滝沢朋恵/ a b c b(アベコベ)

滝沢朋恵/ a b c b(アベコベ)
2016年 日本
『放心したような暗さで、何となく不安にさせる音楽』

 鍵盤、シンセが入ったちょっとアヴァンギャルドなポップ・ミュージック。この辺りが守備範囲だと思われるレーベル、HEADZ。キラリと光る個性を持ったミュージシャンが続々登場するレーベルです。滝沢朋恵のアルバムもそんな一枚だと思います。
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 滝沢朋恵は北海道出身、ギター弾き語りのSSW。2014年にファーストをリリースしており、今回のアルバムはセカンドです。

クレジットは以下。
作詞・作曲・アレンジ・歌唱・ギター・録音(歌 & ギター):滝沢朋恵
サウンド・プロデュース & ミックス:佐藤優介(カメラ=万年筆)
ドラム録音(at KRH STUDIOS) & マスタリング:宇波拓
ドラム:村野瑞希(M 3, 7, 9, 11)
朗読:鈴木健太

 内省的なギター弾き語りは暗鬱で穏やか。それをシンセサイザーなどのプログラミングで、立体的な夢幻世界に仕上げているのが特徴です。また字余りの歌詞をフラフラと浮遊するような歌い口でなぞる様は、アシッド・フォークのような趣があり、アンダーグラウンド臭がプンプン。所々で初期の大森靖子を思い出しました。 

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Alexis Taylor/Piano

Alexis Taylor/Piano
2016年 イギリス
『ぼーっとして聴き入ってしまう穏やかさ。』

 静謐で美しいピアノ弾き語りのメロディーに惹かれて購入。
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 ロンドンを拠点に活動するエレクトロ・ユニット、ホット・チップのフロントマン、アレクシス・テイラーによる3枚目のソロ・アルバムです。てっきり、弾き語りのSSWとして活動しているのかと思いきや、エレクトロ・ミュージック畑の人だったとは意外。他にもいくつかのグループを掛け持ちしているようです。

 エレクトロ音楽で活躍しているだけに、ピアノの伸びやかな残響音の美しさは格別。ヴォーカルの声量は控えめながら、穏やかで情緒豊かな歌い振りが心地よいです。

 楽曲はブリティッシュらしい叙情、トラッド由来のメロディーを絡めながら、ソウルの影響を感じさせる洗練された佇まいはビリー・ジョエルのように聴こえるところもあり。

I'm Ready
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B.J.COLE/THE NEW HOVERING DOG

B.J.COLE/THE NEW HOVERING DOG
1972年 イギリス
『縁の下の力持ちのソロ作は、意外に実験的』

 ペダル・スティール。ギターをテーブルのように寝かせて弾くスタイルの楽器で、カントリーなどで、のんびりとした旅情を演出してくれています。日本では駒沢裕城が有名ですね。そんなペダル・スティールを70年代英ロックに普及させたミュージシャンがB.J.コール。70年代、コチーズというグループで埃っぽいカントリー・ロックをやっていた彼は、その経験を活かしてペダル・スティール奏者として様々なセッションに参加しました。実はそれほど有名なミュージシャンと絡んでいるわけではないのですが、英ロックの奥深くに入っていくほどに彼の名前を見ることになるのです。有名なところではキャット・スティーヴンスやTレックス、ロイ・ハーパーのアルバムに参加しています。

 本作は彼がコチーズ解散後、所属レーベルのユナイテッド・アーティストとの契約履行の為に制作された初のソロ・アルバムです。
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 コチーズはカントリー・ロックをやりたいギタリスト、ミック・グラハムと実験精神に溢れたB.J.コールの双頭バンドでした。そのB.J.コールのソロということで、カントリー色を残しつつもかなりプログレッシヴなアルバムに仕上がっています。

 サイケデリックなキーボード、優雅なヴァイオリン、そしてペダル・スティールが活躍する楽曲群は、実験的且つバラエティに富んでいます。ヴォーカルがヨレヨレなのが弱点で、それをカバーするためかリバーヴが薄く掛けられています。

