Lal And The People/Bad Case Of Blues

Lal And The People/Bad Case Of Blues
2016年 インド
『インドからやってきたブルース・ギタリストはゲイリー・ムーアが大好き』

 溜めに溜めたブルース・ギターが渋いことこの上なし。声域は狭いが感情を露わにしたヴォーカルも渋い。ゲイリー・ムーア以来の泣きのブルース・ギタリストではないのか。

 素晴らしいギタリストの名前はローヒット・ラルワニ。インドのボーパル地方出身。幼少の頃より(以下フェイスブックより抜粋)Albert King, Gary Moore, Albert Collins, T- Bone Walker, Stevie Ray Vaughan, Soulmate, Eric Johnson and many more.といったギタリストの音楽を聴き漁っていました。2014年、自身のバンドを結成。オルガン入りの4人編成でラル&ザ・ピープルという名義でEPを制作。それが本作となります。
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 さすがに2番目にゲイリー・ムーアの名前が来るだけに、こってりしたブルース・ハード・ロックが展開されています。ここでは枯れる前の80年代ゲイリー・ムーアをイメージして頂きたいです。早くもスターの貫録十分。ラルばかりが目立っているのは確かですが、バンドの演奏も素晴らしい。隙間を多めにとってルーズなインプロヴィゼーションを展開しており、ジャジーな瞬間もあります。特にキーボードの弾き分け加減が絶妙。

 欠点はデビューEPということで4曲しかないこと。通常、このボリュームの作品はスルーしているのですが、今回は例外的に紹介しております。是非、私と一緒にフルアルバムを渇望してみませんか?

Out Of The Blue
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S.BALACHANDER/MUSIC OF THE VEENA I

S.BALACHANDER/MUSIC OF THE VEENA I
1974年 インド
『延々と呻くヴィーナの音色にうつらうつら』

 コツコツと集めているワールド音楽の音源集。
今回は南インド音楽のラーガ・マラハリをチョイスしました。
ブリティッシュ・ロックではラーガを取り入れたアレンジが多く使われているので、
やはり一度は腰を据えて聴いておかなければなりません。

 本作は南インドに伝わるヒンズー教の瞑想音楽、
ラーガ・マラハリを扱ったアルバム。
演奏しているのはバーラチャンダー。
元々、南インドの音楽では声楽が主役となり、
代表的な古典楽器であるヴィーナも脇役に過ぎなかったそうです。
しかしその流れに逆らい、
技巧を磨きヴィーナの持つ魅力を生かした幻想的な音楽を生み出したのがバーラチャンダー。
伝統を守りながら、進化させた偉人です。
彼は親日家でもあり、1989年に亡くなるまで、いくつかの録音を日本で残しています。
本作もそんな一枚で青山のスタジオで録音されています。
Veena.png

 ヴィーナの音をきちんと聴くのはこれが初めてかもしれません。
やはりシタールと比べてしまいます。
北インドのシタールにはミステリアスな味わいがありましたが、ヴィーナはずっと朴訥とした印象。
付属の解説にもありますが三味線を彷彿とさせる厳粛且つ慎ましやかな音で、
日本人には馴染みやすいかもしれません。

 バーラチャンダーの白熱したエモーショナルな演奏は素晴らしい。
一音一音ミョーンと伸びるヴィーナが延々と響き渡る硬派な内容。
序奏を含めた50分越えのインストゥルメンタルなだけに、気楽には聴けません。
心を開け放って音楽に身を委ねるのが良いのでしょう。

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MONKS OF THE GYUTO MONASTERY/SANGWA DEUPA BUDDHIST CHANT

MONKS OF THE GYUTO MONASTERY/SANGWA DEUPA BUDDHIST CHANT
1989年 インド
『おぉぉぉぉぉぉぉぉぉん』

 今月もやってきました、
JVCワールド・サウンズのシリーズをコツコツ、レビューするコーナーです。
(他にも色々出ているのですが初心者の自分はまだJVC以外チェック出来ておりません。)
今回はチベット密教、「聲明の教学」というタイトルが付いており、
難しい漢字(しょうみょうって読むんですね)を前にして、
IMEパッドを久々に使ってしまいました。
チベット密教といいつつ録音はインドですが、インドも本場みたいです。

