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小川さくら/日々

小川さくら/日々
2019年 日本
『近年、稀にみる青田買い成功例』

 CD紹介文にあった「URCの諸作に通じる生々しくも奧のねじれた表現方法」が気になり、
京都出身、円盤レコードよりのリリースといった要素も重なり、音源試聴をせずに購入。
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 京都を拠点に活動するギター弾き語りのSSW。恐らく2010年代前半にデビューしたものと思われます。インターネットから拾える情報はほとんどありません。近年、何枚かの自主盤CDRを発表しており、それらの楽曲をバンド・セッションで録音し直したのが本作となります。デビュー作。斉藤友秋(編曲、ギター)、橋本悠(b fromケバブジョンソン)、香取光一郎(p from PAAP、泊)という編成で録音されています。

 冒頭の宣伝文句から、自分は安易に金延幸子的なものを期待しました。実際、その雰囲気を感じさせる音楽でした。朗らかなメロディーと歌の乗せかた(譜割)が新鮮で、なるほどURCと例えたくなるのも納得であります。アコースティックな編成のバンド・アンサンブルは、穏やかながらもスウィング感十分。小川さくらのヴォーカルは力強さよりも訥々という感じなのですが、歌詞を丁寧に綴っており心地よい。アルバム・タイトルにもある通り、日常をテーマとした歌詞が想像力をかきたてる素晴らしい出来。軽やか。

 ライブを一度見てみたい、と思うものの、ネットからの情報は全く得られず。円盤でのレコ発ライブを見逃したのは痛い!(2回目)そしてyoutube動画も無し。(試聴出来るページがいくつかあり)
とにかく日本語フォークが好きな方には是非聴いてほしいアルバム。
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VINTAGE TROUBLE/CHAPTER II-EPII

VINTAGE TROUBLE/CHAPTER II-EPII
2019年 アメリカ
『新チャプターはソウル道一本』

 ソウル、ロックンロール・バンド、ヴィンテージ・トラブルの新作。前作で物量的に物足りない旨を書いたのですが、素早いリリース攻勢を仕掛けてくれており、その不満は解消されました。
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 EPIIIがあるのかは分かりませんが、正直、お財布に優しくない感じがあり。

 新曲5曲を収めたディスク1、ライブ音源5曲を収録したディスク2という2枚組です。ヴァージョン違いで2枚組であった前作とは少し違います。

 まずディスク1。この間の来日で披露されていたためか、聞き覚えのある曲もチラホラ。甘さ、大団円なムードが強調されたソウル・ミュージックが並んでいます。このディスク1だけで考えると、もはやロックンロール・バンドという看板は背負えない内容。柔らかいファルセット・ヴォイスが映えており、ダニー・ハサウェイ度が急上昇。キーボード奏者がメンバーとしてクレジットされており(良かったですね!)、これまで以上にキラキラとしたデジタルなサウンドが印象的です。

 ディスク2のライブは5曲という物量もさることながら、複数会場の寄せ集めなので、あくまでもダイジェストであり、おまけ楽曲という感じ。新しいチャプターに入った、ということを思い知らされるムーディーなライブ内容。ヘヴィな「Knock Me Out」がギアチェンジの役割を果たしているのですが、次の曲が「Come Together」(ビートルズ・カバー)。ここでファスト・チューンが来ていれば、というところ。ただ、「Come Together」のカバーは新鮮。重量感を増したアレンジでパワフルに仕上がっています。最後、アルペジオで締めるところもナイス。百戦錬磨の経験を活かして、もっと色々なカバーをやってほしい。

Don't Stop Forever

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Gareth Pearson/A Tweak on Antique

Gareth Pearson/A Tweak on Antique
2019年 イギリス
『のどかなギター・インスト』

 イギリス、ウェールズ出身のギタリスト、ギャレス・ピアスンのサード・アルバム。

 フィンガー・ピッキング・スタイルによるギター・インスト作です。
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 端っこに顔だけ出している猫がいい塩梅のジャケットが切っ掛けで聴いてみました。

 本人のギター・ソロ作と、バンド編成によるセッション、という二つの構成で録音されています。オリジナル曲が7曲、ドク・ワトソンによるブルーグラスの名曲「Black Mountain Rag」、ショスタコーヴィチの「Waltz No.2」、ハリー・ダクレ作曲の流行歌「Daisey Bell」というラインナップのカバー3曲、計10曲という内容。

