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『パイロット目線のシーンをアトラクションとして楽しめれば』

『パイロット目線のシーンをアトラクションとして楽しめれば』
「ファーストマン」2018年 アメリカ
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 「月に着陸する、って結末が分かっているのに見る意味あるの?」と、前回登場した同僚は言うのです。「何を言っているのだ!それを面白くするのがチャゼル監督だよ。」と返したわけですが、さて結果は。

 ストーリーは史実をなぞる形で進行されている為、驚きはありません。娘を亡くした悲しみを背負って、宇宙飛行士として任務に取り組み、やがて月に着陸。誇張はせず淡々としているので地味な内容です。しかしながらGを感じると錯覚するほど、迫力のある宇宙船内の映像は凄い。パイロットの目線で写されるので、物語にのめり込めます。仕事に打ち込み、自分を追い詰めていく姿は同監督作品「セッション」に通じる、緊迫感を観衆に強いる。その上で、同僚のパイロットの事故死が丁寧に描かれる2時間越えの作品だった為、深夜の残業明けで朝イチ鑑賞をした自分は体力が足りなかったのか、後半の一部で力尽きて寝てしまいました。尚、彼の作品では重要な要素であった劇中音楽ですが、今回は控えめな印象。轟音が主役ですし。ボブ・ディランの「くよくよするなよ」が印象的だったくらいかな。

 今回行った映画館では4DXでの上映も行っていました。鑑賞前は「怪獣映画でもアクションでも無いし」と、その効果に疑問を持っていたのですが、今となっては宇宙船の迫力を存分に味わうには4DXが適しているのではないか、という気がしています。
 
「セッション」「ラ・ラ・ランド」で体験した高揚感は無し。先述の同僚には薦められない。期待値を下回ったけれども、チャゼル監督らしさは感じられた。休日なのに、この疲労感はどういうことだ。などと言いつつ、次回作はまた見たいです。

評価:☆☆ 眠気に負けた
上映時間内睡眠時間:5分
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「アリー スター誕生」

『僕はジャクソン・メインを応援するぞ』

 唐突ながら、今日から映画の感想も書いてみます。いままでもいくつか書いているのですが、これからはローテーションに組み込むという形で。最近、ツタヤ・プレミアムに入会して、映画を貪るように観る日々が続いています。そうすると、書きたくなった。という訳です。尚、俳優、構図などの知識は全くありません。致命的なネタバレは避けて書くように心掛けます。

「アリー スター誕生」 2018年  アメリカ
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 同僚に薦められて鑑賞。彼曰く「ボヘミアン・ラプソディー」よりもこちらの方が良かった、とのこと。幾度目かのリメイク作とのことで、あらすじは知らずに鑑賞しました。タイトル通りの話だろうと思っていたら、概ねその通りでした。

 レディー・ガガが主演。自分は「Born This Way」等のイケイケなイメージを偏見として抱いていたので、美人だな!と驚きました。ガガ演じるアリーは鼻が大きすぎるのがコンプレックスだとのことですが、全くピンと来ません。後半になるにつれ、化粧が濃くなるのは残念。

 アリーの成功物語であることは先述した通り。ただアリーはやっぱりレディー・ガガなので「さすがレディー・ガガは凄い。歌がうまいね!」という感動なのですね。正直に言うと、イケイケなマドンナの後継者として認識していて、あまり彼女の音楽を真剣に聴いてこなかったので、自分の偏見がまた一つ無くなったことに感謝しています。ありがとう。ですが、レディー・ガガのスターとしてのオーラが凄まじいばかりに「アリー スター誕生」と言われましても、もやっとする部分があり。

 一方で成功をサポートする夫役、ジャクソン・メイン(ブラッドリー・クーパー)は初登場からアルコール中毒気味です。既に成功を手にしている身でありながら、「落ちぶれるのが俺の役回りだぜ」と言わんばかりに、ダメ人間振りを発揮。素晴らしい。コントラストがはっきりしていて、分かりやすかったです。ただ落ちぶれる過程での心の動きとかは、描かれていないので、こちらの想像力でカバーする必要があり。最初はガガ様の映画だと思っていたのですが、これは彼が主役の映画でしょう。感情移入して観ることが出来ました。ダメ人間は最高だ。

 テンポは悪い。中盤、眠くなりました。

 作中の楽曲は、レディー・ガガも制作に関わったとのことでメイン・テーマ「シャロウ」をはじめ、素晴らしい曲がいくつかあり。サントラを買うべきレベル。ブラッドリー・クーパーの歌もナイス。総じてシンプルな楽曲が自分は気に入りました。カントリー、ブルースをルーツにした曲が多め。

 アリーが成功への道を登っていく過程で、音楽性もダンサフルなものへと変化していくのですが、(レディー・ガガのイメージに近いけれども、アレンジが流行に流されている感じがするな)と思っていたら、ジャクソン・メインが間髪入れずにそのことを指摘してくれていて。そこはうれしかったです。アル中のダメ人間の発言なので、取り合ってもらえなかったのは悲しい。

