Randy McQuay/My Kind of Blues

Randy McQuay/My Kind of Blues
2017年 アメリカ
『ピードモント・ブルースの復活』
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 アメリカの若手ブルース・マンによる2枚目のアルバム。渋く深みのあるヴォーカル、ハンマー・クロウやトラヴィス・ピッキングといった伝統の奏法を駆使した流麗なアコースティック・ギターを、ホンキートンク・ピアノやハーモニカが盛り立てて、奏でられる演奏には酒場音楽のような軽妙さがあります。

 ブラインド・ブレイクやブラインド・ウィリー・マクテルを始めとする多くのブルース・マンを生み出したノース・キャロライナ州。その
地で育ち、ブルースに親しんだランディ・マッケイ。彼は16歳でアメリカ南東部へギターを片手に放浪の旅を敢行した後、ノースカロライナへ戻りバンドを結成。音楽活動を本格的に開始します。コンテストにも積極的に出場し、2012年のリー・オスカー・ハーモニカ賞、2015年のインターナショナル・ブルース・チャレンジといった賞を獲得。一方で2015年にファースト・アルバムである『Solo』を発表しています。
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 タイトルは「私なりのブルース」という意味でしょう。その言葉通り、かつてノース・キャロライナで栄えたピードモント・ブルースの特徴である軽やかなフィンガー・ピッキングは継承しつつも、よりファンキーな味わいがあり現代へと更新がされたブルースという感じがします。一人で盛り上がらず聴き手に寄り添うような優しい歌い方、演奏が素晴らしい。熱が籠っていながら落ち着きも感じられます。オールドスタイルのブルースで聴かれるフレーズが、そこかしこで受け継がれているのも好印象。
ファーストで気が付くことが出来ず申し訳ない、という気持ちになりました。素晴らしいブルース・マン。是非聴いていただきたい。

Randy McQuay Right Here
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Sweet Fuck All/Mission Accomplished

Sweet Fuck All/Mission Accomplished
2017年 アメリカ
『猪突猛進』

 ガラガラ声のヴォーカルに、スラッシーなヘヴィ・メタル・サウンド。モーターヘッドのフォロワーで間違いなし。戦車をあしらったジャケ、バンド名から連想するマッチョで男くさいヘヴィ・メタルが楽しめます。戦車ジャケと言えば、昔タンクというグループがいましたね。あそこまでドラマティックではありませんが、雄々しさではスウィート・ファック・オールも引けを取っていません。

 結成は2015年。フィラデルフィア出身の4人組です。デモ、ライブ盤を経て本作がファースト・アルバムとなります。ルーツはメタルの他にパンクにもあるようで、スキンヘッド・ロックンロールを標榜しています。
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 ほとんどの曲が2,3分で終わってしまう構成。全編疾走するロックンロールで、単純なコードを繰り返すだけのガチャガチャしたサウンドながら、エネルギッシュな演奏で聴かせてくれます。

 近年、彼らのような存在がどれくらい居るのか定かではありませんが、久しぶりにこういう音楽を聴くと新鮮に感じました。このような汚い音のロックンロールが継承されていることをうれしく思います。ギターソロのパートでは拙い部分もあるのですがそれが愛嬌の様に思えてしまう部分もあり。一方でオリジナリティーについてはまだまだこれからという印象。「Paths To Glory」「 Anti-World 」「Nobodys Is Fool」といったタイトルも微笑ましいです。

American Skinhead Pride
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ALICE COOPER/BILLION DOLLAR BABIES

ALICE COOPER/BILLION DOLLAR BABIES
1973年 アメリカ
『ドノヴァンとのデュエットが貴重』
 
 2011年にリマスターされたアリス・クーパーのカタログ。これを日本盤で揃えようと思うと、紙ジャケ盤かタワーから限定で再発された廉価盤か、選ぶことになります。アリス・クーパーの紙ジャケは仕掛けが凝っていて楽しいのですが、如何せん高いのが悩みどころ。税込み3200円にプレミアが付いて3900円くらいが相場になっています。しかしタワーの廉価再発も見逃してしまったので、こちらで集めるしかない状況。ワーナーの「FOREVER YOUNG」シリーズにラインナップされる日を待つという手が一番賢明なのかもしれません。

