COLIN SCOT/JUST ANOTHER CLOWN

COLIN SCOT/JUST ANOTHER CLOWN
1973年 イギリス
『本場のピエロはやっぱり怖いな。』

 イギリスのシンガーソングライター、コリン・スコットのセカンド。長らくファーストのみがCD化されていた状況でしたが、この度、ビッグピンクよりセカンドが再発されました。ロバート・フリップ、ブリンズレー・シュウォーツ、リック・ウェイクマンなど豪華なゲストが参加していたファーストに関しては、その豪華な客演を楽しむといった趣が強かった一方で、どんな曲があったのか曖昧な印象。
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 セカンド・アルバムではほぼ全編がオリジナル曲で固められており、バックバンドも固定。シンガーソングライター然とした作風になっているとのこと。アメリカへの憧れが堂々と現れているたそがれフォーク・ロックが大勢を占めた内容です。渋みのあるスライド・ギターに枯れた歌声の組み合わせが、この種の音楽にとっての王道となっている他、シンセサイザーがカラフルでポップな魅力を引き出している点もポイント。バックバンドのメンバーにはヴァンダー・グラフ・ジェネレーターやレア・バードに関連するメンバーが集まっており、一部楽曲では管楽器やストリングスが導入されています。これによりドラマティックなアレンジが為された楽曲もあり。それが功を奏しているかというと否。ファーストと同じく、軸がぶれてしまっている気がします。

例えばマッギネス・フリントやアラン・テイラーのような、イギリス人による米国憧憬フォークの第一人者に比べると、各楽曲の出来も地味。しかしながら、後続の人知れず発表されたシンガーソングライターの作品として楽しむことは出来ると思います。(解説でも楽曲に関しては全く触れていませんでしたし・・・・・・)

I am A Dreamer
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STEELEYE SPAN/Please To See the King

STEELEYE SPAN/Please To See the King
1971年 イギリス
『「生真面目さ」が伝わってくるエレクトリック・トラッド』

 以前、英キャッスル・レーベルからリマスター盤が再発されていたのですが、本作のみ買い逃してしまっていました。初CD化の盤は音質が激悪だったのでずっと探していたのですが、あってもプレミア価格でげんなり。しかし遂に初期3タイトルがリマスター再発されることになりました。ありがとう!
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 フェアポート・コンヴェンション、ペンタングルと並ぶ3大フォーク・ロック・グループの一角、スティーライ・スパン。英トラッドを探求すべくフェアポート・コンヴェンションから脱退したアシュレイ・ハッチングスを中心として、1970年に結成されました。初期にはトラッド色の強い硬派なグループでしたが、やがて時代と共にポップ化。硬軟ともに柔軟に対応するグループという印象もあります。本作は硬派な時期にあたるセカンド・アルバムです。

 本作より英フォークを代表するギタリストであったマーティン・カーシィと、フィドル奏者ピーター・ナイトが加入。またドラムレスで録音されています。

 「生真面目さ」が伝わってくるエレクトリック・トラッドの数々は、荘厳ではあるもののとっつきにくい雰囲気がプンプン。朗々と歌い上げるマディ・プライアの歌声やリズミカルなフィドル、厳かなギター等によるアンサンブルからは緊張感がビシバシと伝わり、背筋が伸びてしまいます。英トラッドの凄みをそのままエレクトリック化している強力なアルバム。

Lovely on the Water
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Peter Perrett/How the West Was Won

Peter Perrett/How the West Was Won
2017年 イギリス
『ルー・リードに憧れて。うつむき加減ロック』

 どこかで聴いたような、ニヒルで頑固そうな独り言ヴォーカル。これは、そう、ルー・リードのような、と思っていたら、ピーター・ペレットさんの新譜でした。お久しぶりです。

1970年代後半、3枚のアルバムを残して解散したパンク/ニューウェイヴ・グループ、The Only Ones。そのヴォーカルがピーター・ペレットです。ボブ・ディラン、ルー・リードに影響を受けたグループでした。2006年に再結成していますが、結局音源はリリースされることが無いまま、中心人物であるピーター・ペレットのソロ・デビューとなったようです。
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 冒頭で書いた通り、ボブ・ディランというよりはルー・リードもしくはヴェルヴェット・アンダーグラウンドの影響が表面に出ています。特に表題曲「How the West Was Won」はそのまんまと言っても過言ではない。ナイス。ヴォーカル・パフォーマンスはもちろんのこと、ディストーションたっぷり、ノイジーでサイケデリックなギター・ソロを中心とした、鬱屈としたバンド・アンサンブルも素晴らしい。
往年のファンはもちろんのこと、イギリスのシリアスなロックが聴きたいならば是非におすすめしたい一枚です。

How The West Was Won
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Una Healy/The Waiting Game

Una Healy/The Waiting Game
2017年 イギリス
『最近見かけなくなった、普通のガール・ポップ』

 一見すると「原宿を歩いていそうなギャルが好きそうな感じのケバいポップス」をやっていそうなイメージ。ほら、『NOW』とかに入っていそうな感じというか。(※偏見に満ちています)実際、溌剌としたガール・ポップでしたが、どっしりと落ち着いた曲調と清涼感のあるヴォーカルは予想外。ベリンダ・カーライルやウィルソン・フィリップスなど、80年代~90年代のガール・ポップを彷彿とさせます。
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 ウナ・ヒーリーは1981年生まれの35歳。アイルランドのサーリス出身です。シンガーコンテストを経て、2000年代にサタデーズというガール・グループで活躍。その頃から作曲活動を開始。2014年にグループが活動休止することを受けて、ソロとしての作品制作に取り掛かっています。そして出来上がったのが本作です。イギリス方面では支持を集めているようで、アイルランド、イギリス、スコットランド、全てのチャート上位(12~28位)に食い込んでいます。

 ハキハキとした発声、躍動感があり、加えて爽やかな歌声はさすがコンテスト出身者。バンド・セットにストリングスを少し加えたサウンド、王道のガール・ポップ、という内容で刺激は少なめながら、クオリティは十分です。

Una Healy/The Waiting Game
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BELINDA BELL/WITH OUT INHIBITIONS

BELINDA BELL/WITH OUT INHIBITIONS
1972年 イギリス
『ド派手な映画音楽のようなジャズ・サウンドがアツイ』

 サンシャイン・ポップ系ソフト・ロックの人気作であったセカンドは、2012年に再発された際に入手していました。一方でこちらのファーストは2014年に再発(共にBIGPINKより)されていたのですが、どんな内容か全く知らなかったので長らく放置していました。

 ベリンダ・ベルはイギリスのポップ・シンガー。デビュー前にはスウェーデンで音楽活動をしていたようで、本作もスウェーデン録音がされています。作曲はしない専任歌手であり、本作ではウロデック・グルゴウスキーが作曲とアレンジを担当。ウロデック・グルゴウスキーはスウェーデンで活躍するジャズ系鍵盤奏者とのことで、この時点で自身の名義でアルバム・リリースを果たしています。
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 ジャズ系プレイヤーが集まっての録音。実際、ジャジーではあるものの、ストリングスはてんこ盛りであり、ドラムがかなりタイトで、映画音楽寄りのハッタリ満点な作風が特徴です。表情豊かに歌い分け、主張の激しい演奏陣に負けないパワフルな声量を持つベリンダ・ベルのヴォーカルは素晴らしい。ストリングス・アレンジは、21世紀に聴くと古臭さが目立つ印象。とは言え、ファーストとは異なるノスタルジックな魅力を楽しむことが出来ます。

Delivery Of Love
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