NIGEL OLSSON’S DRUM ORCHESTRA AND CHORUS

NIGEL OLSSON’S DRUM ORCHESTRA AND CHORUS
1971年 イギリス
『エルトン・ジョンを支えた面々が集合』

 このアルバム、気になっていました。エルトン・ジョンのバンドでドラム奏者として活躍していたナイジェル・オルソンがリリースしたリーダー名義のファースト・アルバムです。
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 随分長いバンド名だな、とは思っていましたがこれは小西勝氏の解説によるとジョー・コッカーの「マッド・ドッグズ&イングリッシュ・メン」から影響されてのものだそうです。レオン・ラッセルを中心としたLAスワンプ・ムーヴメントに呼応して作られた作品の一つとのこと。いつもながら小西勝氏の解説はためになります。ありがたい。

 バンドは5人編成。プロコルハルムにも在籍したことで有名なギタリスト、ミック・グラブハム、スティール・ギター職人BJコールの他、エルトン・ジョンのバックを支えたベーシストのディー・マーレイ、ギターのカレブ・クレイに、主役のドラム及びヴォーカルを務めるナイジェル・オルソンというメンツ。他、ドリス・トロイ、リザ・ストライクなどのバック・ヴォーカルが4人参加しています。BJコールやドリス・トロイ、リザ・ストライクというスーパー・セッションマン、及びウーマンにまた会えてうれしい限り。

 LAスワンプへの憧憬、という音楽性ではありますが、ジョー・コッカーの「マッド・ドッグズ&イングリッシュ・メン」と比べてもかなりソフト。やはり元エルトン・ジョン・バンドの3人が集まっているだけに、穏やかなポップ・テイストが各楽曲に反映されています。

 レオン・ラッセル『Hummingbird』ランディ・カリフォルニア『Nature’s Way』など4曲のカバーと6曲のオリジナルで構成。ハイライトはカバー曲という印象ですが、オリジナルの出来も悪くないです。オルソンが満を持して一人で作曲したレヴォリューションno9的な曼荼羅インスト『Wierdhouse』は完全にコンセプトをぶち壊している問題作。初めは駄目だな、と思っていたのですがこれは悪くないサイケ・ナンバーかも。
 
 セッション・プレイヤーとしても活躍しているメンツが揃っているだけに、演奏は安定しています。特に一発録音と思しき、『Hummingbird』『I can’t Go home again』での粘っこいブルージーなアンサンブルは聴きもの。最後になりましたが、ナイジェル・オルソンのヴォーカルは渋い低音でなかなか良いです。

Nigel Olsson's Drum Orchestra And Chorus (WITH Kathi MacDonald) - I Can't Go Home Again
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Danielle Cawdell/Silence Set Me Free

Danielle Cawdell/Silence Set Me Free
2018年 イギリス
『厳しい冬の屋内で暖を取っているような聴き心地』
 
一粒一粒、しずくが滴り落ちるようなピアノと、わななくエレキギターの倍音。寒々しく幻想的な音楽は、ジョニ・ミッチェルからの影響をイギリスの地で実践したスタイル。70年代のブリティッシュ・フォークをも彷彿とさせます。
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 ダニエル・コーデルはピアニストにして、シンガーソングライター。イギリスのバーミンガムを拠点として活動しています。ウェスト・ミッドランドに住むシンガーソングライター、ダン・ホワイトハウスが主催するソングライター・サークルのワークショップに参加。これをきっかけとしてダンの後援を取り付け、更にもう一人、バルセロナのプロデューサー、ジェイソン・ターバーの助力を得ることとなり、二人のプロデュースによりデビュー・アルバムが完成しました。
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 ピアノの弾き語りをベースとした楽曲群で、いくつかの楽曲でエレキギターやストリングスが加えられているものの、総じてシンプルに仕上がっています。前述した通り、ジョニ・ミッチェルからの影響が顕著で、静かな中に厳しさを感じさせる楽曲群が印象的。歌声は高音が澄み切っていて伸びやか。厳しい冬の屋内で暖を取っているような聴き心地。

Danielle Cawdell - Silence set me free - Treehouse Sessions Live Stream - #TreeTV
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ENGLAND/ The Imperial Hotel