 前回は『Eighteen』のレビューを書きました。今回は『School’s Out』を飛ばして『BILLION DOLLAR BABIES』について書こうと思います。本作は移籍後4枚目のアルバム。ブラスやストリングスが煽る派手なアレンジは演劇調で、アリス・クーパーの個性が確立されています。マーク・ボラン、キース・ムーンが参加しているとのことで、鋭いギター、太いドラムなど、うねるロック・サウンドにはブリティッシュ・ロックの影響が感じられ、彼らの後押しがあったのでしょう。例えば「Unfinished Sweet」はクィーンを彷彿とさせます。
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 ハイライトはドノヴァンとのデュエットが聴けるタイトル曲。アリス・クーパーと渡り合う怪人振りを披露しているドノヴァンが素晴らしい。この曲を含め、作曲面ではポップ且つ無駄が無く派手な曲が並んでおり、完璧な出来。さすが名盤です。リマスターの効果も絶大で、ハッキリクッキリ聴こえます。初期にCD化されたタイトル群が如何にダメな音質だったか改めて思い知りました。

Elected
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Little Tybee/Little Tybee

Little Tybee/Little Tybee
2016年 アメリカ
『スーパーテクニカルなのにほのぼの系』

 ソフトな裏声の男性ヴォーカルの心地よさとは裏腹に、バックでは複雑なタッピングを披露する8弦ギター、フィドル、グロッケンなどが乱舞。ハイレベルなテクニックを交錯させたインプロヴィゼーションがビシバシと披露されているにもかかわらず、緊張感は無し。晴れ晴れと爽やかな聴き心地が不思議で癖になります。

 リトル・タイビーはアトランタを拠点に活動しているグループ。メンバーは以下の通り。

• Brock Scott - Vocals, Piano, Acoustic Guitar
• Ryan Donald - Electric Bass, Double Bass
• Pat Brooks - Drums, Percussion
• Josh Martin - Eight-String Electric Guitar
• Nirvana Kelly - Violin, Viola
• Chris Case - Keyboards
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 2008年に結成されており、3枚のアルバムをリリースしており、本作は4作目となります。自身の音楽を「エクスペリメンタルなプログレッシヴ・フォーク」と表現している彼ら。
メンバーは6人ですが、アルバム毎に管楽器やペダル・スティールなど多彩な楽器のゲスト・プレイヤーが参加しています。
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 一糸乱れぬインプロヴィゼーションは凄いですが、複雑なことをしていると感じさせないさりげなさがもっと凄い。アコースティックな編成なのでフォークと言われればそうかな、とも思えますがどちらかと言えばプログレ寄りのサウンドです。ロマンティックなメロディーが多用されており、イーソスなど70年代米プログレを愛聴している方へもお勧めできそう。

Languid
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Marian Hill/ACT ONE

Marian Hill/ACT ONE
2016年 アメリカ
『細かく刻んで生み出された音楽』

 2017年1月にアップルのCMに抜擢されたとのことで、日本では彼女への注目が集まっているようです。CDの流通はまだされていませんが、スポティファイ等で聴くことは出来ます。エレクトロとソウル、ジャズを融合させたサイバーな音楽性、クールな歌声が魅力のデュオ。
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 マリアン・ヒルという名前から、この女性ヴォーカリストのことだろうと思ってしまいましたが、実際はデュオでした。ジェレミー・ルロイドとサマンサ・ゴンゴルの二人組。出身地などの情報はありません。アメリカのミュージシャンです。高校時代の同級生が始めたデュオが、サウンドクラウド上で注目を集め、2014年に音源がCM曲として採用されます。それを切っ掛けとしてレーベルと契約、アルバム・デビューまでとんとん拍子で決まったようです。
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 サマンサ・ゴンゴルのゴージャスなヴォーカルとそれを活かす90年代を彷彿とさせるディーバ的なスムースなソウル・ミュージック。それをヒップホップ的にザクザクと切り刻み、スクラッチして、ヴォーカルもお経の様に様変わり。新しい感覚を持っていないと、こんなもったいないことは出来そうにないです。これだけでなく、上にシンセサイザーや電子音を被せています。音のベースとなっているのは90年代ソウルなので、複雑で近未来の様に思えても本質は単純明快。とても聴きやすいです。ヴォーカリーズやサックスの導入などジャズの要素があるのもポイント。宅録作品の範疇だと思うのですが、そう感じさせないスケールの大きさが素晴らしい。

I Want You

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