一十三十一/Ecstasy

一十三十一/Ecstasy
2017年 日本
『自作自演としての我をもう少し』

 通算9枚目。近年はシティ・ポップ~テクノ・ポップの路線でアルバムを出しており、そのことごとくが高品質でした。ただデジタル重視のサウンド・プロデュースが強くなるにつれて、ちょっと量産品のようなイメージもついてしまいました。プロデューサーの意向にズバッと対応してしまう柔軟性は素晴らしいのですが、一方でもう少しアクの強さも欲しい。などと考えつつも新作を聴いてみる次第。
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 やけに落ち着いている・・・チルアウトっていうのかな。全曲でDorianがプロデュースしているとのことです。映画の1シーンのようなセリフSEが入るなど、Dorianがバックトラックをカッチリ作り込んでいます。メカニカルな印象を更に強めたアルバムとなっています。透き通った歌声は健在。バックトラックとの相性は抜群で、血の通ったボーカロイドの如し。作曲に関しては、ユーミンライクな良曲が揃っています。『カイエ』や『copine』の頃の大貫妙子のようなところもあり。それぞれ、一つずつと抜き出して聴くと、ポップであり夏のイメージも伝わるのです。しかしながら全編で聴いてみると、Dorianのバックトラックの主張が激しい分、アルバムの構成が平面的に感じました。ぼーーっと浸って聴いているのが、ベストな付き合い方かもしれません。

Flash of Light
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Rise and Fall of a Decade/ Rafoad Remasterised

Rise and Fall of a Decade/ Rafoad Remasterised
2017年編集 フランス
『ナイス・ゴシック』

 ニューウェイヴ、ゴシックな雰囲気プンプンのジャケに釣られました。調べてみると新譜ではないらしく、フランスで1988年から2008年まで活動していたグループの編集盤でした。
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 20年ほどの活動歴があるにも関わらず、日本語による情報はほぼ皆無。日本での知名度は無い模様です。ジャケットのイメージ通り、ニューウェイヴ、ゴシックをこよなく愛する音楽性を追求しているグループです。Thierry Sintoni、Sandy Casado 、Pierre-François Maurin-Maletのトリオ。幽玄な雰囲気がゴシックど真ん中のサンディのヴォーカルをフロントに、80年代らしい軽やかでミステリアスなシンセサイザーとエコーの波を軸としたサウンドが特徴。同時代に於けるイギリスのグループと比べると、エレクトロの本場なだけにダンサフルなところがポイント。隙間は多く、素朴さすら漂います。ベスト盤だからなのか、キャッチーな楽曲が多く親しみやすい内容でした。それぞれの楽曲が3分台ですっきりまとまっているところも良かったです。80年代のゴシック系ニューウェイヴに愛着がある方は是非。気に入るはずです。この編集盤はリマスターされていて音質も高いです。
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 2007年にメンバーの一人、ピエールが亡くなってしまい、それを切っ掛けとして翌年解散。現在は残された二人がGirl Like Youというデュオで活動しているとのこと。

Rise and Fall of a Decade- Pure Hands
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Paceshifters/Live from GieSound Studio

Paceshifters/Live from GieSound Studio
2018年 オランダ
『哀愁オルタナティヴ』

 久しぶりに王道のオルタナティヴ・ロックを購入。

 オランダにある、オルスト=ウェイヘという広域自治体(大きな県みたいなもの)を拠点に活動しているペースシフターズ。詳細なプロフィールが無かったので、結成時期については不明。トリオ編成です。ファースト・アルバムが2010年にリリースされているので、その辺りに結成されたものと思われます。ニルヴァーナへのリスペクトを表明しており、グランジ・ムーヴメントで変化して来たオルタナティヴ・ロックの回帰をテーマとした音楽性が特徴です。
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 ともすれば埋もれがちになってしまうヴォーカルは、声量面では少し不足しているかも。しかしながらガンズのアクセルのような爬虫類っぽい巻き舌を得意としており、シャウトなども様になっています。トリオ編成ながら轟音のアンサンブルは凄まじく、グルーヴ、疾走感、埃っぽさ、全て申し分なし。ニルヴァーナからの影響は多大で、ヘヴィーリフと美しいメロディーの調和が取れている楽曲群は素晴らしい。もちろんニルヴァーナそのままということはなく、暴力性では劣るものの哀愁味があるのがオランダらしいところ。スタジオ・ライブ作ということですが、臨場感のある迫力のパフォーマンスを楽しむことが出来ました。

Paceshifters - Yearning Desire (Live from GieSound Studios)
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坂口恭平/アポロン

坂口恭平/アポロン
2018年 日本
『芸術の神を冠したファーストアルバム』

 熊本出身。建築家や画家として活躍している坂口恭平が、今度はシンガーソングライターとしてアルバムを発表。自分はそんな凄い経歴を知らず、寺尾紗穂参加ということで試聴した結果、購入しました。
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 アコギ弾き語りを坂口恭平、ベースに厚海義朗(GUIRO)、ドラムに菅沼雄太、ピアノに寺尾紗穂という布陣。

 ほぼ全編でゆったりとしたリズムのカントリー、フォーク・ロックをやっています。寺尾紗穂のピアノが前面に出ているので、室内楽の雰囲気が漂っている印象。坂口恭平の歌は声域が狭いので地味目ながらも、伸び伸びとしていて良いです。一方でほぼ全編、のんびりな楽曲で統一されているので、少しダレる部分もあり。ヒップホップを取り入れた「あの声」のような変化球がもう少し入っていれば良かったかも。
 
 ハンバートハンバートの佐藤良成がリードを取る曲のような劣等感を含んだ味わいを期待したのですが、もっと穏やかで平和な音楽となっています。また、寺尾紗穂がコーラスや時にはリード・ヴォーカルも務めており、華やかさを添えているのがポイント。晴れた休日の始まりに聴くべきような、期待感を静かに盛り上げてくれる音楽です。

休みの日
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りりィ/南十字星

りりィ/南十字星
1980年 日本
『ドスを含んだ歌声がAORサウンドからはみ出るところも素敵』

 1970年代半ばからのポップス路線のりりィ作品。その終盤に当たるEMIでの最終作です。中古盤店でつまんだ『りりシズム』に、思いのほかハマっていたところ。そこに初CD化という報を受けては聴かずにはいられません。

 大部分の楽曲を国吉良一が担当している他、木田高介も2曲で参加。尚、本作は発売直前に亡くなった木田高介に捧げられています。
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 AOR度は更に高くなっています。スタジオ・ミュージシャンによる円熟の演奏による爽やかなアンサンブルが存分にフューチャーされており、バンドのアルバムのような趣があり。
なるほど、ライトメロウのシリーズで再発されることにも納得。所々、歌謡曲チックなストリングス・アレンジの曲があるな、と思っていたらやっぱり木田高介さんの曲でした。

 女の子向けアニメの主題歌をりりィが歌ったかのような、『風のランナー』はインパクト抜群。どっしりしたヴォーカル・パートから洗練されたシンセサイザー・ソロへと流れるところが気持ちいいです。

 この他にも70年代中期~後期に於けるりりィのアルバムがCD化されているそうなので、これを機に集めてみようと思います。生み出す雰囲気が好きだったのですが、この時期のアルバムを聴くといい曲を書くソングライターだったのだな、と再認識しました。
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