ENGLAND/ The Imperial Hotel
2006年 イギリス
『ジェネシス愛がストレートな良曲』

 ジェネシス・フォロワーのグループの中でも、別格の人気を誇るグループ、イングランド。泣きのギター、メロトロンの洪水、テクニカルで緻密な曲構成、全て素晴らしい。そんなイングランドが2006年に突如、来日公演を敢行。その際に会場限定として販売されたのが、今回ご紹介するEP『The Imperial Hotel』。これが1975年に録音された未発表曲という。決して新曲などではない、この潔い態度。ファンとしてはうれしい限り。尚、僕は来日公演があったことは知っていたのですが、なんとなく心配な要素をビシバシと感じたため、スルーしました。その為、このCDは中古で購入しております。(プレミアついてお高いのですが、それなりに流通している模様)
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ファンの購買意欲を高めるジャケ。

 内容は24分のタイトル曲1曲を収録しています。1977年にリリースされたファースト・アルバムよりも前の1975年録音。ピーター・ガブリエル度の高い裏声の交えたオペラチックなヴォーカル・パフォーマンス、ブォーンと唸るメロトロン、ぐるぐる回るコーラスなどイメージ通りの大作が楽しめます。演奏面のテクニックも抜群。アルバムに収録されている楽曲群に比べると、ジェネシス愛がストレート過ぎてコピーかな、みたいに感じるところはあるが、それはそれで良し。

ENGLAND - The Imperial Hotel
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Casals Trio:Beethoven Piano Trio No.7 Archduke/Schubert:Piano Trio No.1

Casals Trio:Beethoven Piano Trio No.7 Archduke/Schubert:Piano Trio No.1
カザルス・トリオ/ベートーヴェン:大公トリオ
1926~1928年 フランス(録音:ロンドン)
『お正月にピッタリの優雅な室内楽』

 年始に聴いていたクラシックをご紹介。帯には「史上最高の名トリオ、カザルス・トリオの代表作。」の文字。初めて聴きましたが、お正月にピッタリの優雅な室内楽でうれしかったです。
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●カザルス・トリオについて。
ピアノ:アルフレッド・コルトー
ヴァイオリン:ジャック・ティボー
チェロ:パブロ・カザルス
上記3人によるトリオ。1905年、パリを拠点に活動していた若手演奏家3人により、結成されました。初期には三重奏を通じて切磋琢磨していた彼らですが、それぞれが頭角を現すに伴い、トリオとしての活動は減少。本作が録音された1920年代後半には年に数回というペースでしか活動していなかったとのこと。もちろん、演奏家としての腕は上がっており、より素晴らしい演奏を披露してくれています。

●ピアノ三重奏曲 第7番 変ロ長調「大公」作品97 について。
 ベートーヴェンが1811年に作曲した曲。「大公」はベートーヴェンと親交が深かったルドルフ大公のこと。優雅で幸福、そして清々しいメロディーが溢れた曲です。ベートーヴェンのイメージではあまり無い、柔和な魅力が楽しめました。

●アルバムについて。
 1920年代の作品。今から98年前の録音なので、ところどころプチプチのノイズが入っています。また籠っている感じもあり。最新技術ハイサンプリング・レコーディング・システムをもってしても覆せないハンデを感じました。ただ、そこを味と割り切れれば、晴れやかな三重奏を存分に楽しめます。餅が2個入ったお雑煮を食べて、このCDを聴いているとやがて横になり、午睡を貪ることになるでしょう。

Cortot, Thibaud, Casals - Beethoven Archduke, Trio Op.97 in B flat Major
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Lucky Soul/ Hard Lines

Lucky Soul/ Hard Lines
2017年 イギリス
『ガール・ポップの面影はあんまりだけれども』

 イギリス発ガール・ポップ・グループのサード・アルバム。

 2004年グリニッジで結成。紅一点のヴォーカル、アリ・ハワードを擁した6人組グループ。これまで2枚のアルバムをリリースしていて、60年代ポップスとニューウェイヴの融合、と呼ばれたレトロなポップスを指向していました。
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 その2枚のアルバムも持っているはずですが、あまりのサウンドの変化に気が付きませんでした。7年の沈黙の間に何があったのか、デジタル・ディスコ路線へと路線を大幅変更しています。

 レトロなポップ・センスを生かしたデジタル・ディスコ。それはダフト・パンクじゃないか、と思ってしまいますが正解です。あるいはベリンダ・カーライルかな。艶やかさを増したアリ・ハワードのヴォーカルは時にマドンナを彷彿とさせるほど強力。ソフトな男性コーラスも絶妙。ちょっとビートに埋もれがちではありますが、バンドもグルーヴ感溢れるアンサンブルを披露しているところもポイントです。8分越えの曲を含めた11曲というボリューム満点な内容なので、疲れてしまうところが難点。久しぶりに正統派ポップスの収穫となりました。

No Ti Amo

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