OPUS AVANTRA/INTROSPEZIONE

OPUS AVANTRA/INTROSPEZIONE
1974年 イタリア
『久しぶりに聴いても芸術的』

 イタリアン・ロックを代表する名盤の一つ。ただあまりにも芸術的な為、馴染めず手放してしまう。それでもジャケの美しさ、存在感に引き寄せられて再び購入。そんなことをどうやら繰り返して4回目。紙ジャケSHM-CDになったオパス・アヴァントラが再び我が家にやってきた。
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 「ある夜、僕はドネラ・デル・モナコに会った~(中略)この夢を見たのは4年、あるいは5年前のことだった。」で始まる本作のライナーはいつ読んでも凄い。へぇ、ドネラさんに会ってインタビューでもしたのかな・・・と思いきや夢でしたー!という流れはもちろん、夢の話から始めるという度胸。ドネラ・デル・モナコが夢に出てくるという愛情。山崎尚洋さんは凄い人だ。僕は大好きなジミー・ペイジの夢もピーター・ガブリエルの夢も見たことが無い。

 本作はヴォーカル、ドネラ・デル・モナコとキーボード、アルフレッド・ディソッコによるユニット、オパス・アヴァントラのファースト・アルバム。クラシック、現代音楽、演劇の要素を混ぜ合わせたプログレッシヴ・ロックをやっている。芝居がかったドネラ・デル・モナコのヴォーカルは表情が豊かで怖い。かきむしられるピアノやヴァイオリンも加わり、曲が進むにつれ狂乱の度合いは増していく。しかしながら、牧歌的で優雅なメロディーを持ったヴォーカル・ナンバーがひょっと挟まれたりして、こちらの気持ちをグラグラと揺さぶってくる。イタリアらしい過剰さがてんこ盛り、久しぶりに聴いても芸術的だった。もう手放さないと思う。思う?

Ah! Douleur
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I POOH/OPERA PRIMA

I POOH/OPERA PRIMA
1972年 イタリア
『元ビート・グループのラブ・デビュー』

 イ・プーも廉価盤化で再購入したものの一つ。今回はあまり聴いていなかったメジャー・デビュー作を取り上げます。

 1966年にビート・グループとして登場して以来、現在も活動している国民的グループ。日本ではプログレッシヴな音楽性を持った70年代の作品群が人気であり、本作はその最初の作品となります。
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彼らの特徴であるメンバー全員がヴォーカルを担当することと、オーケストラとの共演は本作から導入されています。とは言え、次作以降のドラマティックの粋を極めたアレンジと比べれば、まだ素朴さが残っています。イタリア特有のドタバタとしたドラムを始めとしたバンド演奏は鋭さがありますし、ヴォーカルは得意とするメンバー全員のリレー方式はまだ控えめで、ほとんどの曲がソロで歌われています。

 甘美なメロディーでしっとりと歌い上げるラブ・ソング。それを盛り上げる華麗なオーケストラ・アレンジ。久しぶりに聴きましたが、王道ラブ・ソング集という趣がありストレートな姿勢に好感が持てます。まぁ若干もたれる感じもしますが、たまにはこういうのもいいでしょう。

 さてyoutube動画の時間です。巷ではシングル・カットされた2曲「Pensiero」「Tanta Voglia Di Lei」が人気で、これは確かに素晴らしい曲たち。しかしここは敢えて他の曲にスポットを当ててみたいと思います。

Il Primo E L’ultimo Uomo
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OSANNA/Milano Calibro 9

OSANNA/Milano Calibro 9
1972年 イタリア
『極上の現実逃避』

 廉価盤化の波はプログレにまで押し寄せています。『Progressive Rock SHM-CD Collection』として、2015年に1300円で数々の名盤が再発されていました。ラインナップは何度も再発されているものばかりだったので、目新しさこそ無いものの高音質盤でのこの価格は、新規のファンにはうれしいはず。また自分の様に金欠の際、ついついプレミアがついた紙ジャケを売ってしまい、それっきりになっていた、あまりよろしくないファンにとってもありがたい。オザンナ、やっと買い戻せた。
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 レビューが山ほどあるオザンナの名作だけに、解説はサラッと書くだけにしておきます。70年代のイタリアを代表するグループの一つ、オザンナが72年に発表したセカンド・アルバム。同年に公開された映画『ミラノ・カリプロ9』のサントラとして、映画音楽家ルイス・エンリケス・バカロフと組んで制作されています。またオーケストラとの共演曲があることもポイント。禍々しいヘヴィネスが魅力の彼らの作品群の中では、異色のドラマティックさを持ったアルバムです。

