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VINTAGE TROUBLE/CHAPTER II-EPII

VINTAGE TROUBLE/CHAPTER II-EPII
2019年 アメリカ
『新チャプターはソウル道一本』

 ソウル、ロックンロール・バンド、ヴィンテージ・トラブルの新作。前作で物量的に物足りない旨を書いたのですが、素早いリリース攻勢を仕掛けてくれており、その不満は解消されました。
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 EPIIIがあるのかは分かりませんが、正直、お財布に優しくない感じがあり。

 新曲5曲を収めたディスク1、ライブ音源5曲を収録したディスク2という2枚組です。ヴァージョン違いで2枚組であった前作とは少し違います。

 まずディスク1。この間の来日で披露されていたためか、聞き覚えのある曲もチラホラ。甘さ、大団円なムードが強調されたソウル・ミュージックが並んでいます。このディスク1だけで考えると、もはやロックンロール・バンドという看板は背負えない内容。柔らかいファルセット・ヴォイスが映えており、ダニー・ハサウェイ度が急上昇。キーボード奏者がメンバーとしてクレジットされており(良かったですね!)、これまで以上にキラキラとしたデジタルなサウンドが印象的です。

 ディスク2のライブは5曲という物量もさることながら、複数会場の寄せ集めなので、あくまでもダイジェストであり、おまけ楽曲という感じ。新しいチャプターに入った、ということを思い知らされるムーディーなライブ内容。ヘヴィな「Knock Me Out」がギアチェンジの役割を果たしているのですが、次の曲が「Come Together」(ビートルズ・カバー)。ここでファスト・チューンが来ていれば、というところ。ただ、「Come Together」のカバーは新鮮。重量感を増したアレンジでパワフルに仕上がっています。最後、アルペジオで締めるところもナイス。百戦錬磨の経験を活かして、もっと色々なカバーをやってほしい。

Don't Stop Forever

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Vulfpeck/Hill Climber

Vulfpeck/Hill Climber
2018年 アメリカ
『もう熟れていますよ』

 ヴルフペックの4thアルバム。フォークやファンク、テクノ、8ビットチューンなど、ジャンルごった煮のR&Bグループとして活動しています。デビュー・アルバムとなった『Thrill of the Arts』以降、年1枚のハイ・ペースで新作を発表し続けているところもポイント。メンバーはJack Stratton、Theo Katzman、Woody Goss、Joe Dartの4人。それぞれマルチ・プレイヤーであり、ヴォーカルも分担しています。今までのレビューはこちら
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 毎回、少しずつコンセプトを変えてくる彼らの作品。前半はAOR風という印象を受けます。彼らの初期作で、黒さ、ファンキーな魅力にやられていたので、この変化は少々残念。中心人物であるテオ・カッツマンの趣向が反映されたのでしょう。後半はインスト・パートとなっており『THE GAME』あたりのクィーンを彷彿とさせる、ポップなファンク・チューンあり、ファミコン風インストあり、ディスコ調インストあり、とバラエティー豊かな音楽性は相変わらず。ゲスト参加曲は4曲で主に女性ヴォーカルをフューチャーしたものとなっています。尚、フューチャリング名義でテオ・カッツマンの名前がありますが、これはヴォーカル曲で彼をフューチャーしました、という意味でしょう。ゲストではなく、彼はメンバーです。

 聴き終わってみれば、キラキラしたエレピが素晴らしく、AORな前半もお気に入り。いいアルバムです。

 自分としては初期のEP群、及びファーストからセカンドに掛けてが今の所、ピークという印象。それはそれとして。ライブは素晴らしいのでしょう。
 
 洋楽ファンにも十分、彼らの名前が知られてきた今。まだ来日していないという事実にも焦らされております。時間がもったいない。もう熟れていますよ。

Half of the Way (feat. Theo Katzman)
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SISTER SPARROW & THE DIRTY BIRDS/Gold

SISTER SPARROW & THE DIRTY BIRDS/Gold
2018年 アメリカ
『敢えて再発見と言ってみる』
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 ジャケットから想像した柔和なフォーク作品とは対照的な内容。パワフルなソウル・アルバムでびっくりしました。

 ブルックリンを拠点に活動している7人組ソウル・バンド、シスター・スパロー&ザ・ダーティ・バーズ。2008年に結成されており、本作で4枚目のアルバムとなります。
現状のメンバーは以下の通り。
Arleigh Kincheloe: vocal(SISTER SPARROW
Jackson Kincheloe: harmonica
Josh Myers: bass
Dan Boyden: drums
Phil Rodriguez: trumpet
Brian Graham: baritone and tenor saxophones
ブラス隊はともかくとして、ハーモニカ専任メンバーがいるのは珍しい。(実際はギターも弾いています)
この他、曲によっては鍵盤奏者が加わります。
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 まず、アレサ・フランクリンの再来、とまで評されるアーリー・キンケローの歌声が凄い。エネルギッシュなシャウトから沈み込むような渋い低音まで、聞き惚れてしまう状況。響き渡る声量は重厚なバンド・サウンドを凌駕しています。本作はスタジオ盤なので半信半疑でしたが、セッション映像も検証済み。あれ、こんな凄いグループ見逃していたのか。と自身のブログを検索したところ、2015年にレビューしていました。
 ソウルを基盤としつつ、ロック要素もミックスしていて親しみやすい音楽性。陽気なブラス隊、ブルージーなハーモニカの仕事が素晴らしい。

