Con Brio/Paradise

Con Brio/Paradise
2016年 アメリカ
『おかわり発見』

 今年行ったライブの中でもトビキリ素晴らしかったのはヴィンテージ・トラブルでした、と9月にして言い切ってしまえる。そんな僕がヴィンテージ・トラブルみたいなバンドを探してyoutubeを漁るという行動に出るのはごく自然なこと。欲張りなのですよ。
 そして「これは近いかもしれない。」と思ったのが今回ご紹介するコン・ブリオです。
 2013年結成。サンフランシスコを拠点に活動する7人編成(キーボード、サックス、トランペットを含んでいます)のソウル・グループ。今回のアルバムがデビュー作となりますが、資料によると「ボナルー (US)、バイロン・ベイ・ブルース&ルーツ・フ ェスティバル (オーストラリア)、ノース・シー・ジャズ・フェスティバル(オランダ)、アウトサイドラ ンズ(US)、ロラパルーザ(US)」加えてフジロックと各国のフェスに出演しています。バックアップ体制は万全にして、ファンの期待度も大変高いグループであることが伺えます。
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 活力とセクシーさを併せ持つヴォーカル、颯爽とカッティングを決めるギターを中心に、キーボード、サックス、トランペット(ソロパートもあり)を加えた厚みのあるバンド・アンサンブルはエネルギッシュです。ヴィンテージ・トラブルが好きならば、恐らくこちらも気に入るはず。コン・ブリオの方がカラッとしていてファンキーさが強調されており、よりアメリカらしいサウンドかと思います。
 大所帯のグループだけにグルーヴィに盛り上がるアップテンポ・ナンバーが多く、70年代ソウルの伝統を受け継いだ作風もバッチリハマっています。

Con Brio on Audiotree Live (Full Session)
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Foghat/ Under the Influence

Foghat/ Under the Influence
2016年 イギリス
『無邪気な演奏が羨ましい』

 ミドルテンポ中心ながら、キャッチーなメロディーを散りばめて威勢のいいハードブギを聴かせる快作。フォガットが6年振り17枚目のアルバムを発表しました。
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 元気だったのか!という感じですが、さすがにオリジナル・メンバーはドラム担当のロジャー・アールのみ。他のメンバーは同世代のベテラン・プレイヤーが集結しており、ヴォーカル&ギターにチャーリー・ハーン(元ハンブルパイ)、もう一人ギターとしてブライアン・バセット(元モーリー・ハチェット)、ベースにクレイヴ・マクレガー(1977年よりフォガットのメンバー)という布陣。ハードブギが好きそうなメンツが揃っており、微笑ましいです。尚、プロデューサーはZZトップでの仕事で知られるトム・ハンブリッジが担当。
 聴く前から「恐らく得意とするハードブキ一辺倒なのだろう。」と予想出来ていましたし、実際の内容も想像を超えることはありません。ただ、骨太なグルーヴによる横揺れがとても心地よいです。加えて、キャッチーな楽曲群(地味な曲も数曲ありますが)が楽しそうに演奏されており、その雰囲気がこちらにも伝播してくるのがポイントでしょう。堅実なリズム隊に支えられて、嗄れ声のヴォーカル、ギュインギュインわななき、分厚いリフも形成するギターがブイブイと暴れているのは爽快です。
 このアルバムに収録されている無邪気なハードブギの数々を聴いていると、幸せそうな老後がとても羨ましく思える。
Under the Influence
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HENRY LOWTHER BAND/CHILD SONG

HENRY LOWTHER BAND/CHILD SONG
1970年 イギリス
『なるほど、チャイルド・ソングと納得できる平和なジャズ・ロック』

 1970年代、英プログレなどと交流が盛んだった英ジャズ・シーン。
そんな歴史もあり、英ロック・ファンな自分も一時期のめり込みました。
ただし、いかんせんCD化されていないタイトルも多く、
いくつかはとても聴きたいがお高いレコードには手が出せない、と諦めていました。
本作もそんな中の一枚だったのですが、
何故か突然、日本盤で紙ジャケCD化されることに。早速、入手した次第です。
(実際には数年前に輸入盤でCD化されています。)

 ヘンリー・ロウサーはグラハム・コリアーやボブ・ダウンズ、
ニール・アドレイにマイク・ウエストブルックなど、
イギリスを代表するジャズ・ミュージシャン達のグループにことごとく参加していた一流のトランペット奏者。
またキーフ・ハートレイ・バンドにも参加するなど、ブルース・ロック・シーンでも活躍しています。
そんな彼が唯一発表しているアルバムが本作。
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ジャケ良し!