 本CDはチベット密教の代表的な僧院、ギュートゥ・ゴンパの聲明を収めたものです。
解説ではとにかく「貴重な録音だ」ということが書いてあり、
更にチベット文化と密教の成り立ちなども記されていますが
ここでは長くなってしまうので割愛します。
それらをまとめると聲明とはチベット密教のお経のことであり、
この僧院では日常的に唱えられているもの、ということです。

 日本の仏教のお経にももちろん通じるものがありますが、
地を這うような低音の発声はチベット密教ならではのもの。
たった10人で構成されているとは思えない奥行きを持っています。
そこにダマル、ティブー(ベル)、
ブック・チェル(金属製打楽器)、tibet-cymbals.jpg
                ンガ tibet-nga-bom.jpg
             カン・トゥンtibet-kang-dung.jpg

トゥン・チェンrecord3.jpg


といった民族楽器が加わっており、

オリエンタル・ムードは満点です。
楽器動画が大好きなGAOHEWGIIですが、
今回は見つけることが出来ませんでした。
さすがチベット密教。

最初は得体のしれない不気味さで聴き手をしり込みさせますが、
やがて落ち着いた心持ちへと変化、やがてとてもリラックス出来るようになります。
大丈夫、怖くないよ!
(同居人はもれなくビビると思いますが)

Sangwa Düpa ...contracted / Tibetan Buddhism
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Prahlad Brahmachari/Songs Of The Bauls

Prahlad Brahmachari/Songs Of The Bauls
1979年 インド
『硬派な民謡も需要に合わせてよりエスニックに』

 朗々と響く詠唱、タブラとバンスリーによる幽玄なアンサンブル。
埃っぽく、暑さで空気が揺らめいているような、・・・・・・そんな異国の地にトリップ出来る音楽。
それがバウル・ソング。

 インド文化のメッカ、ベンガル地方で受け継がれている宗教音楽です。
バウル教は偶像崇拝を行わず、その分、歌によって神との交流を図るのが習わし。
そんな歌うたいはバウルの群と呼ばれ、托鉢坊のようなことをして生計をたてています。
様々な常軌を逸する戒律があるとされ、され・・・・・・まてよ。吾輩の友達にインドマスターが居たぞ!
に色々聞いてみよう!
・・・・・・
なるほど、ベンガル地方に一歩入ったらすぐバウルが聴こえているような、
そんな状況ではないみたいです。
戒律が厳しいため(子供は作らない方が良い、など)、純正バウルは減る一方ですが、
観光客の需要に応える、なんちゃってバウル(兼業とも言う)が増えているみたいですね。

 さて、本CDはバウルを代表する歌手プルナダースの弟子、
プララド・ブラマーチャリーのリーダー・アルバム。
彼の一座が東京の青山にあるスタジオにて録音したものです。
んー、現地録音でないのは痛い。(ロマン減点マイナス1)。

基本編成はエクタラ(弦楽器)、ドゥギ(太鼓)、グングル(鈴)なのですが、
このCDでは歌、タブラ(太鼓)、バンスリー(横笛)という編成。ちなみにグングルは皆手足に付けております。
またプララドの妻(女子アナ)、クムクムが一部曲で歌っているのもポイント。(マブいです。)

 詩の題材には民衆の暮らしを扱っており、
一部、わたしはマッドになれなかったなんていうのもありますが、
全体的にとても牧歌的でほのぼのとしています。
編成も通常のバウルより豪華なためか、華やかな箏曲に通じる空気感。
賞レース常連というツワモノばかりで構成されたメンバーだけに、流麗な演奏を楽しむことが出来ます。

 特に主役のプララドの詠唱は強力。脳みそを揺すられている感じがします。
本格的な夏はまだですが、この曲で暑い夏に異国情緒を味わうのも一興。

「Khapa Tui Na Jene. Baul Songs By Prahlad Brahmachary」
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