下の通りです。
Ingrid Jensen(トランペット)
Warren Wolf(ヴィブラフォン)
Hugh Stuckey(ギタリスト)
Alex Boneham(ベーシスト)
Marco Valeri(ドラマー)

 ヘンリー・マンシーニ、ガーシュイン、デューク・エリントン、ジェローム・カーン、コール・ポーター、ケニー・ランキン、アントニオ・カルロス・ジョビンといった作曲家のスタンダードと、自作3曲を織り交ぜた構成。
Sarah-McKenzie.jpg

 オーストラリアからアメリカ、アメリカからヨーロッパ、という彼女が経験した旅を歌集として表現しています。女性のジャズ・ヴォーカル、雨の日のジャズ、といったイメージ通りのしっとりとした雰囲気が楽しめるアルバムです。

Paris In The Rain
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ オーストラリアアメリカジャズ

King Gizzard & The Lizard Wizard/Paper Mâché Dream Balloon

King Gizzard & The Lizard Wizard/Paper Mâché Dream Balloon
2015年11月 オーストラリア
『あのウォンブルズをオマージュ』

 イギリスの子供向け番組『ウォンブルズ』。
その音楽はポップ職人マイク・バットが携わっています。
片腕としてカメレオン・ギタリスト、クリス・スペディングもいました。
その内容はビートルズやビーチ・ボーイズの影響を子供向けの歌へと変貌させたメルヘンチックで牧歌的なもの。
参考楽曲→「The Wombling Song 」
ブリティッシュ・ロック・マニアたるもの、イギリスのポンキッキである『ウォンブルズ』もチェックするべし。
なのであります。
はて、何でこの書き出しなのだ。・・・・・・そうそう。

これがウォンブルズのファースト。
Wombles-Wombling-Songs.jpg

そしてこれがキング・ギザード&ザ・リザード・ウィザードの新作。
Paper-Mache-art-LO-RES.jpg

あれ?結構違うな・・・・・・
まぁとにかく

間違いなく「ウォンブルズ・ラブ」。
(ふっふっふっ、1分聴いただけでウォンブルズだと分かってしまったよ!)

 キング・ギザード&ザ・リザード・ウィザードはオーストラリア、メルボルン出身。
7人編成。ギター3人、ドラム2人、ハーモニカ1人、ベースという内訳です。
2010年に結成されて以来矢継ぎ早にアルバムをリリース。
既に本作で8枚目という多作振り。
前作までは未聴ですが、サイケ・ガレージをベースとして変貌してきたようです。

 そして本作は既に述べたように
ウォンブルズをお手本としたポップ・ミュージックが展開されています。
優しいささやき声と、のほほんとした笛の音。
奏でるメルヘンチックなメロディーは最高。極上のサイケ・ポップです。
ウォンブルズの皮を被りつつも、
やたらアグレッシヴなドラムと、カッチリ決められたバンド・アンサンブルが
完全に大人向けであることもポイント。

 尚、彼らは新作をレコードで毎回リリースしているのですが、
プレス枚数が僅かであるため、瞬く間に売り切れてしまうようです。
本作も軒並み売り切れの模様。
もちろん、ダウンロードでも入手可。

「Paper Mâché Dream Balloon」
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ オーストラリアポップス

Sarah Blasko/Eternal Return

Sarah Blasko/Eternal Return
2015年11月 オーストラリア
『アンニュイなシンディ・ローパーってどういうことだ?』

 シンセサイザーが飛翔するサウンドはゴシックな雰囲気で包まれています。
サラのクールなヴォーカルがミステリアスな魅力を放ち、とても耽美的。
正しく気分はニュー・ウェイヴ。

 サラ・ブラスコはオーストラリア、シドニー生まれの39歳。
1990年代半ばよりシドニーを拠点にするバンド、アクエス(acquiesce)のメンバーとして音楽活動を開始。
(このグループがどんなサウンド指向だったのかは不明)
2001年にグループを離れるとデュオとしての活動を挟み、2004年からSSWとして活動を開始します。
本作は5枚目のアルバム。
尚、彼女はSSWとしての活動の他、プロデューサーとしても活動しています。
blasko-sarah.jpg


 音楽性は先にも書いたように、ニュー・ウェイヴの影響を多く受けたシンセ・ポップ。
幻想的なサウンドはケイト・ブッシュを彷彿とさせるエキセントリックな面を持っています。
しかしより近いイメージとしては女版ブロンスキ・ビートといったところ。
どこまでもクールで透明なファルセット・ヴォイス。
酩酊状態で聴いてみたい、と思わせるゆらゆらとしたダンスビート。
この辺りが魅力の肝となっています。

 シンセサイザーをとことん強調した音作りになっているため、
歌とシンセと残響だけで構成されている曲も多いです。
ドラムもいますが総じて機械的(ほぼマシーンの如き無機質さ)。
ムーディーなバラードも素晴らしいですが、
スペーシーなアップテンポで彼女の独自性が発揮されていると感じました。
アンニュイなシンディ・ローパーとでも形容してみたくなる、うらぶれた可愛さがあり。

「Only One」
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ オーストラリアポップス