 アルバム全6曲をヘンリー・ロウサーが作曲。
2管、ピアノ、ベース、ドラムスという構成です。
フリー・ジャズの影響を感じさせるジャズ・ロック作となっており、
イギリスならではのクールな質感を存分に楽しむことが出来ます。
また、ヘンリー・ロウサーはトランペットだけでなく、
ヴァイオリンやフリューゲルホーンも演奏しており、エレピやヴァイオリンによる爽やかな音色が、
のどかな雰囲気を醸し出しているのがポイント。
なるほど、チャイルド・ソング。と納得してしまうこと、請け合いです。

Puppet Song
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DICTE/Perfume

DICTE/Perfume
2016年 デンマーク
『デンマーク・ロックはまだまだ掘り甲斐がありそう』

 ヴァイオリンを交えた暗鬱なテクノポップ「Stronger」にやられてアルバムを買ってみたものの、そのオープニング・ナンバー「Don´t Wanna Lie」は厳かなピアノ・バラードでした。「???」
 ディクテはデンマーク、コペンハーゲンを拠点に活動するSSWです。1989年、彼女は地元のタレント・コンテストを経て、「HER PERSONAL PAIN」というグループを結成します。そこでヴォーカリストとして活動、2枚のアルバムを発表。ニューウェイヴ系のシリアスなロック・サウンドが特徴だったようで、何とデンマークのグラミー賞も受賞している実力派グループでした。正直、90年代のデンマークのロック・シーンには疎かったのですが、これはかっこいいです。是非聴いてみてください。さて2枚のアルバムをリリースした後、残念ながらディクテは解散してしまいます。その後、ディクテはソロとして活動。7枚のアルバムをリリースしており、本作は8枚目のアルバムとなります。
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 ソロになってからはニューウェイヴの影響を引きずった陰鬱でハードボイルドなロックをやっており、バンド時代の音楽性を引き継いでいる印象。少しポップで内省的になっているのがポイントです。そんな中で今回のアルバムではピアノ弾き語りからオーケストラとの共演、そしてバンド録音と様々なスタイルを試しており、更に複数のプロデューサーを起用することで、自身の引き出しを全て見せることをコンセプトにしているようです。その為、大変バラエティに富んだ内容となっています。
舌足らずで掠れた歌声は魅力的で、加えて感情表現が豊かで引き込まれます。ダーク且つ神秘的なサウンドと相まって、ジュリアンヌ・リーガンを彷彿とさせる所もあり。多彩な楽曲群も良質なものが揃っており、ダークな世界観と彼女のヴォーカルの力でアルバムとして楽しめてしまいました。デンマーク・ロック界の歴史を少し覗けた気がして、その意味でも出会えてよかったミュージシャンです。

Stronger
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Mickey Baker/The Blues And Me

Mickey Baker/The Blues And Me 
1974年 アメリカ
『違いが分からない男のブルース・レビュー24』

 今回、取り上げるブルース・マンはミッキー・ベイカー。
ミッキー・ベイカーは1925年、ケンタッキー州ルイビルにて生まれました。
1936年に孤児院に入れられた彼は頻繁に脱走。
セントルイス、ニューヨーク、シカゴ、ピッツバーグなど、
各地の施設に送られては脱走を繰り返していたそうです。
ニューヨークで食器洗いの仕事を見つけた後は、一時落ち着いていました。
しかし、やがてビリヤードで稼ぐことに憧れ、仕事を辞めてしまいます。
19歳の頃、チャーリー・パーカーに感銘を受けたミッキーはトランペット奏者になるため、
いやトランペットを購入する為、皿洗いの仕事に復帰。
14ドル貯めることは出来たものの、それだけではトランペットは買えず、妥協してギターを購入することに。
その後、彼はニューヨークの音楽学校に入学。
しかし授業について行けずドロップアウト。
自宅学習もうまく行かないミッキーが頼ったのはストリート・ミュージシャン。
彼らの指導により、ジャズ・ギタリストとしての腕を磨きました。
24歳(1949年)になったミッキーは、いくつかの仕事を掛け持ちしながら、
自身のジャズ・コンボで音楽活動を続けていました。
ジャズ・コンボの活動を更に充実させるため、カリフォルニアに移ったミッキー。
しかし観衆は全く彼のジャズに興味を示してはくれません。
途方にくれていたある日、たまたま観ていたピー・ウィー・クレイトンのライブ。
そこで彼の白いエルドラド(キャデラック)と、バンドの為の大きなバスを見て衝撃を受けたのです。
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「ジャズなんてやっていたら、のたれ死んでしまう。これからはブルースだ。」みたいな感じでしょうか。
再び働いてお金を貯め、ピー・ウィー・クレイトンの研究をした後に、
彼のいない土地で稼ぐべくミッキーはニューヨークに戻ったのでした。
(修行して独立するラーメン職人みたいですね)
東に戻った後のベイカーはサヴォイやキング、アトランティック
といったレーベルでのセッション・プレイヤーとして数々のレコーディングに参加。
ドリフターズやレイ・チャールズ、ルース・ブラウン、ビッグ・ジョン・ターナー、
ルイ・ジョーダンという面々のセッションに携わり、一流セッション・プレイヤーとして地位を固めます。
そして1956年に恋人とのデュオ、ミッキー&シルヴィアを結成。
ヒット曲「Love Is Strange」を生み出します。
その後、ベイカーはフランスへ移住。
そちらではフランソワ・アルディやシルヴィ・バルタンのセッションに参加していたそうですが、
次第に音信も途絶えてしまったとのこと。
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 個人でのリリースは少ない彼ですが、本作はその少ないアルバムの一つ。
フランス移住後の74年に、来仏してきたブルース・プレイヤー達と共演したアルバムだそうです。
歌入りのルーズなブルースをやっています。
初期の頃のような豪快な速弾きこそないものの、ダイナミックなフレージングで聴き応え十分。
フランスではシャンソンのバック・ミュージシャンで稼いでいただけに、
楽しそうに演奏している姿が目に浮かぶようです。
それにしても生い立ちを書いているだけでも、面白い人生でした。

Mickey Baker - Kansas City
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