FC2ブログ

Ashe/The Rabbit Hole

Ashe/The Rabbit Hole
2018年 アメリカ
『将来有望、新人シンガーソングライター』

 新人シンガーソングライター、アッシュのデビューEPをご紹介。
https___images_genius_com_2b139316c3d7d196b9d3f6d715c27823_1000x1000x1.png

 カリフォルニア州サンディエゴ出身。本名、アシュリン・ウィルソンという彼女によるプロジェクト名がアッシュとのこと。バークリー音楽院出身のジャズ・ヴォーカリストです。デビュー前にして、ルイス・ザ・チャイルドやショーン・フランク、チェーンスモーカーなどとツアーをしています。またエミリー・シャクルトン、カリ・ロディなど若手ミュージシャンとの共作にも取り組み、ソングライターとして注目を浴びています。正直申しまして、上記ミュージシャンのことは全く知りませんでしたが、とにかくフル稼働で働いているということは理解しました。他のミュージシャンとのセッション中に、アイデアを即興で出して楽曲を生み出していくというスタイルが彼女流とのことです。

 内容について。ジャズとエレクトロを融合させたカラフルなポップをやっており、不思議の国のアリスを連想させるタイトルとも符合するイメージ。オリエンタルな要素も濃く、中期ケイト・ブッシュを彷彿とさせます。またitunesで飛躍したフェイストにも近いイメージで、アッシュの場合はSpotifyのチャートでトップ10に入る程の人気を獲得しています。

 キャッチーなリズムとメロディーを持った楽曲群は、ルーツの骨太さが伝わってくる本格派。次作もチェックしなければ。

Ashe – Choirs
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ アメリカSSWポップス

Anderson East/Encore

Anderson East/Encore
2018年 アメリカ
『熱血ブルーアイドソウル』

 ナッシュビルを拠点として活動するブルーアイドソウル系SSWのセカンド・アルバム。

 1988年、アラバマ州アセンズで誕生。ベン・フォールズに憧れていた高校時代にピアノを習い始め、その時に曲も書き始めました。彼の祖父は教会の神父であり、父はコーラス隊の一員として、母はピアノで、と家族がそれぞれ教会で音楽に関わっていました。その環境もあり、ゴスペル音楽に親しんでいたとのこと。大学へ進学する際、テネシー州マーフリーズボロへ移住。ここで音楽活動をスタートさせています。やがてカントリー・ミュージシャンのホリー・ウィリアムスとセッションする機会を得ると、それを切っ掛けとしてレコーディング・エンジニアの職にも就くことに。経験を積んで大学卒業後、ナッシュビルへ移住。芸名をアンダーソン・イーストと改めて、エレクトラと契約。通算4枚目、メジャー第二弾となるアルバムが本作となります。新世代のブルーアイドソウル系SSWとして、アメリカ、日本で注目を集めています。
1221-099.jpg

 渋い低音が伸びやか、且つ裏声も哀愁味たっぷりで、ヴォーカリストとしての力量は抜群。バックは鍵盤、ブラス、女性コーラス入りの塩辛いバンド・アンサンブル。ザ・バンドを彷彿とさせる、枯れたロック・サウンドが素晴らしい。中盤から終盤に掛けて、ブラスやストリングスが大々的にフューチャーされた(血管ブチ切れ)熱血ソウル・ナンバーの数々は圧巻です。一部楽曲ではシンセが登場するなど、ところどころで洗練を感じさせるのもポイント。

Anderson East - Girlfriend [Official Video]

続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ アメリカSSW

Lake Street Dive/Free Yourself Up

Lake Street Dive/Free Yourself Up
2018年 アメリカ
『鍵盤奏者が加わり、落ち着いたポップさを身に付けた新作』

 ローリング・ストーンズやフェイセス、ハンブルパイなど、ソウルやファンクに影響を受けた英ロック・グループ。レイク・ストリート・ダイヴはそれら英ロック・グループに影響を受けているソウルフルなロック/ポップ・グループです。前作、前々作とレビューしていますが、今回はメジャー第二弾となります。
41Jb085nWGL__SS500.jpg

 今回のアルバムより鍵盤奏者がメンバーに加わったとのこと。これまでのセッション・プレイヤーが参加していたのですが、より比重が高まり、グルーヴが増しています。落ち着いたシャッフル・ナンバー「Shame, Shame, Shame」バラード「I Can Change」ビート・ロック「Dude」と3~5曲目の流れでも顕著なように、引き出しの広い楽曲群による緩急の付いた構成も、鍵盤奏者が加わった成果でしょう。力押しが前作までほどでは無い分、ポップで聴きやすい仕上がり。女性ヴォーカル、レイチェルもパワフルさよりも表情に気を配った表現に比重を置いている印象で、カチッとまとまったバンド・アンサンブルを含めて、ベテランらしい円熟の魅力を放っています。昨年、初来日をいつの間にか果たしていたそうなのですが、残念ながら見逃してしまいました。今度こそ行ってみたい。

