Michael Chapman/50

Michael Chapman/50
2017年 イギリス
『祝デビュー50年』

 ロイ・ハーパーやジョン・マーティンのアシスタントを経て1967年にデビュー。以来、サイケデリックなフォーク、フォーク・ロックを探究しているSSW、マイケル・チャップマン。

 自分は初期のハーヴェスト~中期のデッカといった70年代中期までの地味なSSW時代のアルバムを愛聴しております。サイケデリックな味つけがされていながらポップで聴きやすい。そして枯れた歌声が渋い魅力を放っています。
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 そんなマイケル・チャップマンが2017年にもアルバムを出していました。手元の資料で調べたところ、恐らく通算37枚目のアルバムだと思います。ただ自主製作盤やライブ盤も多いので、前後ということでご容赦ください。タイトルの50は、デビュー50年ということでしょう。
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このおじいちゃん、かっこいい!

全10曲。概ね5分台で曲がまとめられています。原点回帰ということなのでしょうか、ギター弾き語りによるシンプルなサイケデリック・フォークをやっています。歌声は元々枯れていたのであまり変わっていない印象ですが、晩年期のレナード・コーエンのような凄みがあり。また、サイケデリックなギターとキーボードの絡み合いはスペーシーでスケールが大きいのも特徴です。マイク・オールドフィールドやピンク・フロイドのような空間演出を感じることが出来ます。かっこいいアルバムです。
76歳となったマイケル・チャップマン。若い時代にアシッドな文化に心身どっぷり漬かっていたであろう彼ですが、長生きしてアルバムを出してくれると嬉しい。

That Time Of Night

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Billie Marten/Writing of Blues and Yellows

Billie Marten/Writing of Blues and Yellows
2016年 イギリス
『2016年度の注目新人フォーク歌手』

 可憐でセンチメンタル、それでいて落ち着いた歌唱と清々しいピアノが魅力的。ノースヨークシャー州リポン出身の女性シンガーソングライターによるデビュー作をご紹介。
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 デビュー前からサウス・バイ・サウス・ウエストでのパフォーマンスなどで人気を集め、2016年度の注目新人と期待されていた彼女。日本でも既に多くの音楽ファンが取り上げています。僕自身もアルバム発売を楽しみにしていました。
マッシヴ・アタックやポーティス・ヘッドを始めとするブリストル・サウンドを彷彿とさせる、耽美的なポスト・ロック・サウンドが特徴で、ドラマティックな音作りがされています。
 
 しかしベースにあるのは、ジョニ・ミッチェルの『BLUE』辺りの音楽性に感化された70年代英フォークでしょう。例えばシェラ・マクドナルドやジュリエット・ローソンのようなミュージシャンが近い気がします。ジャジーな要素を吸収した英フォークです。
デラックス・エディションにはデモ音源が収録されており、そちらではギター弾き語りによる素朴なパフォーマンスを聴くことが出来ます。その音源からも生粋の英フォークから影響を受けたことが伺えました。
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 エコー、ストリングスを中心とするサウンド・プロデュースは所々、ちょっと大げさに感じるところがあり。前述したデモ音源を聴いた後では尚更俗っぽく感じてしまいます。ただオーバー・プロデュース気味な部分を差し引いても、彼女自身の魅力は十分伝わります。マズ・オコナーと共に英フォークの女神として、シーンを引っ張っていってくれれば、と思います。

Billie Marten Lionhearted (Acoustic Video)
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Ultimate Painting/Dusk

Ultimate Painting/Dusk
2016年 イギリス
『どんより地味渋サイケが最高』

 UKインディ・ポップ・グループのサード・アルバム。私は2015年にリリースされたセカンドで彼らを知りました。(過去記事はこちら。)前作では英米折衷のサイケ・ポップをやっておりましたが、今回はどうでしょうか。ジャケが70年代の英SSW(キース・クリスマスのジュークボックスのやつに似ているかも)っぽくていいです。
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 虚ろな歌唱、ぐるぐると低音で侘しい旋律をリフレインするギターが主役。「ブライアン・ジョーンズに捧げる歌」が2曲目に登場することが象徴的なように、サイケデリックな浮遊感はそのまま。ただし、前作よりどんよりとした暗さが強調されており非常に英国的です。田園風景のようなほのぼのとした空気感は希薄。60年代後期に於ける英サイケの雰囲気をスマートに導入しているところが素晴らしい。
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 溌剌とした部分が影を潜めている分、地味ですが出来は間違いなく前作より上。英ロック好き、特に英サイケ・ポップ(ムーヴとかトゥモロウとか初期ファミリーとか)を好んで聴いている皆様にはぜひおすすめしたいアルバムです。

