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Enuff Z'Nuff/Diamond Boy

Enuff Z'Nuff/Diamond Boy
2018年 アメリカ
『次に期待』

 パワー・ポップ、メタル・グループのイナフズナフによる通算10枚目。コンピ盤など変則的なアルバムが多いので、通算枚数は曖昧です。
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「新しいブートレグかな」と思わせるチープなデザインがイナフズナフらしくてグー。

 前作発表後、かねてより確執が明らかであったドニー・ヴィーが遂に脱退。作曲面、ヴォーカルをリーダーであるチップ・ズナフと二人で請け負っていた人物だけに厳しい状況です。ドニー脱退後の2016年には『Clowns Lounge』という脱退前のお蔵入り音源を再録したアルバムをリリース。苦いファンサービス振りが印象的でした。

 内容について。まずギターが重い。とにかく殴り掛かってくるようなリフで圧倒されます。分かっていたことですが、ヴォーカルに魅力が薄いです。やはりドニーの深みのあるガラガラ声はイナフズナフの要だった模様。チップのヴォーカルには厚いエコーが掛けられており(これはいつも通りなのですが)、盛り過ぎに感じてしまう。楽曲群は引っ掛かりや転調が少ないシンプルなものが多い。加えてミドルテンポ楽曲が多くを占めており、全体でも単調な印象です。中盤の「Fire & Ice」「Love is on the Line」辺りは、もう一捻りすれば化けそうな予感もありそう。終盤の2曲「Dopesick」「Imaginary Man」はドラマティックで、往年の雰囲気が残っています。

Metalheart
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Olden Yolk/Olden Yolk

Olden Yolk/Olden Yolk
2018年 アメリカ
『激しさを秘めたサイケ・フォーク』

 男女二人によるフォーク・デュオのデビュー作。
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 メンバーはシェーン・バトラー、ケイティー・シャファーの二人。二人とも、ボストンを拠点で活動しているサイケデリック・インディー・ロック・バンド Quiltのメンバーです。シェーンは作曲を担当、ケイティーはマルチの楽器奏者という役割分担。

 Quiltの幻想的でダルーなサイケデリック・ムードはそのまま持ち込まれており、且つアコースティックなサウンドを強調した内容。男女どちらもヴォーカルはヴォリュームを抑え目にしており、儚げでメルヘンチックな風情を醸し出しています。ネオアコ的とも形容できる。穏やかなパートでは70年代っぽさも顔を出していますが、全体的にはオルタナ以降のダークなガレージ感が支配。マルチの奏者が居るのですが、デュオなので、演奏は少し淡々としているのが残念なポイント。ただ、緩急の切り替え、メリハリの付け方がうまく、且つ楽曲間の繋がりがスムーズなので、集中を切らさず一気に聴き通せるところは素晴らしい。曲の出来は良く、さすがベテランの手腕と感じました。2月にリリースされており、ずっと心に引っ掛かっていたのですが紹介できてよかったです。

Olden Yolk - Vital Sign [Official Video]
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Ashe/The Rabbit Hole

Ashe/The Rabbit Hole
2018年 アメリカ
『将来有望、新人シンガーソングライター』

 新人シンガーソングライター、アッシュのデビューEPをご紹介。
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 カリフォルニア州サンディエゴ出身。本名、アシュリン・ウィルソンという彼女によるプロジェクト名がアッシュとのこと。バークリー音楽院出身のジャズ・ヴォーカリストです。デビュー前にして、ルイス・ザ・チャイルドやショーン・フランク、チェーンスモーカーなどとツアーをしています。またエミリー・シャクルトン、カリ・ロディなど若手ミュージシャンとの共作にも取り組み、ソングライターとして注目を浴びています。正直申しまして、上記ミュージシャンのことは全く知りませんでしたが、とにかくフル稼働で働いているということは理解しました。他のミュージシャンとのセッション中に、アイデアを即興で出して楽曲を生み出していくというスタイルが彼女流とのことです。