Lake Street Dive - "Hang On" [Live Performance]
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ アメリカロックポップス

ARTHUR CRUDUP/classic by arthur Crudup

ARTHUR CRUDUP/classic by arthur Crudup
1940年代後半~1950年代 アメリカ
『違いが分からない男のブルース・レビュー28』

 今回からブルース記事はSpotifyを使って書いております。ブルース・シンガーのアルバムをCDで購入しようとする時、(対象ミュージシャンがアルバムをリリースしていないなどの理由で)どうしてもベスト盤になりがちですが、レーベルをまたがって活動していたりするので、お目当ての曲がどれに入っているのか分からないことが多いです。でもSpotifyのような配信スタイルなら、いくつものベスト盤を横断して聴けるのでハイライト曲を漏らすことはありません。Spotifyは音質が残念だと思っていましたが、ことブルースの歴史的な作品に関しては1950年代を中心とした「味のある」録音状態が多いので、あまり気になりません。余談ではありますが、最近Spotifyのプレミアム勧誘メールが多く届き、少し迷惑しています。音質さえ何とか(ハイレゾ対応)してくれれば、いつでもお金を払う用意がある、と言っておきましょう。

 前置きが長くなりました。今回はアーサー・クルーダップを取り上げます。”エルヴィス・プレスリーが「That's All Right」をカバーした“という形容で知られるブルース・シンガー。今まできちんと聴くことが無かったので、今回掘り下げてみようと思いました。
Arthur_Crudup.jpg

 1905年ミシシッピ州フォレスト生まれ。ゴスペルやブルースに親しんでいたアーサー・クルーダップは、1939年にシカゴに渡り、ブルース・シンガーへの道を志した。しかし現実は厳しく、梱包の仕事などをこなしながらストリート・ミュージシャンで日々の暮らしを凌いでいく状況。そんなギリギリの状況でRCA傘下のブルーバード・レコードと契約することに。当時36歳。ブルーバード・レコードでアーサーを担当したタンパ・レッドは、彼の自由にさせる放任主義を貫き、1940年代前半のRCAにオリジナル曲を次々に録音しています。その後も1950年代に掛けて、エース・レコード、チェッカー・レコード、トランペット・レコードとレーベルを渡り歩きながらレコードを発表。エルヴィス・プレスリーによる宣伝効果などもあり、この辺りが全盛期です。その後はギャラの分配で揉め、引退状態に。以後、数回の復活を経て、1974年に亡くなっています。後に多くの曲がカバーされることになった偉人にも関わらず、プロとなってからも十分な給料をもらうことが出来ず、農業や密造酒作りで生活をしていたという事実が侘しいです。

 今回選んだタイトルは2016年に編纂されたベスト盤です。最新編集だから、ということで選んだのですが、「That’s All Right」「My Baby Left Me」の2曲が外されているのは残念。それ以外は順当な選曲でオリジナルの有名曲を網羅した内容。威勢のいい高音の歌声とギクシャクとしたギターは、愛嬌があり、苦労人の逞しさを感じます。これを聴いて当時の労働者は慰められたのでしょう。

Chicago Blues : Arthur "Big Boy" Crudup
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ アメリカブルース違いが分からない男のブルース・レビュー

Maxayn/Reloaded: Complete Recordings 1972-1974

Maxayn/Reloaded: Complete Recordings 1972-1974
2017年(1972年~1974年録音)アメリカ
『スライっぽさ満載の熱いソウルが楽しめる』

 昨年再発された、アメリカのソウル・グループ、マクサンのアルバム集。カプリコーン・レーベルからリリースされた3枚のアルバムが収録されています。
5013929086432.jpg

 表題の通り、1972年から1974年に掛けて活動していた4人組。キーボード奏者兼プロデューサーとして、フランク・ザッパやザ・フー、グラント・グリーンなどとジャンルを超えて交流、活躍していたアンドレ・ルイスが中心となり、結成。フロントに据えた女性ヴォーカル、マクサンは彼の妻です。

 力強いシャウトが印象的なマクサンがバンドを牽引。小刻みに打ち付けるリズム・セクションと、キンキンと跳ねるキーボードによる、熱っぽいバンド演奏は、マクサンのヴォーカル・スタイルと相まってスライの影がチラつく印象。オリジナル曲の他、カバーもいくつか収録されており中でもストーンズ・ナンバーは面白かったです。ゴスペル要素を強めて静と動の対比をくっきりさせた「You Can't Always Get What You Want」、モッサリとした重量感を強調した「Gimme Shelter」どちらも聴き応え十分。
続きを読む(動画があるよ) » 関連するタグ アメリカソウル