Monday Morning, Somewhere Central
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Judas Jump/Scorch

Judas Jump/Scorch
1970年 イギリス
『絶妙にビートルズをかすっている』

 70年代にリリースされたブリティッシュ・ロックの作品もあらかたCD化が済んでしまった21世紀の今日この頃。もう重箱の隅をつつくようなマニアック作しか残されていない、という状況の中で、そういったタイトルばかり(いや、王道の名盤も混ざっていますが)を再発してくれるBIG PINK。このレーベルのおかげで、英国ロック・マニアの好奇心は満たされるのであります。

 今回取り上げるのはジューダス・ジャンプ。実は2015年に再発されていたものの(2009年にもブートっぽい再発盤あり)、B級感漂う、金粉まみれなジャケに臆してこれまで手が出ませんでした。
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 まずは小西勝氏の解説に目を通します。若き日のピーター・フランプトンが在籍していたことで知られるザ・ハードの残党メンバー達が組んだグループ、ということは知っていましたが、ここではその主要メンバーであるアンディ・ボウンを始めとする各メンバーの詳細な経歴が載っていました。オーディエンスにも繋がっていたグループだったようです。もちろん本作が唯一のアルバムです。尚、大手であるパーロフォンからリリースされてことで知られています。

 サイケ・ポップ通過後でプログレ勉強中、というサウンドで雑然としていてアンダーグラウンドな内容です。ブロッサム・トゥーズに通じるサイケデリック・ポップ。オルガン、フルート、ブラスを交えたハード・ロックなバンド・アンサンブルで、演奏は素晴らしい。この時期の英国ロックらしい捻くれた曲展開が楽しめます。B級と割り切れば結構イケます。

Rockin' Chair

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COLOSSEUM/COLOSSEUM LIVE

COLOSSEUM/COLOSSEUM LIVE
1971年 イギリス
『盛り上がったライヴの後におかわりが欲しくなったらこれだ』

 2016年、コロシアムの紙ジャケも何度目かの再発となりました。今回の紙ジャケには赤半透明のポリ・スリーヴが付いてくるとのことで・・・・・・最初、内ジャケの写真を見るのに邪魔だな、などと罰当たりなことを考えてしまって申し訳ございません。貴重なオリジナル盤にまた一歩近づいたということでロマンがありますね。
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 コロシアムの作品群では本作とセカンド『ヴァレンタイン組曲』のジャケをキーフが担当しています。その上、中身も充実しているので、自然とその2枚に人気が集まっています。

 コロシアムは1968年に結成されたジョン・ハイズマンを中心とした、ジャズ・ロック・グループ。ジョン・ハイズマンはグレアム・ボンド・オーガニゼーションやジャック・ブルースのグループで活躍していたドラマー。コロシアムはセッション・プレイヤーが集まって結成されており、何度かのメンバー・チェンジを経て、デイヴ・クレムソン(g)、マーク・クラーク(b)、ディック・ヘクストール・スミス(sax)、デイヴ・グリーンスレイド(key)、クリス・ファーロウ(vo)というメンバーが集結し、4枚目となる本作(ライブ盤)が制作されました。

 本作の魅力はまず、パワフルなインター・プレイの応酬でしょう。クリームの流れを受け継ぎながら、よりプログレッシヴな楽曲展開が特徴です。加えて暑苦しいクリス・ファーロウのヴォーカルが、エネルギッシュな演奏と相乗効果を生み出していることもポイント。ジャズ・ロックではあるものの、ギターとヴォーカルの粘っこいブルース魂が音楽性にかなり影響を及ぼしています。「派手でかっこいいことをやりたい!」という演奏者たちの純粋な気持ちが伝わる、アツイパフォーマンスが堪能できます。収録曲はコロシアムのレパートリーは少なく、カバー中心。ジャニスの「サマー・タイム」も飛び出すなど、アドリヴが盛りだくさんであり、あまり原曲のことは気に留めずに楽しめることでしょう。

Lost Angeles
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