 どうやらまだ来日はしていない模様。今後の活躍に期待です。

Gold
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DON SHIRLEY/THE MUSIC OF DON SHIRLEY

DON SHIRLEY/THE MUSIC OF DON SHIRLEY
1950年代録音/2006年発表 アメリカ
『ショパンは入っていないが』

 映画『グリーンブック』で主役として描かれたジャズ・ピアニスト、ドン・シャーリーのベスト・アルバム。
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 ボヘミアン・ラプソディーを抑えてアカデミー賞作品賞を取った音楽映画、ということで自分も観に行きました。割と空いていましたが、いい映画でした。また機会があったら映画の感想は書きます。さて映画ではドン・シャーリー(役の人による)の演奏シーンが当然ながらフューチャーされているのですが、クラシックからの影響が大きいジャズ・ピアニストという個性が十分に伝わっては来なかった印象でした。サントラ、あるいはイメージ・アルバム的なものもリリースされているグリーン・ブックですが、ここはドン・シャーリーの音楽をたっぷり聴くべくCDでリリースされているアルバムを探します。ところが多くの作品が入手困難であり、且つプレミアが付いている状態。映画の影響でしょう。そんな中、ベスト盤である本作(タイトルはGOLDEN CLASSICSというもので登録されています)だけは安価で入手可能となっていました。ちなみにAMAZONで現在、1569円、1~2カ月で入荷となっており、自分も注文から1カ月程度して届きました。

 アメリカの再発レーベルとして有名なコレクタブルによる編集。2006年にリリースされており、恐らく映画発表後、再発したものと思われます。映画で印象的だったターコイズグリーンのキャデラックをジャケットにフューチャーしているのは、グッジョブ。ただし解説などは一切付いておらず、ジャケットのペラ紙1枚だけという仕様はいただけません。せめて収録曲のクレジットは欲しかった所。

 ドン・シャーリーは作曲もしましたが、アルバム発表ではピアニストの活動に基軸を置いており、収録曲のほとんどがカバーという構成です。ブルース、ジャズ、ポップスと幅広いレパートリーを取り上げています。尚、クラシック音楽の作曲には、積極的に携わっており交響曲も書いているとのこと。

 先に書いたようにクラシックからの影響が大きいジャズ・ピアニスト、という個性を存分に楽しめるという点で満足な一枚。多くはドラムレスであり、ピアノと弦楽器を中心とした、穏やかで美しいジャズを聴くことが出来ます。イージーリスニング的で癒される聴き心地である一方、ピリピリとした緊張感も同居している辺りがポイント。正直なところ、映画が無ければ、発見できなかったミュージシャンでした。逆に言えば、映画でドン・シャーリーを知ったなら(配信でもいいので)彼の音楽を楽しんで損はありません。

※映画では、ショパンのエチュードOP. 25 第11番「木枯らし」を演奏しているところが素晴らしいのですが、本作にもサントラにも入っておりません。自分が調べた限り、オリジナル・アルバムに収録されていることも確認できなかったので、当時演奏はしていてもレコーディングはしなかったのかもしれません。また見つけたら追記します。

Don shirley - Stand by me
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LAWRENCE/LIVING ROOM

LAWRENCE/LIVING ROOM
2018年 アメリカ
『来日公演を見逃していたことは平成最後の痛恨事』

 以前、こちらでも紹介していたローレンスですが、セカンド・アルバムがリリースされました。前々から来日してほしいな、と願っていたグループですが、2019年1月にブルーノート東京で初来日公演を行っていた模様。情報収集が不足していたことを悔やむばかり。今回、リリースされたセカンドは国内盤もリリースされており、初来日も実現。彼らの勢いを感じることが出来てうれしいです。
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 クライドとグレイシーによるローレンス兄妹によるユニット、ローレンス。ヴィンテージ・ソウルの流れを汲むグループで、特にモータウン、ニューソウル系の甘く爽やかなソウル・チューンを得意としています。

 タイトルこそ『LIVING ROOM』と付けられていますが、メンバー8人の大所帯。管楽器3人、ドラム、ベース、ギターの6人にヴォーカル&鍵盤のクライド、ヴォーカルのグレイシーという編成です。これに楽曲によってゲスト・ミュージシャンが参加。

 基本的には前作同様にスティーヴィー・ワンダーを彷彿とさせる甘くポップなソウルが楽しめます。8人のミュージシャンによる分厚いアンサンブルは強力。ジャクソン5へのリスペクトが溢れ出てしまっている楽曲(「Whoever You Are」「Limbo」)がある辺りも前作同様です。

よりカッチリしたプロデュースが為されており、スムーズな聴き心地。

グレイシーのヴォーカルの比重が上がっているところもポイント。パワフルな歌唱で幅が広がっています。

新機軸としては、12曲目「Last Song」辺りがダイナミックなアメリカン・バラード調で印象的。90年代のエアロスミスを彷彿とさせる、ブラス隊とコーラスの煽りがコテコテで強烈です。

60~70年代のソウル・クラシックをカバーしたyoutube動画を数々発表しているローレンス。現状、それらを超える名曲は生まれていないのが残念な所ですが、着実に近づいている感じがします。ソウル・ファンのみならず、70年代中盤までのロック、ポップスが好きな方には是非聴いてほしい一枚。

Make A Move
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