 作中の年代について。オールマン・ブラザースの曲を採用する、アリーがイエスのTシャツを着ている、部屋のポスターが『つづれおり』など、70年代初期をイメージしているのかな、と思いました。見終わった後、「昔話だよなぁ」という寂しさが残った映画。

評価:☆☆☆ 面白い
時間を確認した回数:1回
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IVAN LINS/MODO LIVRE

IVAN LINS/MODO LIVRE
1974年 ブラジル
『憂鬱の波へ飛び込め』

 MPBを代表するソングライター、とされているイヴァン・リンス。自分はボサノヴァのことは知っていても、MPBのことは素通りしていました。ブラジルでボサノヴァの要素を受け継ぎつつ、よりポピュラー寄りに進化した70年代の流行歌のことを指すとのこと。実際に調べてみるとこれまでボサノヴァと思って聴いてきたミュージシャン(ジルベルト・ジルなど)もMPBと呼ばれていることに気づきました。ボサノヴァからの派生ジャンルという感じであり、あまりMPBというものの定義を意識しなくてもいいかな、と感じました。今回は未聴のミュージシャンの作品の中から「ポセイドンの憂鬱」という感じのジャケの強烈さに惹かれて、選んだアルバムです。
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 抑揚を付けながら侘しさを強調した歌声、哀愁たっぷりのメロディーが素晴らしい。また、華麗にしてスペーシーなキーボード・アレンジが特徴的で、洗練された印象を受けます。アレンジはアルトゥール・ヴェロカイが担当。ストリングスやブラス、パーカッションなどが細かく顔を出す緻密な仕事ぶりはさすが。
晴れの日が全く訪れず、登山の計画が何度も中止になっている今日この頃。せっかく取った三連休は全て曇りで明日からは仕事。そんなアンニュイな気分を、イヴァン・リンスの歌声がより強調してくれました。うーむ、ふて寝するか。

Ivan Lins - Tens (Calmaria)
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ROSIE/BETTER LATE THAN NEVER

ROSIE/BETTER LATE THAN NEVER
1976年 アメリカ
『ゴールデンポップスを想起させるコーラスで一味違うAORに』

 AOR CITY1000シリーズより1枚ご紹介。去年の8月にリリースされていた再発盤ですが、最近やっと聴くことが出来ました。(1年寝かせてしまった)シュリンクが掛かったCDが棚にあると「まだお楽しみが残っている。」という気分になるのですが、ほどほどにしないといけません。AOR CITYは最新リマスター盤での廉価再発企画で、1000円+税でAORの名盤をコレクション出来るという素晴らしいもの。ただし予算の関係上、歌詞カードが付かないのは痛いところです。私自身、、AORはまだまだ十分な知識が無い状況なので助かりました。
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 今回のロージーは完全にジャケで選びました。女性3人組かな、と思っていたのですが、左に居る方はデヴィッド・ラズリーという男性でした。彼がシンガーソングライターとして中心的な役割を果たしつつ、更に二人の女性を加えたヴォーカル・トリオがロージーということになります。アレンジャーとして、マイケル・ゼイガー、チャーリー・カレロ、ビー・ウィー・エリスの3人を迎えているとのこと。(すみません、勉強不足につき誰も知りません)収録曲はブッカーT.ジョーンズの曲を1曲カバーしている他は、デヴィッド・ラズリーと女性メンバーによる共作曲で占められています。

 デヴィッド・ラズリーはソウルに影響を受けた作曲家で、本作では1970年代後半ならではのスウィート・ソウル系の楽曲を多く収録しています。デヴィッド・ラズリーのジェントリーな歌声はもちろんのこと、アカペラの経験もあるという彼らトリオの鮮やかなコーラス・ワークが合わさることで、鮮やかさが増幅。ハキハキしたバンド・サウンド、アレンジも洗練されていて文句無し。さすがの名盤です。

LONDON BLUES
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Florence + The Machine/ High As Hope

Florence + The Machine/ High As Hope
2018年 イギリス
『凄みで黙らせる音楽』

 2009年から活動しているロック・グループ、フローレンス・アンド・ザ・マシーン。なかなか音楽性を言葉で説明するのが難しい個性的なグループだと思います。本作での彼らは、ケイト・ブッシュのような自然の大らかさを含む神秘性と、ピンク・フロイドのような宇宙的サイケ・サウンド、クィーンのドラマ性を融合させたような音楽と書いておきます。これまでに3枚のアルバムを発表しており、これで4枚目。
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 主役であるフローレンス・ウェルチの歌唱は、瑞々しい高音を力強く発声しており、相変わらず強力です。キーボード、シンセサイザーの洪水がサウンドの肝となっています。全10曲それぞれが4分台程度でまとめられているのに関わらず、フローレンスの圧力なのか、緩急の激しい構成ゆえなのか、とにかくスケールの大きさを感じさせられます。圧倒される密度の濃さから、只者でない貫禄が伝わってくるわけですが、聴きやすいと言えないのも正直な所。ポップさが後退しているのが要因でしょう。ただしスタジオ音源の迫力で圧倒する力量は本物。キャッチーではない為、日本受けはしなさそうですが、ライブを見てみたくなります。

Florence + The Machine – Hunger
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