 カバー曲は有名なものばかり。軽妙なギター・インストへと見事にアレンジされており、そのセンスがうかがい知れます。過去作ではマイケル・ジャクソンの「Thriller」などもカバーしており、親しみやすい入り口を作り、魅力を知ってもらおうという心意気に感心。

 柔らかく滑るギターの音色が素晴らしく、若手ギタリストの有望株として高い評価を得ているのも納得の腕前です。オリジナル曲は、清々しく優雅なメロディーが心地よい。一部の輸入盤店がネット通販をしています。

Daisy Bell (Bicycle Built For Two) - Gareth Pearson

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Vulfpeck/Hill Climber

Vulfpeck/Hill Climber
2018年 アメリカ
『もう熟れていますよ』

 ヴルフペックの4thアルバム。フォークやファンク、テクノ、8ビットチューンなど、ジャンルごった煮のR&Bグループとして活動しています。デビュー・アルバムとなった『Thrill of the Arts』以降、年1枚のハイ・ペースで新作を発表し続けているところもポイント。メンバーはJack Stratton、Theo Katzman、Woody Goss、Joe Dartの4人。それぞれマルチ・プレイヤーであり、ヴォーカルも分担しています。今までのレビューはこちら
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 毎回、少しずつコンセプトを変えてくる彼らの作品。前半はAOR風という印象を受けます。彼らの初期作で、黒さ、ファンキーな魅力にやられていたので、この変化は少々残念。中心人物であるテオ・カッツマンの趣向が反映されたのでしょう。後半はインスト・パートとなっており『THE GAME』あたりのクィーンを彷彿とさせる、ポップなファンク・チューンあり、ファミコン風インストあり、ディスコ調インストあり、とバラエティー豊かな音楽性は相変わらず。ゲスト参加曲は4曲で主に女性ヴォーカルをフューチャーしたものとなっています。尚、フューチャリング名義でテオ・カッツマンの名前がありますが、これはヴォーカル曲で彼をフューチャーしました、という意味でしょう。ゲストではなく、彼はメンバーです。

 聴き終わってみれば、キラキラしたエレピが素晴らしく、AORな前半もお気に入り。いいアルバムです。

 自分としては初期のEP群、及びファーストからセカンドに掛けてが今の所、ピークという印象。それはそれとして。ライブは素晴らしいのでしょう。
 
 洋楽ファンにも十分、彼らの名前が知られてきた今。まだ来日していないという事実にも焦らされております。時間がもったいない。もう熟れていますよ。

Half of the Way (feat. Theo Katzman)
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SISTER SPARROW & THE DIRTY BIRDS/Gold

SISTER SPARROW & THE DIRTY BIRDS/Gold
2018年 アメリカ
『敢えて再発見と言ってみる』
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 ジャケットから想像した柔和なフォーク作品とは対照的な内容。パワフルなソウル・アルバムでびっくりしました。

 ブルックリンを拠点に活動している7人組ソウル・バンド、シスター・スパロー&ザ・ダーティ・バーズ。2008年に結成されており、本作で4枚目のアルバムとなります。
現状のメンバーは以下の通り。
Arleigh Kincheloe: vocal(SISTER SPARROW
Jackson Kincheloe: harmonica
Josh Myers: bass
Dan Boyden: drums
Phil Rodriguez: trumpet
Brian Graham: baritone and tenor saxophones
ブラス隊はともかくとして、ハーモニカ専任メンバーがいるのは珍しい。(実際はギターも弾いています)
この他、曲によっては鍵盤奏者が加わります。
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 まず、アレサ・フランクリンの再来、とまで評されるアーリー・キンケローの歌声が凄い。エネルギッシュなシャウトから沈み込むような渋い低音まで、聞き惚れてしまう状況。響き渡る声量は重厚なバンド・サウンドを凌駕しています。本作はスタジオ盤なので半信半疑でしたが、セッション映像も検証済み。あれ、こんな凄いグループ見逃していたのか。と自身のブログを検索したところ、2015年にレビューしていました。
 ソウルを基盤としつつ、ロック要素もミックスしていて親しみやすい音楽性。陽気なブラス隊、ブルージーなハーモニカの仕事が素晴らしい。

 どうやらまだ来日はしていない模様。今後の活躍に期待です。

Gold
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