Roland Johnson/Imagine This

Roland Johnson/Imagine This
2016年 アメリカ
『アトランティック・ソウルへの愛情があふれる一枚』

 ジェイムス・ブラウンとオーティス・レディングが好きでソウルを歌い始めました!という50代(推定)のおじさんシンガーのデビュー作。それが本作、『Imagine This』だ。
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 アトランティックから出ていそうなジャケ。これはチェックせざるを得ない。

 彼について書けることはほとんどありません。フェイスブックはあるのですが、詳細なデータは見つかりませんでした。分かったことはセントルイス出身ということと、冒頭で書いたことだけ。Youtube動画は2014年頃からあるようなので、その頃から活動を開始したのかもしれません。
 
 内容はジャケ同様、アトランティック・ソウルを踏襲したもの。昨今のヴィンテージ・ソウル勃興の流れを受けて、デビューしたことは間違いありませんが、クオリティは高いです。本人のヴォーカルは朗々として力強く、さすがに50代で歌い始めただけある貫禄を持っています。低音の伸びが素晴らしい。ジェイムス・ブラウンやオーティス・レディングと比べると、声量では少々分が悪い(ちょっと掠れてしまうところがあり)ですが、素晴らしいシンガーであることは間違いありません。
ブラス、オルガン、ピアノ、ギターなどによるバックも、アトランティック・ソウルの雰囲気を心得たゴージャスな演奏で、歌を盛り上げています。

 楽曲は全て彼のオリジナル曲で構成されており、それらはアトランティック・ソウル並みの水準をクリアしたものばかり。これぞという決め曲こそ無いものの、存分に温故知新を満喫出来ました。

Promised Land
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Dawes/We're All Gonna Die

Dawes/We're All Gonna Die
2016年 アメリカ
『シンセサイザーの膜の奥から染み出すウエストコースト』

 シンセサイザー主導による、80年代っぽいポップなバンド・サウンド。カルフォルニア出身ならではの、大らかで爽やかなメロディーを奏でています。

 繰り返しになりますが、ドーズはカルフォルニアを拠点に活動する4人編成のロック・バンド。2009年から活動を開始しています。同郷の偉大なるSSW、ジャクソン・ブラウンが以前からプッシュしており、彼と同系統の哀愁味を持ったフォーク・ロックを指向していました。今回のアルバムが三枚目となります。
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 新作では音楽性に変化が生じており、前述通りシンセサイザーと電子音の導入により、バンドのサウンドはニューウェイヴ、またはオルタナティヴ・ロックへ寄っています。さすがにジャクソン・ブラウンを切っ掛けとして彼らを聴いていたら戸惑ってしまいそうな変化であります。
 
 それでもカルフォリニアらしいトロピカルな要素は残っており、ミドルテンポの楽曲では、浮遊感を売りとするエレクトロ・ポップとは異なる、気怠いフォーク感覚を味わうことが出来ます。ただし、数曲収録されているアップテンポのロック・ナンバーは、「ザ・アメリカン・ロック」とも言える、力押しのダイナミックな内容なので、そこだけ聴いてしまうと拒否反応を示してしまうかもしれません。

 昨今のロック・バンドはごちゃごちゃ色々詰め込んで、それをコンピュータで整理して・・・・・・という感じが馴染まなかったのですが、このバンドはシンセを取り込みながらもサウンドがすっきりしていて良かったです。

When The Tequila Runs Out
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ファニー・カンパニー/ファニー・カンパニー

ファニー・カンパニー/ファニー・カンパニー
1973年 日本
『ラフでルーズな演奏が魅力的』

 ブルース・ロック、ロックンロールを日本語でやった70年代のグループによるファースト・アルバム。以前持っていたのですが、金欠で手放してしまい、この度再購入しました。現在流通している紙ジャケ盤では、ボーナス・トラックが5曲入っています。
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 ヴォーカルの桑名正博をフロントに据えたキーボード入りの4人編成。ドラムはこの時点ではゲスト扱いになっており、その代わりヴォーカル&ギターが二人います。