You're Probably Lost
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Ice/Iceman 1967-68

Ice/Iceman 1967-68
1967年 イギリス
『若き日のモ・フォスターの活躍が・・・どこ!?』

 本日ご紹介するのはアフィニティー関連の発掘音源です。アフィニティーと言えば、キーフによる番傘女ジャケが有名な唯一作で知られる、英ロック・マニアご用達グループ。さすがに今回、アフィニティーについてフォローすると字数が足りなくなるので、アフィニティーにどっぷりハマった方々に向けて以下の文章は書きたいと思います。アフィニティーの出世頭と言えば、ヴォーカルのリンダ・ホイルとベーシストのモ・フォスター。特にモ・フォスターはアフィニティー以後もセッション・プレイヤーとしてジェフ・ベック、ゲイリー・ムーア、エリック・クラプトン、フィル・コリンズなどなど、一流ミュージシャンのアルバムやツアーへ参加することになる実力者です。彼のルーツとなる、アフィニティー結成前に参加していたグループ、アイスの音源を発掘したのが本作となります。当時はシングル2枚のみしか発表していなかったグループなのでこれは貴重。ただし。「モ・フォスターが参加しているのだぜ!」と前面でアピールしている本作なのですが、購入後にブックレットで確かめてみるとオリジナル・メンバーではなく、助っ人として加入しただけであることが判明。BBCピカデリー・スタジオ(ラジオ番組)での4曲のみにクレジットされているという悲しい事実。テンションがた落ちです。同セッションではリンダ・ホイルがバック・ヴォーカルで参加(ここで二人は出会った!)しているということを知っても、全く立ち直れません。うがー、一回休憩してチョコパイでも食べよう。
Front Cover copy
「アイスってバンド名でこんなんできました」っていうジャケットですね。

 改めてアイスを聴いてみます。黒魔術チックなオルガン・サイケ。オカルトと牧歌的な雰囲気が同居していて、楽しめてしまいました。声域の狭いヴォーカルには難があるものの、「ヴァーティゴがリリースを検討したけれども、オーディションで落ちた」ような風格があります。ボドキンなどをCD棚に刺しているマニア(同志)であれば、満足出来る内容でしょう。尚、エンジェル・エアーからの再発盤で、音質についてはごにょごにょな感じです。

 さてモ・フォスター、リンダ・ホイルの参加曲について。1曲目は「Day Tripper」。スパイ映画風のハード・ロック・ヴァージョンにアレンジしています。しかしまさかのフェイドアウト。(1:59)他の曲もなかなか良かったのですが、肝心の二人の活躍については確認できず。リンダ・ホイルが「Day Tripper」の後ろでコーラスをやっていることは分かったのですが、もはやそこまで。
ルーキー時代ですし、仕方ないところでしょう。

動画が無くてごめんなさい。
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Amos Lee/ Spirit

Amos Lee/ Spirit
2016年 アメリカ

『おじさんのSSWもいいよ』

 「おっ、いい声」と反応したピアノ弾き語りSSWの新作。なるほど、エイモス・リーでしたか。いい声な訳ですね。前作『Mountains of Sorrow, Rivers of Song』も当ブログで取り上げました。本日は彼の新作をご紹介。

 エイモス・リーはフィラデルフィアを拠点に活動するSSWです。上ではピアノ弾き語りと書いていますが、(聴いた曲がそうだっただけで)実際はギタリストです。詳しくは前回の記事をご覧ください。前作から3年振り、6枚目のアルバムとなります。
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 前回のアルバムではカントリー寄りの作風でしたが、今回はブラック・ミュージックをテーマにしているようです。フォーキーな弾き語りでもゴスペルのような濃厚なコーラスが付き、オルガンが唸ります。重く響くリズム隊も印象的。エイモス・リーによるソウルフルなヴォーカルが、渋いミドル・チューンにマッチしています。楽団を起用したり、打ち込みのリズムを導入したり、といくつかの曲で保守的な彼の音楽に新鮮なアレンジを加えている点もポイント。アルバムの流れに起伏が生まれており、聴きやすくなっています。

Vaporize
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