Python Lee Jackson/In A Broken Dream

Python Lee Jackson/In A Broken Dream
1972年 オーストラリア
『ロッド・スチュワートが3曲で参加』

 フェイセス加入前のロッド・スチュワートが3曲で参加、という文言がインパクトを放つ!高校生の頃、ラジオ番組パワー・ロック・トゥデイでこのアルバムを知り、大学生の頃、西新宿の中古レコード店で発見して購入。(プレミアは付いていませんでした)そして2016年、遂にCD化されました。
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 以下、ヴィヴィッドの解説を参考にして簡単なプロフィールをどうぞ。1965年にオーストラリア、シドニーで結成された4人組グループ、パイソン・リー・ジャクソン。当初はオーストラリアで活動していましたが、メンバーの半分がイギリスだったこともあり、1968年にはイギリスへと活動拠点を移すことになります。ロッド参加の経緯は、ヴォーカルを務めるベントリー自身が、既にソウル系ヴォーカリストとして実力が知られていたロッドに3曲歌ってもらうように頼んだとのこと。そちらはシングルとしてリリースされたものの、バンドは程なく分裂状態へ移行。ヤング・ブラッド・レーベルのミキ・ダロンが中心となって、メンバーを集結させて録音した音源を合わせて発表したのが本ファースト・アルバムです。

 オーストラリア時代にはサム&デイヴやカーティス・メイフィールドのカバーをシングルとしてリリースしていたパイソン・リー・ジャクソン。本作での音楽性もソウル度が高いです。ベントリーの書く曲はソウルフルでブルージー。泥臭く暑苦しいナンバーが並んでいます。ロッドの他、ゲイリー・ボイルも参加しており、オーストラリアのグループですが、イギリス主導のアルバムと考えて問題ありません。ロッド参加曲は文句なしにカッコよく、ショットガン・エクスプレス(←これ、インスト曲でした)でのパフォーマンスを彷彿とさせます。一方でそれ以外、グループ主導の音源はどうしてもインパクトで数段落ちるのが正直な所。悪くはないソウル要素を含むブルース・ロックではあります。エクスペリエンスの「Hey Joe」みたいな曲もあったりするのはご愛嬌。アルバムとしてのまとまりに欠けるものの、ロッド・スチュワートが好きであれば、一度は聴いておくべき一枚です。

Doing Fine
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Sarah McKenzie/Paris In The Rain

 まだ2016年のアルバムで紹介できていないものもあるのですが(しかもすごくいいもの)、今日から2017年の新譜紹介を始めたいと思います。
尚、2016年の総括記事は2月末に更新予定です。

Sarah McKenzie/Paris In The Rain
2017年 オーストラリア 
『上品でゆったりとした時間が流れる雨の日のジャズ』

 軽やかなピアノとヴォーカル。上品でゆったりとした時間が流れる雨の日のジャズ。しとしと雨の中の室内楽といった趣です。ただ、最近の日本の雨は容赦が無い時が多いですね。

 オーストラリア、メルボルン育ちのジャズ・ヴォーカリスト、サラ・マッケンジー。アメリカにあるバークレー音楽大学を卒業後、ジャズ・フェスティバル等で経験を積み、2010年にデビュー。2015年には世界進出を果たしており、本作は4枚目のアルバムとなります。
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 本作はニューヨークで録音されています。プロデュースはノラ・ジョーンズの作品でも知られるブライアン・バッカスが担当。主なセッション・メンバーは以下の通りです。
Ingrid Jensen(トランペット)
Warren Wolf(ヴィブラフォン)
Hugh Stuckey(ギタリスト)
Alex Boneham(ベーシスト)
Marco Valeri(ドラマー)

 ヘンリー・マンシーニ、ガーシュイン、デューク・エリントン、ジェローム・カーン、コール・ポーター、ケニー・ランキン、アントニオ・カルロス・ジョビンといった作曲家のスタンダードと、自作3曲を織り交ぜた構成。
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 オーストラリアからアメリカ、アメリカからヨーロッパ、という彼女が経験した旅を歌集として表現しています。女性のジャズ・ヴォーカル、雨の日のジャズ、といったイメージ通りのしっとりとした雰囲気が楽しめるアルバムです。

Paris In The Rain
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King Gizzard & The Lizard Wizard/Paper Mâché Dream Balloon

King Gizzard & The Lizard Wizard/Paper Mâché Dream Balloon
2015年11月 オーストラリア
『あのウォンブルズをオマージュ』

 イギリスの子供向け番組『ウォンブルズ』。
その音楽はポップ職人マイク・バットが携わっています。
片腕としてカメレオン・ギタリスト、クリス・スペディングもいました。
その内容はビートルズやビーチ・ボーイズの影響を子供向けの歌へと変貌させたメルヘンチックで牧歌的なもの。
参考楽曲→「The Wombling Song 」
ブリティッシュ・ロック・マニアたるもの、イギリスのポンキッキである『ウォンブルズ』もチェックするべし。
なのであります。
はて、何でこの書き出しなのだ。・・・・・・そうそう。

これがウォンブルズのファースト。
Wombles-Wombling-Songs.jpg

そしてこれがキング・ギザード&ザ・リザード・ウィザードの新作。
Paper-Mache-art-LO-RES.jpg

あれ?結構違うな・・・・・・
まぁとにかく

間違いなく「ウォンブルズ・ラブ」。
(ふっふっふっ、1分聴いただけでウォンブルズだと分かってしまったよ!)