 ロックのドライブ感を保ったまま日本語で歌う、桑名正博のヴォーカルは当時とても画期的だったそうですが、今聴いてもとてもかっこいい。颯爽としており、随所に入るアドリブ(シャウトなど)も堂に入っています。ゴツゴツ、ドタバタとしたバンド・アンサンブルの荒々しさも素晴らしい。アメリカン・ロックほどに破れかぶれなエネルギーはありませんが、その代わりブリティッシュ・ロックのようなカッチリしたコンビネーションも持っていて、ソリッドな演奏が楽しめます。鍵盤が入っているからか、フェイセスっぽいところもあり。

 桑名正博がヴォーカルを取っていない曲では、日本語フォークに接近したメロウな雰囲気を纏っており、アルバムに多様性をもたらしています。

スウィート・ホーム大阪

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GUY CLARK/OLD No.1

GUY CLARK/OLD No.1
1975年 アメリカ
『日本盤が出ていなかったのが意外』

 ソニーのナイス・プライスと言えば、廉価盤の老舗。僕も高校生の頃に行きつけのショップでナイス・プライスの小冊子を貰い、月々の小遣いで購入するラインナップを年単位で計画していたものです。そんなナイス・プライスがリターンズとして復活。1300円+税という更にお安い価格設定がありがたい。先に紹介していた「AOR CITY1000」の安さには及びませんが、ナイス・プライス・リターンズでは歌詞対訳が付いております。(「AOR CITY1000」は無し)やはり日本盤で買う場合、対訳が付いているとうれしいもの。曲とゆっくり向き合える材料になりますから。早速、いくつかのCDを買っているので紹介したいと思います。

 まずはSSWアルバムの中でも名盤として名高い、ガイ・クラークのデビュー作を選びました。有名なジャケが馴染み深かったのですが、意外にも日本初CD化だそうです。
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 1941年生まれ、1971年よりナッシュビルを拠点として作曲家のキャリアをスタートさせたガイ・クラーク。ジェリー・ジェフ・ウォーカー、リタ・クーリッジ、トム・ラッシュなどに楽曲を提供していました。本作はそれら提供曲を含んだデビュー作となります。

 カントリーを土台とした旅情豊かな作風が特徴。哀愁を漂わせた風景描写が印象的な歌詞、切ないメロディー、そして温もりと親密さを感じさせる味わい深い歌声、全てが素晴らしい。
カントリー系のSSWは泥臭く地味、という身もふたもない偏見があったせいでずっと素通りしてきたのですが、もっと早く聴くべきでした。それでも日本語の対訳が付いた今回の再発で初めて向き合えたのは良かった。秋にピッタリな一枚でもあり。

Desperado's Waiting For A Train
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ART GARFUNKEL/WATERMARK

ART GARFUNKEL/WATERMARK
1978年 アメリカ
『アート・ガーファンクル入門』

 サイモン&ガーファンクルのアート・ガーファンクルによるソロ3枚目。自分の場合、作曲をしていたポール・サイモンのアルバムばかりチェックしていて、アート・ガーファンクルのソロを購入するのは今回が初めて。「AOR CITY 1000」シリーズでのリリースとなり、加えてほとんどの曲をジミー・ウェッブが提供していることが興味を引きました。1978年ということで、以前レビューしたジミー・ウェブのアルバム『エンジェル・ハート』と同じ年に制作されていたことになります。
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 アソシエイト・プロデューサーとしてマッスルショールズのキーボード奏者バリー・ベケットが起用されています。もちろん、バックはマッスルショールズのセッション・ミュージシャンが揃って参加。

 甘く美しい唯一無二の歌声は素晴らしい。この歌声とエレガントな演奏のおかげで、情緒豊かなジミー・ウェッブの楽曲群が爽やかな魅力を放っているように感じました。ジャケット通りの寛いだ海辺の音楽です。作曲提供者を固定したことで、SSW作品のように感じられるのもポイントでしょう。

 穏やかな佳曲が並ぶ素敵なアルバムです。

Watermark
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