 冒頭2曲はルイス・エンリケス・バカロフによる作・編曲がされたナンバー。オーケストラとの共演なのですが、不穏なバンド・アンサンブルとオーケストラとの混ざり合わないぶつかり合いがスリリング。オザンナは躁鬱が極端に繰り返されるのが持ち味ですが、その個性がより強調されたクセになる2曲です。ドロドロのギター・ソロも素晴らしい。その後に続く7楽章構成のヴァリエーションは、オザンナ本来の持ち味を生かした、ヘヴィ・ロックなインプロヴィゼーション。映画に使われたものでは無いのですが、サントラらしく映像をイメージさせる幻想的な音楽となっています。

Canzona
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Claudia Losito/ Finally

Claudia Losito/ Finally
2016年 イタリア
『強力無比な新人SSW』

 ピアノ弾き語りのSSW、クラウディア・ロシートのファースト・アルバム(なのにタイトルは「Finally」なのです)。
 ジャズ、ソウルを内包した音楽性はローラ・ニーロなどにも通じそうですが、感情の起伏(メリハリ)がはっきりとしており、情熱的なのが特徴。ちょっと巻き舌入っている「元気な姉御」の如きヴォーカル、しっとりと落ち着いたピアノ、ジャジーなリズム隊、気持ちよく伸びやかなスライドを決めるギターによるバンド・アンサンブルは、躍動感に満ちています。
 クラウディアは幼いころからジャズ・ヴォーカリストとして訓練を受けていたそうです。やがて自立した彼女はそちらの道には進まず、様々なステージで、様々なグループに雇われて歌うことを楽しんでいたとのこと。そして彼女は自分の作った歌を歌うことを望むようになり、彼女をサポートしていたバンド・メンバーと共に本作を制作。尚、リリース前月には、イタリアのカジノ2000で行われたルクセンブルク音楽コンクールでグランプリ(二人のうちの一人)を獲得しています。
 残念ながら彼女の情報は著しく少なく、現時点では上に書いてある文章で全てです。
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本作の魅力については既に先に述べていますが、彼女の個性として最も際立っているのは、唾飛び散るようなエネルギッシュな歌唱でしょう。アップテンポ・ナンバーでの、演奏よりも前のめりになって、リズムを主導していくパフォーマンスは圧巻。
また強固なバンド・アンサンブルのみならず、コーラス隊も参加しているのもポイント。ゴージャスな雰囲気を醸し出しています。
BULLSHIT
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Arx - Just a Stranger

Arx - Just a Stranger
2015年12月 イタリア
『ファンクに地中海の爽快感をプラス』

 イタリア、モリーゼ州南部カンポパッソ。サンタ・マリア・デル・モンテ聖堂やモンフォルテ城など、
中世の建築物が多く残る街並みが残る観光地。アークス(砦の意)は
2011年にカンポパッソで結成されたファンク・グループ。サックス奏者を含む5人編成です。
ただのファンクではなく、「オルタナティヴ・ファンク」を標榜しておりますが・・・・・・
果たしてどんなサウンドなのでしょう。
そもそもイタリアのファンク・グループというのもあまり馴染みが無かったので楽しみです。
プロフィールを調べたのですが本作が何枚目かは判然としませんでした。
ジャケは中世の建造物のようで、彼ら自身のルーツを大切にしていることが伺えます。
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 ロック寄りのファンクで、ポップなスライという印象。
イタリアという土地柄で、やはり地中海風の爽快感が伴っているのが特徴。
フロントには女性ヴォーカル、アレシア・タンバロを据えています。
彼女はソウル・シンガーというより、ロックの歌唱に近い印象で、
力強さはありつつも柔軟な感情表現と溌剌とした発声が持ち味。
細かくチョップするギター、強靭なビートをキープするリズム隊、
ヴォーカルラインを分厚くフォローするホーンによるアンサンブルはグルーヴィで楽しい。
3分台のコンパクトな楽曲群が並んでいながらインプロヴィゼーションも存分に織り込んでおり、
一気に聴かせてくれるところもポイント。
曲に関してはグルーヴィ一辺倒なので緩急が不足している感もあり。
ですがアルバム自体が短くまとまっているので飽きもせず。
何よりイタリアらしさがきちんと加わっているので新鮮に聴くことが出来ました。

Just a Stranger
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