 内容について。ジャズとエレクトロを融合させたカラフルなポップをやっており、不思議の国のアリスを連想させるタイトルとも符合するイメージ。オリエンタルな要素も濃く、中期ケイト・ブッシュを彷彿とさせます。またitunesで飛躍したフェイストにも近いイメージで、アッシュの場合はSpotifyのチャートでトップ10に入る程の人気を獲得しています。

 キャッチーなリズムとメロディーを持った楽曲群は、ルーツの骨太さが伝わってくる本格派。次作もチェックしなければ。

Ashe – Choirs
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Anderson East/Encore

Anderson East/Encore
2018年 アメリカ
『熱血ブルーアイドソウル』

 ナッシュビルを拠点として活動するブルーアイドソウル系SSWのセカンド・アルバム。

 1988年、アラバマ州アセンズで誕生。ベン・フォールズに憧れていた高校時代にピアノを習い始め、その時に曲も書き始めました。彼の祖父は教会の神父であり、父はコーラス隊の一員として、母はピアノで、と家族がそれぞれ教会で音楽に関わっていました。その環境もあり、ゴスペル音楽に親しんでいたとのこと。大学へ進学する際、テネシー州マーフリーズボロへ移住。ここで音楽活動をスタートさせています。やがてカントリー・ミュージシャンのホリー・ウィリアムスとセッションする機会を得ると、それを切っ掛けとしてレコーディング・エンジニアの職にも就くことに。経験を積んで大学卒業後、ナッシュビルへ移住。芸名をアンダーソン・イーストと改めて、エレクトラと契約。通算4枚目、メジャー第二弾となるアルバムが本作となります。新世代のブルーアイドソウル系SSWとして、アメリカ、日本で注目を集めています。
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 渋い低音が伸びやか、且つ裏声も哀愁味たっぷりで、ヴォーカリストとしての力量は抜群。バックは鍵盤、ブラス、女性コーラス入りの塩辛いバンド・アンサンブル。ザ・バンドを彷彿とさせる、枯れたロック・サウンドが素晴らしい。中盤から終盤に掛けて、ブラスやストリングスが大々的にフューチャーされた(血管ブチ切れ)熱血ソウル・ナンバーの数々は圧巻です。一部楽曲ではシンセが登場するなど、ところどころで洗練を感じさせるのもポイント。

Anderson East - Girlfriend [Official Video]

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Lake Street Dive/Free Yourself Up

Lake Street Dive/Free Yourself Up
2018年 アメリカ
『鍵盤奏者が加わり、落ち着いたポップさを身に付けた新作』

 ローリング・ストーンズやフェイセス、ハンブルパイなど、ソウルやファンクに影響を受けた英ロック・グループ。レイク・ストリート・ダイヴはそれら英ロック・グループに影響を受けているソウルフルなロック/ポップ・グループです。前作、前々作とレビューしていますが、今回はメジャー第二弾となります。
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 今回のアルバムより鍵盤奏者がメンバーに加わったとのこと。これまでのセッション・プレイヤーが参加していたのですが、より比重が高まり、グルーヴが増しています。落ち着いたシャッフル・ナンバー「Shame, Shame, Shame」バラード「I Can Change」ビート・ロック「Dude」と3~5曲目の流れでも顕著なように、引き出しの広い楽曲群による緩急の付いた構成も、鍵盤奏者が加わった成果でしょう。力押しが前作までほどでは無い分、ポップで聴きやすい仕上がり。女性ヴォーカル、レイチェルもパワフルさよりも表情に気を配った表現に比重を置いている印象で、カチッとまとまったバンド・アンサンブルを含めて、ベテランらしい円熟の魅力を放っています。昨年、初来日をいつの間にか果たしていたそうなのですが、残念ながら見逃してしまいました。今度こそ行ってみたい。

Lake Street Dive - "Hang On" [Live Performance]
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