 キング・ギザード&ザ・リザード・ウィザードはオーストラリア、メルボルン出身。
7人編成。ギター3人、ドラム2人、ハーモニカ1人、ベースという内訳です。
2010年に結成されて以来矢継ぎ早にアルバムをリリース。
既に本作で8枚目という多作振り。
前作までは未聴ですが、サイケ・ガレージをベースとして変貌してきたようです。

 そして本作は既に述べたように
ウォンブルズをお手本としたポップ・ミュージックが展開されています。
優しいささやき声と、のほほんとした笛の音。
奏でるメルヘンチックなメロディーは最高。極上のサイケ・ポップです。
ウォンブルズの皮を被りつつも、
やたらアグレッシヴなドラムと、カッチリ決められたバンド・アンサンブルが
完全に大人向けであることもポイント。

 尚、彼らは新作をレコードで毎回リリースしているのですが、
プレス枚数が僅かであるため、瞬く間に売り切れてしまうようです。
本作も軒並み売り切れの模様。
もちろん、ダウンロードでも入手可。

「Paper Mâché Dream Balloon」
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Sarah Blasko/Eternal Return

Sarah Blasko/Eternal Return
2015年11月 オーストラリア
『アンニュイなシンディ・ローパーってどういうことだ?』

 シンセサイザーが飛翔するサウンドはゴシックな雰囲気で包まれています。
サラのクールなヴォーカルがミステリアスな魅力を放ち、とても耽美的。
正しく気分はニュー・ウェイヴ。

 サラ・ブラスコはオーストラリア、シドニー生まれの39歳。
1990年代半ばよりシドニーを拠点にするバンド、アクエス(acquiesce)のメンバーとして音楽活動を開始。
(このグループがどんなサウンド指向だったのかは不明)
2001年にグループを離れるとデュオとしての活動を挟み、2004年からSSWとして活動を開始します。
本作は5枚目のアルバム。
尚、彼女はSSWとしての活動の他、プロデューサーとしても活動しています。
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 音楽性は先にも書いたように、ニュー・ウェイヴの影響を多く受けたシンセ・ポップ。
幻想的なサウンドはケイト・ブッシュを彷彿とさせるエキセントリックな面を持っています。
しかしより近いイメージとしては女版ブロンスキ・ビートといったところ。
どこまでもクールで透明なファルセット・ヴォイス。
酩酊状態で聴いてみたい、と思わせるゆらゆらとしたダンスビート。
この辺りが魅力の肝となっています。

 シンセサイザーをとことん強調した音作りになっているため、
歌とシンセと残響だけで構成されている曲も多いです。
ドラムもいますが総じて機械的(ほぼマシーンの如き無機質さ)。
ムーディーなバラードも素晴らしいですが、
スペーシーなアップテンポで彼女の独自性が発揮されていると感じました。
アンニュイなシンディ・ローパーとでも形容してみたくなる、うらぶれた可愛さがあり。

「Only One」
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Thirsty Merc /Shifting Gears

Thirsty Merc /Shifting Gears
2015年9月 オーストラリア
『隠し味はクィーン、のメロハー』

 爽快、豪快、ドラマティック。
美しいメロディーに彩られたサウンドに、安心して心を委ねる。
それがメロディック・ハード・ロックの魅力です。
確かにダサイ。
確かに没個性。
でも心地よいのだからいいじゃないか。
日本では一部のファンにしか愛好されていない、不遇ジャンルのメロディック・ハード。
今回はオーストラリアから届けられた、とびきりのやつをご紹介。

 サースティ・マークはオーストラリアで2002年から活動するロック・バンド。
当初は4人組であった彼らですが、現在はトリオ編成。
10年以上活動しているものの日本ではほとんど知られておらず。
僕も今回のアルバムで初めて知りました。
しかしながらリリースされたアルバム3枚は全て評判が高く、
youtube動画も30万回以上アクセスされている曲がいくつかありました。
ちなみに彼らは近年、OKAMOTO’Sをツアーに招聘したことで日本でも話題となりました。
今回のアルバムは5年という長い間隔を空けての4作目となります。
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 まずパフォーマンスについて。
爽やかで誠実さを感じさせる(←主観)歌声のヴォーカルが、
まさにメロハーど真ん中という感じで素晴らしい。
特に掠れる裏声がナイス。コーラスはほとんど用いていません。
録音はキーボードや二本目のギターが入るなど、分厚いサウンド作りがされていて、
トリオ編成だという事実を忘れさせます。
隙間をたっぷりと空けたダイナミックな演奏が特徴で、
大陸的な大らかさはやっぱりメロハーど真ん中。
オーストラリアという土地柄なのかもしれません。
また、アコースティック楽器を効果的に用いて枯れた味わいを演出するのが巧いのも特徴で、
バラードでの雰囲気作りが素晴らしいです。
他には、ギターに関して硬質でインダストリアルだと感じました。

 楽曲については最初に戻ってしまいますが、
当たり前に素晴らしいメロハーとしか言えない、普遍的なものが並んでいます。
強いてあげればシアトリカルな趣味が時々顔を出し、
一部にコミカルなクィーンぽい曲があるのがポイントでしょうか。
ダイナミズムを強調した大らかなロック・チューンと、
ドラマ性が前面に出たシアトリカル・ナンバーでは表情が大分異なり、一粒で二度おいしいと言えます。

 これはメロハー好きには推さずにはいられないナイス・アルバムでした。輸入盤が流通しています。

『The Good Life』
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