Ntjam Rosie/Breaking Cycles

Ntjam Rosie/Breaking Cycles
2017年 オランダ
『都会派ソウルの奥の方に潜む高揚』

 これでネジャム・ロズィエと読むのですね。カメルーン生まれ、オランダのマーストリヒトで育った女性SSW。2008年にデビューして以来、コンスタントにアルバムをリリースしており、本作で5枚目。尚、オーガニックなジャジー・ソウルとして、日本でも何枚かのアルバムがリリースされています。
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 柔和で囁くような女性コーラスや、浮遊感あるキーボードが紡ぐメロディーは、呼吸の様に穏やかに満ち引きを繰り返しており、なるほどオーガニックと例えられるのも納得。一部の楽曲では部族音楽のような掛け合いもあり。リンダ・ルイスのような爽快さを持つ歌声も魅力的です。リズムは粘っこくグルーヴィ、ブラスも入っていてジャジー。近年の流行であるエレクトロ・ソウルの流れを汲みつつも、野性味を個性として加えているのがポイントです。デジタルの制御が加わっているので熱量はそれほど伝わってきませんが、おおらかさは十分。日本盤のリリースが止まってしまったことでチェックが漏れている方にはおすすめしたい出来。楽しめました。

Take a good look at me
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Paceshifters/Live from GieSound Studio

Paceshifters/Live from GieSound Studio
2018年 オランダ
『哀愁オルタナティヴ』

 久しぶりに王道のオルタナティヴ・ロックを購入。

 オランダにある、オルスト=ウェイヘという広域自治体(大きな県みたいなもの)を拠点に活動しているペースシフターズ。詳細なプロフィールが無かったので、結成時期については不明。トリオ編成です。ファースト・アルバムが2010年にリリースされているので、その辺りに結成されたものと思われます。ニルヴァーナへのリスペクトを表明しており、グランジ・ムーヴメントで変化して来たオルタナティヴ・ロックの回帰をテーマとした音楽性が特徴です。
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 ともすれば埋もれがちになってしまうヴォーカルは、声量面では少し不足しているかも。しかしながらガンズのアクセルのような爬虫類っぽい巻き舌を得意としており、シャウトなども様になっています。トリオ編成ながら轟音のアンサンブルは凄まじく、グルーヴ、疾走感、埃っぽさ、全て申し分なし。ニルヴァーナからの影響は多大で、ヘヴィーリフと美しいメロディーの調和が取れている楽曲群は素晴らしい。もちろんニルヴァーナそのままということはなく、暴力性では劣るものの哀愁味があるのがオランダらしいところ。スタジオ・ライブ作ということですが、臨場感のある迫力のパフォーマンスを楽しむことが出来ました。

Paceshifters - Yearning Desire (Live from GieSound Studios)
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Tricklebolt/ Tricklebolt

Tricklebolt/ Tricklebolt
2018年 オランダ
『僕も、おしくらまんじゅうの中に入りたいものだ』

 いわゆる、ヴィンテージ・ハード・ロックと呼ばれる70年代ハード・ロックを追求するグループ、Trickleboltをご紹介します。ヴィンテージ・ハード・ロックのムーヴメントについては、初期には大喜びで反応していたものの、徐々にどれもこれも金太郎飴の如くワンパターンだったため、飽きてしまっていました。それでもこうやって時々紹介するのは、「これはちょっと違うぞ」と思える音に出会えた場合なのですが、根本として好きだからなのでしょう。
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 さて内容について。本作はデビュー・アルバム。Trickleboltは5人編成で、オルガン奏者がおります。ディープ・パープルとブラック・サバスを混ぜたような音楽性を持っています。パープル7:サバス2:ツェッペリン1くらいでしょうか。実はヴィンテージ・ハード・ロックでオルガンと来れば、だいたいブラック・サバスっぽいことをやりたがるのが21世紀の若者事情。ですので、ジョン・ロード風にギュインギュインとドライヴ感のあるソロ・フレーズを聴いて、胸が熱くなりました。ギターはリッチーのようにクラシックの素養が無く、加えてヴォーカルも地味目ですが、バンド・アンサンブルはキレが良く、グルーヴィ。サバスっぽいオカルトチックなギターリフもあり。
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High Trees

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Lucas Hamming/Luck Is For Suckers

Lucas Hamming/Luck Is For Suckers
2017年 オランダ
『ソリッドで現代的なダンス・ロック』

 エネルギッシュにしてダンサフル。アークティック・モンキーズ等に影響を受けたと思しき、ソリッドで現代的なダンス・ロックをやっています。完全にロック・バンドの装いでありながら、名義はソロのシンガーソングライターという不思議さ。

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印象的なジャケです。色使いがオランダっぽいですね。

 1993年11月生まれ。ストックホルムを拠点に活動するSSW、ルーカス・ハミング。ジェフ・バックレイ、レディオヘッド、ポール・ウェラー、アークティック・モンキーズ、ティム・クリステン等の音楽に夢中になり、2009年ごろより音楽活動を開始。テレビでの作曲家オーディション番組にてディレクターを務めていた経験もあり。その後、楽曲を発表するとラジオ局3FMのバックアップを受ける形で、支持を拡大。現在まで3枚のアルバムを発表しており、本作が4枚目となります。名義はソロですが、固定のバンドを率いており、編成は以下の通りです。

Lucas Hamming (Vocals/Guitar)
Kas Lambers (Guitar/Vocals)
Stijn van Rijsbergen (Drums/Vocals)
Thomas Veenstra (Bass/Vocals)
Jelte de Vries (Keys/Guitar/Vocals)
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 躍動感があり、キラキラとしたキーボード、ギター・サウンドが特徴です。彼が影響を受けた00年代のロック・サウンドの雰囲気があり。力強く発声のはっきりしたヴォーカルはロック・バンドにふさわしい存在感を示しており、フロントマンとして最高のものです。うねりを持って、時にクールダウンさせる曲展開も素晴らしい。作曲家としても一級です。

Be Good Or Be Gone
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Amber Gomaa/Moonchild

Amber Gomaa/Moonchild
2017年 オランダ
『アフリカ、ディスコ、プリンス、マイケルが詰まっています。』

 スペーシーでシアトリカル。シンセとギターが生み出す宇宙を縦横無尽にヴォーカリーズが飛び交う。更に中近東、中華など入り乱れる民族音楽色による雑多なイメージがエネルギッシュに音楽を彩っています。

 オランダ、アムステルダムを拠点に活動する女性SSW、アンバー・ゴマー。オランダ人とエジプト人のハーフです。2015年よりネットを通じて音楽活動を開始しており、本作は恐らくセカンド・アルバムとなります。彼女のフェイスブックによると、影響を受けた音楽として80年代音楽を挙げており、特にプリンスへのリスペクトが大きかったとのこと。またポール・サイモンの1986年作『グレイスランド』からインスピレーションを得たとも記述されています。『グレイスランド』はポール・サイモンの代表作にして問題作。南アフリカのミュージシャン達との共演により、アフリカン・ミュージックを大胆に導入した素晴らしい音楽です。
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 そして出来上がったアルバムがこちら。プリンス、マドンナ、アフリカ音楽、ドナ・サマーなどの要素が混ざり合い、濃厚な音楽が完成しました。デジタル・ビートとシンセを中心としたアンサンブルはすっきりしており、吐息がセクシーな透き通ったヴォーカルと相性抜群。メンバーにコーラス二人を加えており、前述した通り広い空間を感じさせるヴォーカリーズを実現させています。遊園地のような煌びやかな音楽なのですが、リズムがどっしりとしており整合性は取れています。

Who's Loving You
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